業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

イ.経営成績

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスに対するワクチン接種が進み、経済活動の正常化に向けた動きが見られる一方、世界的な半導体の供給不足によるサプライチェーンの混乱や原材料価格の高騰などが長期化しております。また、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や急激な円安進行により、資源価格及びエネルギー価格の高騰に伴うインフレも加速しており、世界経済の先行きは不透明感が増しております。

このような状況のもと、当社は2021年11月11日に公表しました3か年中期経営計画(2022年9月期~2024年9月期)に基づき、

①開発体制の強化

②海外展開の推進

③品質性能の向上

等の企業活動に取り組み、長期的な企業価値向上に努めてまいりました。

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これに伴い、当連結会計年度における期間の売上高は90,450千円減少し、売上原価は90,450千円減少しておりますが、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益及び利益剰余金期首残高に与える影響はありません。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は、電子材料向け案件を中心に多様な蒸留案件の引き合いが増加しましたが、会計方針の変更によるマイナス影響を吸収しきれず、1,180,143千円前期比3.0%減)となりました。利益面におきましては、将来を見据えた人材投資による人件費の増加及び原油価格高騰等に伴う製造経費の増加があったものの、当該会計基準等の適用影響を除けば実質増収であったことにより、営業利益は137,470千円前期比16.6%増)、経常利益は140,001千円前期比10.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は88,229千円前期比9.7%増)となりました。なお、当該会計基準等の適用影響を除けば、54,463千円の増収であります。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、各セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。

(受託蒸留事業)

受託蒸留事業におきましては、電子材料向け案件を中心に多様な蒸留案件の引き合いが増加したことにより、受託蒸留事業の売上高は1,113,340千円(前期比4.3%増)、当該会計基準等の適用影響を除けば実質大幅な増収であったことにより、セグメント利益は414,908千円(前期比6.0%増)となりました。

なお、当該会計基準等の適用により、売上高は90,450千円減少し、売上原価は90,450千円減少しておりますが、当該会計基準の適用影響等を除けば、136,059千円の増収であります。

(プラント事業)

プラント事業におきましては、株式会社カイコーの連結子会社化及びセグメント間売上の計上はあったものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機とした部品・材料不足による納期の遅れ等により、プラント事業の売上高は129,503千円(前期比12.7%減)、セグメント損失は42,172千円(前連結会計年度はセグメント損失46,644千円)となりました。

なお、当該会計基準等の適用による影響はありません。

 

ロ.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ33,574千円増加し、2,058,564千円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ36,404千円減少し、244,778千円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ69,978千円増加し、1,813,786千円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年同期に比べ85,902千円(12.0%)増加し、801,362千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、前年同期に比べ43,866千円(25.1%)増加し、218,804千円となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益140,001千円減価償却費141,138千円を計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、前年同期に比べ209,735千円(66.3%)減少し、106,530千円となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出106,869千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、前年同期に比べ136千円(0.5%)増加し、26,372千円となりました。主な要因は、配当金の支払額26,372千円によるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の状況

イ.生産実績

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

受託蒸留事業

599,921

103.7

プラント事業

103,530

89.5

合計

703,451

101.3

 

(注)1.金額は、製造原価によっております。

 

ロ.受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

受託蒸留事業

1,210,079

120.6

93,578

77.1

プラント事業

87,639

74.7

60,720

552.0

合計

1,297,718

115.8

154,298

116.5

 

 

 

ハ.販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

受託蒸留事業

1,113,340

104.3

プラント事業

129,503

87.3

合計

1,242,843

102.2

 

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年10月1日

至 2021年9月30日)

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

住友商事ケミカル株式会社

201,250

16.5

244,088

20.7

ダウ・東レ株式会社

214,900

17.7

231,023

19.6

 

   2.プラント事業の販売高には、セグメント間の内部売上高62,700千円も含んでおります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

また、連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.財政状態の分析

a.資産

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ33,574千円増加し、2,058,564千円となりました。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ98,379千円増加し1,072,825千円となりました。主な要因は、現金及び預金85,902千円増加、商品及び製品11,197千円増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ64,805千円減少し、985,739千円となりました。主な要因は、土地19,370千円増加したものの、減価償却費の計上により、機械装置及び運搬具(純額)72,478千円減少したことによるものであります。

 

b.負債

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ36,404千円減少し、244,778千円となりました。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ35,333千円減少し、230,195千円となりました。主な要因は、未払費用8,760千円増加したものの、買掛金26,174千円減少、未払金25,436千円減少したことによるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ1,070千円減少し、14,583千円となりました。要因は、繰延税金負債1,070千円減少したことによるものであります。

 

c.純資産

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ69,978千円増加し、1,813,786千円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、利益剰余金61,162千円増加、処分を実施したことにより、自己株式8,815千円減少したことによるものであります。

 

 

ロ.経営成績の分析

a.売上高

売上高は、電子材料向け案件を中心に多様な蒸留案件の引き合いが増加しましたが、会計方針の変更によるマイナス影響を吸収しきれず、前期比3.0%減収となる1,180,143千円となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、各セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。

受託蒸留事業の売上高は、電子材料向け案件を中心に多様な蒸留案件の引き合いが増加したことにより、前期比4.3%増収となる1,113,340千円となりました。プラント事業の売上高は、株式会社カイコーの連結子会社化及びセグメント間売上の計上はあったものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機とした部品・材料不足による納期の遅れ等により、前期比12.7%減収となる129,503千円となりました。

 

b.営業利益

売上原価は、会計方針の変更に伴い有償支給材料分を除いているため、前期比8.0%減少し、640,709千円となりました。販売費及び一般管理費は、将来を見据えた人材投資を着実に行いつつ、経費の抑制に努めたことで、前期比0.1%増加し、401,964千円となりました。

これらの結果、営業利益は、前期比16.6%増加し137,470千円となりました。

 

c.経常利益

営業外損益は、助成金収入1,500千円を計上したこと等により、営業外収益が2,805千円、固定資産除却損267千円を計上したこと等により、営業外費用が274千円となりました。

これらの結果、経常利益は、前連結会計年度末に比べ10.7%増加し140,001千円となりました。

 

d.親会社株主に帰属する当期純利益

法人税、住民税及び事業税は、57,697千円となりました。また、法人税等調整額で△5,924千円を計上しております。

これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比9.7%増加し88,229千円となりました。

 

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、次のとおりであります。

2022年9月期の達成・進捗状況は以下のとおりであります。

経営指標

2022年9月
計画(千円)

2022年9月
実績(千円)

2022年9月
計画比(千円)

売上高

1,180,000

1,180,143

143

営業利益

120,000

137,470

17,470

 

 

売上高は、全体ではほぼ計画どおりとなりましたが、セグメント別では、受託蒸留事業が期初計画を超過したものの、プラント事業は計画未達となりました。

なお、セグメント別ごとの分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 イ.経営成績」に記載の内容と同様であります。

営業利益は、利益率の高い受託蒸留事業が売上高に占める割合が高まったことにより、計画比17,470千円増加となりました。

 

ハ.キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年同期に比べ85,902千円(12.0%)増加し、801,362千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、前年同期に比べ43,866千円(25.1%)増加し、218,804千円となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益140,001千円減価償却費141,138千円を計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、前年同期に比べ209,735千円(66.3%)減少し、106,530千円となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出106,869千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、前年同期に比べ136千円(0.5%)増加し、26,372千円となりました。主な要因は、配当金の支払額26,372千円によるものであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

運転資金需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等となります。短期運転資金及び設備投資資金の調達は自己資本を基本としておりますが、状況に応じて金融機関からの借入も検討しながら、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することとしております。

 

ニ.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

ホ.経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社は、これらのリスク要因について、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保する等の対応を図ることにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

ヘ.経営戦略の現状と見通し

当社グループは、実績に裏付けられた技術力及び研究開発力を活かし、蒸留受託加工にて収益を確保してまいりました。収益性の安定化を図り、蒸留装置の販売を開始することにより、一社完結によるサービスの提供ができるため、「受託蒸留事業」から「プラント事業」まで包括的なサービス提供が可能となっております。これにより、顧客に最適なソリューションの提案を行うことができ、より一層の収益の安定化につながるものと考えております。

 

ト.経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループが今後、業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。これらの課題に対処するために、経営者は、常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、最適な解決策を実施していく方針であります。

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