課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は「知を創集し道具にする」をミッションに掲げております。世界に遍在する知(データ)を創集し、その集合知を誰にでも使える道具(ツール)へと変え、顧客に届けることで顧客ビジネスの生産性向上および収益成長に貢献してまいります。

 

(2)経営戦略等

 デジタル化の加速により、DXに取り組む企業は今後増加が見込まれます。そうした企業の課題に応えられるよう、当社の保有するナレッジを強化しつつ、それらを顧客獲得から既存のソリューションの強化及び新規のソリューション開発まで最大限に活かします。当社はこうした取り組みを通じて、顧客基盤の拡大と顧客ごとの収益性の向上を図り、長期的な企業価値向上を実現します。

 

具体的には以下のような成長戦略を実行します。

 

A.ナレッジの強化

 当社の競争力の源泉たる「知見」と「データ」を強化することで、他社の追随を許さないナレッジ基盤を構築します。そのために、差別化の徹底及びアウトプットの拡大を進めます。

 差別化の徹底のため、当社は「課題解決」ソリューションをテクノロジーを活用して安価に・再現性高く実現する“頭脳の機械化”という当社独自のポジションに磨きをかけます。この独自性をさらに磨き上げるべく、課題解決の自動化を追求します。それにより、見える化にとどまる一般的なマーケティング関連ツールや人的にしか課題解決のできないコンサルティング会社や広告代理店などでは実現できない価値提供を可能とします。

 また、アウトプットの拡大のため、前工程であるインプット/アナリティクスの強化を進めます。アウトプットする提案の深さと幅を拡大するため、取得するデータの種類を増加させ、それらのデータから示唆を得るためのアナリティクスを強化します。アウトプットの深さと幅とを拡大することで、当社として顧客に提供できる価値を高めてまいります。

 

当社独自のポジショニング

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B.新ソリューションとしての展開

 当社は、当社独自のナレッジを最大限に活用するべく、新たなソリューションとして又は思考エンジンとしてパートナー企業へ提供します。

 当社のナレッジを、コンサルティングやツール、業務の代行などソリューションとしてパッケージ化することでこれまで提供してまいりました。また、人材マッチングサービスでは、フリーランスの方々にナレッジを提供することで、フリーランスの方々を当社のマッチングプラットフォームに惹き付けることが可能であり、またリスキリングにも活用できます。こうしてフリーランスの方々に当社ナレッジを付帯させることで、マッチング先の企業にも価値を提供することが出来ます。このように、顧客へと当社ナレッジを届ける手段にはこだわらず、様々な形で価値提供できるよう、新たなソリューションを開発・提供してまいります。

 

 また当社は、自社開発商品である「AIアナリスト」を顧客に直接提供するだけでなく、同時に保有するビッグデータおよび改善提案アルゴリズムなど、「AIアナリスト」の保有するコア・コンピタンスを切り出し、パートナー企業へ提供しております。それにより、当社のアルゴリズム等の提供を受けたパートナー企業は、自身のソリューションやサービスの中に当社アルゴリズム等を組み込むことが可能です。当社の支援を受けたパートナー企業は、顧客に対してソリューションやサービスの付加価値を高め、競合他社と差別化を行うことが可能となります。

 

C.顧客獲得への活用

 当社は、保有するナレッジを新たな顧客獲得にも活用してまいります。ナレッジを研究レポートやセミナー等を通じてマーケティングDXに関わる方々へ届けたり、主要メディアへ情報提供することで、マス露出を拡大させます。また、「簡易診断レポート」などをドアノックツールとして見込み顧客を獲得します。さらには、こうしたドアノックツールを提携先企業を通じて提供することで、顧客リーチを増強します。提携先企業は当社のドアノックツールを取り扱うことで、自社顧客のビジネス拡大を促進や信頼の獲得を期待することができるため、当社と互恵関係を形作ることが出来ます。

 

 また、当社が今後更なる成長と発展を遂げるためには、「(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の事項へ対応していくことも経営戦略上、重要と認識しております。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は事業進捗の客観的な指標として、売上高、売上高総利益率および営業利益に加え、1顧客から得る売上高である1社当たり理論LTV(顧客生涯価値、1社当たり理論LTV=1社当たりの12ヶ月平均初期売上+1社当たり平均リカーリングレベニュー/社数ベース12ヶ月平均解約率)を重要な経営指標とし、成長性や収益性を向上させてまいります。

 

(4)経営環境

 当社が属する国内DX市場の規模は、経済産業省が2018年に「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」や「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」を発表したことを受け、国内においてデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が加速していることを背景に、拡大を続けています。株式会社富士キメラ総研が2022年1月に公表した「2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」によると、2020年に1兆3,821億円となりました。また、当該市場は企業のDXやそれに伴うアナリティクスおよびAI活用の取り組みがすでに当たり前の技術として広く活用が進んでいるとして、DXへの取り組みは活発化しています。昨今、多くの企業において、データを収集するだけでなく、その利活用を可能とするDXやAIの活用を通じて、その企業活動の生産性を向上させ、競争力を増すことが重要な経営課題となってきているためです。当該市場は、2024年までの間に3兆4,223億円まで拡大し、その年間平均成長率は+25.4%という成長率が見込まれております。

 また、その中でも当社が提供する「AIアナリスト」のカバーする業界共通DX領域の営業・マーケティングDX市場は、2021年に1,906億円を占めます。また、「DXコンサルティング」のカバーする戦略/基盤DX市場を含む市場は、2020年に4,064億円でしたが、2022年には約1.5倍となる6,072億円まで拡大する見込みです。

 当社は、現在提供するソリューションの範囲を近接市場から順次拡大してまいりますが、それにより業界共通DX市場へとアクセスしようとしております。この業界共通DX市場は2020年には5,234億円でしたが、2024年には1兆733億円まで倍増すると、非常に好調な推移が見込まれております。

 当社は、アナリティクスソフトウェアをSaaSという形で提供することで、顧客と継続的な接点をもっております。これにより、当社は顧客ロイヤルティを高めつつ、顧客のデータを長く蓄積することで、他社に対して参入障壁を築いております。また同時に、先行して多くの企業の利用データを集めているため、その集合知によるソフトウェアの改善が可能であることが、提供価値の点においても先行優位性を活かした参入障壁の構築に活きております。こうした当社のサービス形態の強みを活かし、上記のように順調に拡大する市場を着実に獲得してまいります。

 なお、新型コロナウイルス感染症が当社の経営環境に与える影響は、国内企業においてもニューノーマル時代のビジネス変革としてデジタル化への取り組みが急速に広がり、これまでにデジタル化の取り組みが遅れていた業界や業務、中小企業においてもデジタル化投資が拡大している点で、当社にとって追い風となっております。しかし、沈静化したのちの企業動向など、先行きは不透明な部分もあり、継続して注視してまいります。現状の経営環境においては経営方針・経営戦略等を見直す必要は無いと認識しておりますが、当該感染症の経済社会に対する影響が今後さらに拡大・長期化した場合もしくは沈静化した場合に、社会全体の生活様式が急激な変化を引き起こした際には、その環境変化に機敏かつ柔軟に対応すべく、経営方針・経営戦略等を見直す可能性があります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①新規事業の立ち上げ・新規機能の開発

 当社が提供する既存サービスは継続的な取引を行う顧客基盤を確立しており、安定的な月額利用料収益を得ております。

 近年のAIやデータアナリティクス、SaaSに対する関心の高まりに象徴されるように、当社の提供するサービスが属する各市場は今後ますます市場成長が見込まれており、市場のニーズにあった機能およびサービスをいち早く投入し、新規事業を立ち上げ続けることが重要な課題と認識しております。

 特に「AIアナリスト」をプラットフォームとしたストック型の収益を安定的に獲得することができるサービスの開発を継続的に行い、さらなるステップアップを視野に入れた事業の収益性向上を目指してまいります。

 当社は、大企業を中心にWACULコンサルティングのサービス提供や、アカデミアおよびビジネスの先端をいく人材を顧問とする社内研究所である「WACUL テクノロジー&マーケティングラボ」を通じて、PoC(Proof of Concept:新規アイディアの検証・実証)を積極的に行い、そこで得られた知見をソリューションに落とし込む形で新規事業の立ち上げおよび「AIアナリスト」の新規機能開発をより一層推進し、社会に普及させていきます。

 

②優秀な人材の確保

 当社は専門性の高い優秀な人材の確保及び在籍する人員の育成に注力し、少人数での効率的な事業運営を意識しつつ、事業規模に応じた組織体制の整備を進めてまいりました。

 今後のDX市場の拡大に伴う事業拡大及び収益基盤の強化を図るにあたり、引き続き優秀な人材を確保・育成することは当社の事業展開を図る上で重要と認識しておりますが、優秀な能力を持つ人材獲得は、他社とも競合し、安定した人材確保が容易ではない状況が今後も継続すると考えております。これまで同様、効率的な事業運営を意識しつつ、事業規模に応じた優秀な人材の組織体制の整備を進めることが課題であると認識しております。

 開発部門においては、サービスの利便性及び機能の向上ならびに新規サービス開発のため、優秀なエンジニアの継続的な採用を継続的に行ってまいります。また、営業・マーケティング部門においては、収益基盤の強化と合わせて適時に採用を行ってまいります。

 

③認知度の向上

 当社は、これまで広告宣伝活動に頼らず、当社が持つWebマーケティング技術及び提供サービスの機能優位性に拠る形での顧客の獲得を図って参りました。その結果として、現在、幅広い業種の企業に当社サービスを導入頂き、継続的な取引による顧客基盤の構築を実現することができていると考えております。

 しかしながら、事業の更なる拡大を図るにあたり、当社ブランド及びサービスのより一層の確立が重要となるため、広告宣伝及びプロモーション活動による認知度の向上が重要な課題であると認識しております。

 

④開発体制の強化

 当社のサービスは高度な処理能力などが求められるため、専門性の高い優秀な開発部門の人材の確保及び育成をすることで、サービスの品質向上に取り組んでまいりました。

 しかしながら先進的な技術開発力を継続して持ち続けることは容易ではなく、継続的な人材の確保及び開発プロセスの改善、社内におけるノウハウの共有や教育訓練等が重要な課題と認識しております。

 

⑤ビッグデータの蓄積・解析体制の強化

 当社のサービスに連携された顧客のGoogleアナリティクスのデータは日々データベースに蓄積され、それらを解析することで顧客へ高品質なサービスを提供しております。

 顧客へさらなる付加価値及び新たなサービスを提供するためには、それらのビッグデータに基づき、AI技術を駆使したより高度なデータ活用を行っていくことが重要な課題と認識しております。

 引き続き、有識者と顧問契約を締結し、適宜情報交換を行うことでビッグデータの蓄積・解析体制の強化に努めてまいります。

 

⑥事業上のパートナー企業との提携の強化

 当社は、提供サービス「AIアナリスト」を自社の販売部門から直販することで顧客基盤を構築してまいりました。

 今後「AIアナリスト」及びその周辺サービスをさらに拡販・成長するためには、事業パートナーとの提携の強化が重要な課題と認識しております。具体的には、当社がまだリーチできていない顧客層をすでに保有している販売パートナーや、「AIアナリスト」の機能で提案されるサイトの改善提案を元に実装・実行等を行うソリューションやサービスを持つパートナーとの提携強化に努めてまいります。

 

 

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