文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、ミッションとして「データによって人の価値を最大化する」を掲げております。当社は、インターネットで欠如しているユーザーデータを蓄積するミドルウェアのような存在となり、人の価値を最大化するためのサービスを提供していくことに注力しております。
また、ビジネスミッションとして「個客中心のサービス体験をあたりまえに」を掲げております。
この背景として、ウェブサイトやスマートフォンアプリ上に今いるユーザーが、手に取るように見えたとしたらもっと面白くて有益なサービス体験が提供できるはずであると考えており、当社は「インターネットでは人は見えない」というあたりまえを壊したいと考えております。
インターネットの良さを最大限に生かし、インターネットをリアル化することで、当社はインターネットにおいて「人」を徹底的に可視化し、あらゆる顧客接点をデータにより個客中心の体験へと簡単にアップデートしていく、そんな次代のあたりまえを実現するためチャレンジしていくという想いをこのミッションに込めております。
(2)経営戦略等
ミッションである「データによって人の価値を最大化する」の実現のため、当社グループはSaaS事業として「KARTE」を提供し、官民問わずオンラインに顧客接点を持つあらゆるサービスの運営事業者と事業上の関係性を構築し、運営事業者における複数の部署で横断的に「KARTE」が利活用されることを目指します。同時に、導入先のウェブサイトやスマートフォンアプリを通じて「KARTE」に集積される、膨大なユーザーの行動データを、機械学習技術等を用いて分析・モデル化することを通じて、次代のデジタルトランスフォーメーションを可能にするプラットフォームを構築することを目指しています。当該戦略の実現のため、「KARTE」のさらなる機能強化、営業戦略を通じた顧客基盤の拡大、事業連携等の戦略的パートナーシップの構築に注力しております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは「KARTE」をサブスクリプションモデルで提供しているため、毎月経常的に得られる「KARTE」の月額利用料の積み上がり状況の指標であるARRの拡大を経営上の目標としております。その達成状況を判断する上で、サブスクリプション売上高、サブスクリプション売上高比率、導入企業数を重要な指標としております。サブスクリプション売上高は毎月経常的に得られる「KARTE」の月額利用料の合計額であり、経営上の目標の達成状況を把握するものです。サブスクリプション売上高比率は、当社グループ全体の売上高のうち、毎月経常的に得られる売上高の比率であり、当社グループ売上高の安定性を表します。ARRを高めていくためには導入企業数を増やしていくことが重要と考えております。
(4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの事業はデジタル・マーケティング・サービスが主な関連市場となっております。
当社グループの提供する「KARTE」は、大企業を中心に、役割の異なる複数部署及び複数事業で活用される事例が増えています。また、ECのみならず人材サービスや金融、不動産や自動車など、インターネット上に顧客接点を持つ多くの業界で利用されています。
インターネット上のCX(顧客体験)の強化に関しては、昨今、企業の競争優位性確保の手段として改めて注目されており、取り組みが活発となっております。企業の提供する製品やサービスが成熟している日本などの市場において、製品やサービス自体の差別化だけではなく、CX(顧客体験)を高めることにより競争優位性を高めることを狙う企業も増えていると考えております。
しかしながら、国内デジタル・マーケティング・サービス市場は、事業環境の変化が早く、それによりクライアント企業のニーズが絶えず変化しております。当社は直面する課題に対処するだけではなく、今後さらなる飛躍をするために、以下の取り組みを行ってまいります。
①提供するプロダクト、サービスの向上
当社グループの顧客基盤の拡大に伴い、顧客ニーズも多様化しております。当社グループは、多様化する顧客ニーズを的確に捉え、既存プロダクト、サービスのさらなる付加価値向上を図ることが欠かせないものと認識しております。そのため、当社グループは、プロダクト、サービスの機能追加・改善を継続的に実施し、顧客価値の向上に努めてまいります。
②プロダクト、サービスの認知度向上
当社グループが成長を維持していくためには、当社プロダクト、サービスの認知度を向上させ、新規顧客を獲得することが必要不可欠であると考えております。従前より、積極的なマーケティング活動やパートナー企業との提携等の認知度向上に向けた取り組みを行ってまいりましたが、今後、これらの活動をより一層強化・推進してまいります。
③組織体制の整備
当社グループは、顧客基盤の拡大、サービスの付加価値向上及び新規サービスの開発等の多面的な取り組みにより成長を継続していくため、多様なバックグラウンドの優秀な人材を採用・育成し、組織体制を整備・強化していくことが重要であると考えております。当社の理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を行っていくとともに、従業員が働きやすい環境の整備を継続的に実施してまいります。
④経営基盤の強化
事業の拡大に伴う人材増強及び経営基盤の強化が欠かせないと認識しております。継続して人材の確保・育成・活用を行うと同時に、マネジメント力の強化や財務健全性の確保等の収益力を支える経営基盤の強化を図り、勢いのある成長を目指していきます。
⑤安定的な事業資金の確保
当社は、事業拡大のために販売・マーケティングやサービス開発等への投資を継続しており、設立以来、毎期、当期純損失を計上しております。これらの先行投資に必要な事業資金の調達を安定的に行うため、また、急激な資金需要や不測の事態に備えるため、金融機関に500,000千円のコミットメントラインを設けております。さらに、2022年9月期においては、株式会社エモーションテックの株式取得資金及び機動的かつ安定的な資金調達手段の確保を目的として、シンジケートローン(タームローン)1,500,000千円を組成しております。今後も資金調達をはじめ、財務基盤の強化及び安定的に事業資金を確保するための諸施策を講じてまいります。
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