課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 経営方針について

 当社グループは、「大地の永遠と人類の繁栄に貢献する」を企業理念とし、大地(ゼオ)と永遠(エオン)からなるゼオンの名にふさわしく、独創的な技術・製品・サービスの提供を通じ、「持続可能な地球」と「安心で快適な人々のくらしに貢献する」ことを目指しております。

 また、株主・顧客・地域社会に信頼される企業をつくるためには、役員ならびに従業員一人ひとりが常に社会の一員であることを認識し、法令・企業倫理を守ってフェアに行動することが必須であると考えております。当社グループでは、行動規範である「CSR基本方針」に基づき「CSR行動指針」を定め、国内外の法を遵守することはもとより、社会規範を尊重し、良識ある企業活動を行うべく努めております。

 

(2) 経営環境について

①全般

 2022年3月期の経営環境は、新型コロナウイルス感染症の再拡大や半導体不足の深刻化、ロシアのウクライナ侵攻による影響など、先行き不透明な状況で推移しました。こうしたなかゼオングループは2030年のビジョン「社会の期待と社員の意欲に応える会社」を見据えた中期経営計画のもと、コスト削減や生産革新に取り組むとともに、エラストマー素材事業においては採算性の向上とグローバル展開の強化、高機能材料事業においては付加価値の高い新製品の開発と事業の拡大に注力しました。この結果、当期の連結経営成績は、売上高、営業利益、経常利益、ならびに親会社株主に帰属する当期純利益ともに前期比で大幅増となり、いずれも過去最高となりました。

 

②2030年のビジョン

私たちゼオングループは、「大地の永遠と人類の繁栄に貢献する」、すなわち持続可能な地球と安全で快適な人々の暮らしに貢献することを社会的な使命と認識しています。この使命を果たすべく、「2030年のビジョン」を「社会の期待と社員の意欲に応える会社」と定めました。「2030年のビジョン」から導き出した「2030年に目指す姿」とそれを実現するための全社戦略としては、①カーボンニュートラル(二酸化炭素の吸収量と排出量の均衡)とサーキュラーエコノミー(循環型経済)を実現するものづくりへの転換を推進し、持続可能な社会に貢献し続ける ②既存事業の磨き上げと新規事業の探索によって、社会課題の解決に貢献する製品・サービスを提供する ③個々の強みを発揮できる「舞台」を全員でつくり、「まずやってみよう」「つながろう」「磨き上げよう」の行動があふれる企業を創造するの3つのテーマを設定しています。

この全社戦略に基づき、今後10年間に累計3,500億円の新規投資を実行し、既存事業でROIC(投下資本利益率)9%を達成するとともに、新規事業では2019年度比で600億円の増収を目指します。新規投資による事業拡大と資本効率向上の両立に取り組み、継続的かつ安定的な株主還元を行っていきたいと考えています。

 

③新中期経営計画(2021年度−2022年度)の基本方針と主要施策

新中期経営計画の対象期間2年目となる2022年度は、新型コロナウイルス感染症の終息時期が見通せないなど先行き不透明な事業環境が続くものと見ています。従来以上に慎重な舵取りが求められるなか、ゼオングループはSDGsへの全社的な取り組みを通じて、「2030年のビジョン」実現に向けた基盤づくりを着実に進めていきます。

具体的には、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて独自のマスタープランを策定するとともに、高機能樹脂と電池材料の強化、自動車社会の将来に関する新たな考え方である「CASE」「MaaS」への対応や医療・ライフサイエンス、情報通信(5G/6G)など成長領域へのリソース集中といった戦略的な経営施策を実行し、SDGs貢献製品の売上高比率を順次高めていく計画です。また、グループ社員に対してキャリア形成や働き方など、より多くの「人生の選択肢」を提供することにより、従業員エンゲージメント(自社への信頼感)の更なる向上を目指していきます。

ゼオングループは「2030年のビジョン」とその最初のステージである新中期経営計画に役員・社員全員の力を結集して挑戦し、あらゆるステークホルダーから信頼され期待される企業グループを創り上げてまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、2030年のビジョン「社会の期待と社員の意欲に応える会社」の実現のため、2030年に以下を達成することを目標として掲げております。

 ①CO2排出量50%削減(単体、2019年度比、Scope1+2、GHGプロトコルに基づき算出)

 ②SDGs貢献製品の売上高比率50%

 ③既存事業のROIC9.0%

 ④新規事業の売上高600億円増加(2019年度比)

 ⑤従業員エンゲージメント75%

 ⑥外国人/女性役員比率30%(取締役および監査役。社内・社外を問わない)

 

なお、上記2030年度の目標値に対する2021年度の進捗状況は以下の通りです。

 ①CO2排出量:20年度実績81.5万トン(21年度実績集計中)

 ②SDGs貢献製品の売上高比率:SDGs貢献製品の社内認定制度を構築中

 ③既存事業のROIC:9.7%

 ④新規事業の売上高:金額僅少

 ⑤従業員エンゲージメント:52%(2021年5月調査時点)

 ⑥外国人/女性役員比率:0%

 

(4) 対処すべき課題について

 当社グループは、「社会の期待と社員の意欲に応える会社」という2030年のビジョンを達成するために以下3点を全社戦略とする2021年度と2022年度の2年間の新中期経営計画を策定し、取り組みを開始しました。

・カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーを実現する「ものづくり」への転換を推進する

・既存事業を「磨き上げる」、新規事業を「探索する」

・「舞台」を全員で創る

全社戦略の1点目に関しましては、中期経営計画期間中に2050年を見据えたカーボンニュートラルマスタープラン策定を目指しております。

全社戦略の2点目に関しましては、2030年の目標値である既存事業ROIC9.0%及び新規事業売上高600億円増を目指して、高機能樹脂と電池材料の強化、資源や設備の利用効率向上による既存SBUの勝ち残り、新規事業探索のための重点分野を定めたリソース集中投入に取り組んでまいります。

3点目に関しては2030年の目標値を従業員エンゲージメント75%、外国人/女性役員比率30%と置き、より多くの人生の選択肢を提供することに取り組んでまいります。

 

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