当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
「将来の事象を予測する人工知能(AI)を用いて、データに基づく意思決定に従い、顧客企業の事業が成長・成功することを支援する」ことが当社グループのミッションです。当社グループは、将来、全ての企業のソフトウェアにAIが搭載され、企業の意思決定がより正確で自動的にかつユーザーの行動を先回りするような形で実行されるようになると想定しています。
当連結会計年度においては、営業体制の強化を行い、かつ、継続的にソリューションの改善に努めた結果、当社サービスへの需要が拡大することとなりました。
当連結会計年度の売上収益は12,660,811千円(前連結会計年度比41.1%増)、売上総利益は6,238,908千円(同51.2%増)、将来的な事業拡大のために営業人員やエンジニアの人件費等に対する先行投資を行ったこと及び一時的な上場関連費用277,784千円の発生等に伴い、EBITDA(注)は42,330千円の黒字(前連結会計年度は1,102,798千円の損失)、営業損失は1,116,869千円(前連結会計年度は1,578,468千円の損失)、税引前損失は1,170,072千円(前連結会計年度は1,557,319千円の損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失は1,178,518千円(前連結会計年度は1,453,637千円の損失)となりました。
(注)EBITDA=営業利益+減価償却費及び無形資産償却費+営業費用に含まれる税金費用+上場関連費用
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は31,205,573千円であり、前連結会計年度末に比べて18,811,825千円増加しております。流動資産は前連結会計年度末に比べて14,438,265千円増加しており、主な増加要因は定期預金の預入による増加(前連結会計年度末比8,361,717千円増)、株式の発行による現金及び現金同等物の増加(同4,926,199千円増)、売上収益の増加による営業債権の増加(同748,711千円増)及び契約資産の増加(同361,138千円増)であります。非流動資産は前連結会計年度末に比べて4,373,560千円増加しており、主な増加要因はリース契約の更新及びリース期間の見積りの変更に伴う使用権資産の増加(同2,439,268千円増)、資産化の要件を満たす開発費用の資産計上及び子会社の取得によるのれん及び無形資産の増加(同1,672,183千円増)、株式の新規取得によるその他の金融資産の増加(同155,799千円増)であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は8,369,885千円であり、前連結会計年度末に比べて3,644,305千円増加しております。流動負債は前連結会計年度末に比べて1,354,288千円増加しており、主な増加要因は売上原価の増加に伴う営業債務の増加(同465,250千円増)、子会社の取得に伴う条件付対価に係る債務の計上によるその他の債務の増加(前連結会計年度末比462,029千円増)、外貨借入の為替換算による借入金の増加(同193,829千円増)、リース契約の更新及びリース期間の見積りの変更に伴うリース負債の増加(同154,087千円増)であります。非流動負債は前連結会計年度末に比べて2,290,017千円増加しており、主な増加要因はリース契約の更新及びリース期間の見積りの変更に伴うリース負債の増加(同2,254,557千円増)であります。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は22,835,688千円であり、前連結会計年度末に比べて15,167,520千円増加しております。増加要因は株式の発行等による資本金の増加(前連結会計年度末比7,526,244千円増)及び資本剰余金の増加(同7,396,274千円増)、為替変動によるその他の資本の構成要素の増加(同1,423,520千円増)であり、減少要因は当期損失計上による利益剰余金の減少(同1,178,518千円減)であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、6,560,906千円(前連結会計年度末比4,926,199千円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は746,784千円となり、前連結会計年度の支出839,750千円と比べ、92,966千円支出が減少しました。主な支出の増加要因は契約資産の増加334,230千円(前連結会計年度は契約資産が200,667千円増加)、営業債権の増加633,196千円(前連結会計年度は営業債権が217,620千円増加)、その他の債務の増加176,910千円(前連結会計年度はその他の債務が363,282千円増加)であり、主な支出の減少要因は税引前損失の縮小(前連結会計年度比で387,247千円損失が縮小)、減価償却費及び無形資産償却費の増加(同243,698千円増加)であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は9,075,347千円となり、前連結会計年度の支出2,705,969千円と比べ、6,369,378千円支出が増加しました。主な支出の増加要因は定期預金の預入による支出の増加(前連結会計年度比で13,961,082千円支出が増加)、無形資産の取得による支出の増加(同587,891千円支出が増加)、その他の包括利益を通じて公正価値を測定する金融資産の取得による支出125,000千円(前連結会計年度はゼロ)であり、主な支出の減少要因は定期預金の払戻による収入の増加(前連結会計年度比で8,398,788千円収入が増加)であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は14,396,475千円となり、前連結会計年度の収入1,161,353千円と比べ、13,235,122千円収入が増加しました。主な収入の増加要因は株式の発行による収入15,041,566千円(前連結会計年度はゼロ)、短期借入金の返済による支出の減少(前連結会計年度比で352,459千円支出が減少)であり、主な収入の減少要因は短期借入による収入の減少(同1,293,708千円収入が減少)、旧親会社からの借入による収入の減少(同579,654千円収入が減少)、株式発行費用の支出210,697千円(前連結会計年度はゼロ)であります。
当社グループは、AIテクノロジー企業として、AIプラットフォームを活用した各種ソリューションを提供しており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) 1.AISaaS事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
3.Keystone Marketing Company及び株式会社サイバーエージェントは販売代理店であり、当社グループのデジタルマーケティングソリューションのエンドユーザーではありません。前連結会計年度において、Keystone Marketing Companyはエンドユーザーの1社との取引を一時的に停止しましたが、当社グループは当該エンドユーザーとの取引を維持しておりました。当連結会計年度においては、当該エンドユーザーはKeystone Marketing Companyを通して当社グループのデジタルマーケティングソリューションを利用しております。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積り及び判断を必要としております。当グループは、過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りの不確実性により、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって行っている重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 5.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(3) 目標とする客観的な指標等」に記載の指標等に着目しております。そこで、当社グループにおいては、当該目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上収益成長率、ARR及びARR成長率を重視し、また、これらに関連する指標として、売上総利益成長率、リカーリング売上収益比率、NRR、月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率に着目しております。
これらの指標のうち、ARR、リカーリング売上収益比率、NRR及び月次顧客解約率の近時の推移は以下のとおりです。2021年12月におけるARRは13,806百万円となり、2020年12月の9,436百万円からの成長率は46.3%となっています。2021年下半期におけるリカーリング売上収益比率は95.7%であり、2021年12月期のNRRは123.8%であることから、継続利用する顧客による当社グループのソリューションの利用の拡大が示されています。月次顧客解約率は2021年12月は0.73%と2020年12月の0.82%から0.09%改善しており、顧客の継続性が強まっていることを示しています。
ARR
リカーリング売上収益比率
月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率
(参考情報)
米国ドル建て為替換算後業績推移(未監査)
(注)1.売上収益、売上総利益、営業費用及び営業損失は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくPwCあらた有限責任監査法人の監査を受けた当社グループの連結損益計算書に記載された日本円建ての数値に対して、上記表に記載の為替レートを用いて米国ドル建てに換算した参考情報であり、公認会計士又は監査法人による監査及びレビューは受けていません。
2.営業費用は、販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費、その他の収益、その他の費用の合算値です。
3.EBITDA=営業利益+減価償却費及び無形資産償却費+営業費用に含まれる税金費用+上場関連費用
4.2018年の為替レートは、台湾銀行が公表した各月の為替レートの単純平均です。2019年以降については台湾銀行が公表した各四半期の為替レートの単純平均を用いて円換算を行っており、表中の為替レートはその加重平均を行った為替レートとなっています。
米国ドル建て為替換算後四半期業績推移(未監査)
(注)1.売上収益、売上総利益、営業費用及び営業損失は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくPwCあらた有限責任監査法人による監査及びレビューを受けた当社グループの四半期連結損益計算書に記載された日本円建ての数値に対して、上記表に記載の為替レートを用いて米国ドル建てに換算した参考情報であり、公認会計士又は監査法人による監査及びレビューは受けていません。したがって、表記の為替レートで円換算した金額と連結財務諸表等の連結損益計算書及び要約四半期連結損益計算書とは一致しません。
2.営業費用は、販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費、その他の収益、その他の費用の合算値です。
3.EBITDA=営業利益+減価償却費及び無形資産償却費+営業費用に含まれる税金費用+上場関連費用
4.台湾銀行が公表した各四半期の為替レートの単純平均です。
なお、当社グループが経営上の目標達成状況を判断するために用いている客観的な指標(ARR、リカーリング売上収益比率やNRR等)の中には、第三者の監査等を受けていない社内データを基礎とするものや、一定期間の実績を通年に換算したものなどが含まれており、当社グループの事業及び業績の実態を正確に表していない可能性があります。また、本書に参考情報として掲載している米国ドル換算値は、当社グループの報告通貨である日本円での業績等を正確に表示していない可能性があります。
③ 経営成績の分析
(売上収益)
当連結会計年度においては、営業体制の強化を行い、かつ、継続的にソリューションの改善に努めた結果、当社サービスへの需要が拡大することとなりました。2021年12月におけるARRは13,806百万円となり、2020年12月の9,436百万円からの成長率は46.3%となっています。また、当連結会計年度の売上収益は12,660,811千円(前連結会計年度比41.1%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は6,421,903千円(前期比32.6%増)となりました。これは、売上収益の拡大に伴い、マーケティング・プラットフォームの利用に係る費用やクラウドサーバー利用料等が増加したことによるものであります。
当連結会計年度における売上総利益は6,238,908千円(前連結会計年度比51.2%増)となりました。これは、CrossXのアルゴリズムの正確性が増したことに伴い、より効率的なマーケティングキャンペーンの実施が可能になったこと、かつ、売上総利益率の高いAIQUA、AiDeal及びAIXONからの売上が増えたため、売上総利益率が改善したことによるものであります。
(販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費、その他の収益、その他の費用、営業損失)
当連結会計年度における販売及びマーケティング費用は4,321,576千円(前期比24.9%増)、研究開発費は1,710,537千円(同14.7%増)、一般管理費は1,349,082千円(同66.9%増)となりました。販売及びマーケティング費用及び研究開発費の増加は主に採用活動の強化に伴い営業及び研究開発人員が増加したことによるものであり、一般管理費の増加は主に上場関連費用の発生によるものであります。
その他の収益は27,881千円(前期比47,735千円減)、その他の費用は2,463千円(同17,554千円減)となりました。この結果、営業損失は1,116,869千円(前連結会計年度は1,578,468千円の損失)となりました。
(金融収益、金融費用、税引前損失)
当連結会計年度における金融収益は43,189千円(前期比68,687千円減)、金融費用は96,392千円(同5,665千円増)となりました。金融収益の減少は主に金利の低下による定期預金利息の減少によるものであります。この結果、税引前損失は1,170,072千円(前連結会計年度は1,557,319千円の損失)となりました。
(法人所得税費用、当期損失)
当連結会計年度における法人所得税費用は8,446千円(前期比112,128千円増)となりました。法人所得税費用の増加は、2020年12月期に回収可能性が高まった繰越欠損金に係る繰延税金資産の計上をしたことにより、前期の法人所得税費用がマイナスとなっていたことによるものであります。この結果、当期損失は1,178,518千円(前連結会計年度は1,453,637千円の損失)となりました。
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの主な資金需要は、当社グループの業容拡大のための研究開発活動や営業活動に係る人件費です。これらの資金需要に対しては、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの支出超過、並びに財務活動によるキャッシュ・フローが収入超過の状況を踏まえ、自己資金を基本としております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
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