当社グループにおける研究開発の基本方針は、「要素技術を通じて新たな価値を創造し、お客様から選ばれるソリューションパートナー」を目指し、お客様の価値向上と社会課題の解決に貢献し、事業を通じて社会・環境価値を創出することでグループの持続的成長を果たすことであります。
この基本方針のもと、当社グループの強みである押出・延伸等のプラスチック加工技術を基礎に、より競争力のある製品を生み出すべく経営資源を集中し、グループ一体となって取り組んでおります。
当社グループの研究開発活動は、R&Dセンターを中心に各事業部門が密接に連携を取りながら、短期的成果の実現と中期的先行開発のバランスに配慮し、効率的に新たな技術や製品開発に取り組んでおります。
また、各種研究機関、大学、企業とのプロジェクト、共同研究もR&Dセンターを中心に推進しております。
当連結会計年度における主な活動内容は次のとおりであります。
[R&Dセンター]
市場の伸長が期待される「情報電子」「ライフサイエンス」「環境・エネルギー」に加え、3つの領域を横断するモビリティ領域を注力分野とし、新しい要素技術の獲得に取り組み、事業につながる新製品を開発するべく取り組んでおります。
「情報電子」分野では、次世代通信規格5Gで要求される高周波低損失基板用部材の開発を継続し、前連結会計年度に抽出した加工安定性などの課題解決のため、新たに試験設備を導入し検討を開始いたしました。また、光学材料の開発において、オープンイノベーションを活用した貼合技術の開発を行い、特許出願いたしました。
「ライフサイエンス」分野では、今後の拡大が期待される細胞培養関連部材の開発を継続し、顧客へのサンプル提供を開始いたしました。また、植物の機能性成分の含有量や生育効率を高める栽培方法を確立するため、香川県仲多度郡多度津町に開設した試験農場で、大学との共同研究を開始しました。ヘルスケアや機能性表示食品などの原料になる植物由来の機能性成分を抽出する技術検討では、機能性成分を効率的に抽出する方法を見出し、特許出願いたしました。
「環境・エネルギー」分野では、プラスチック製品の資源循環、海洋プラスチック問題等の社会課題解決に取り組み、市場から回収した廃棄プラスチックや当社内でプラスチックフィルムを製造する過程で発生する樹脂を再利用した環境負荷低減製品の開発を行っております。引き続き、従来使用できなかったプラスチックの有効利用法について検討いたします。
[合成樹脂事業]
環境問題がクローズアップされる中、2021年7月に資源循環推進プロジェクトを立ち上げました。まず農業用フィルムのリサイクルに取り組み、市場から農業用ハウス等のプラスチックフィルムを回収・再生し、それを農業用マルチフィルムに使用するサイクルを開始しました。2022年度から本格的な販売を行います。
また、お客様の生産性UP・省力化に貢献する自動包装機とフィルムのセット販売に取り組み、お客様にソリューションを提供できるシステムの販売を開始しました。
さらにモビリティ分野では、自動車の脱ガソリン化に伴い車内温度調整の省エネに貢献する遮熱天井材を開発し、採用されました。今後コストダウンを図り用途展開を促進させます。
また、自動車のEV化加速に対応した次世代電池関連部材の開発にも取り組んでおります。
[新規材料事業]
IoT分野では、5Gをはじめとした通信機器や、VR/ARなど拡張現実を実現する新しいデバイス、フレキシブル・ローラブルタイプのディスプレイの普及、実用化が始まっております。
自動車においては、ドライバーの安全運転支援を目的とした各種アプリケーションの開発が進むとともに、車載ディスプレイでは、大型化、曲面化、高度化が進んでおります。
当事業では、高精度製膜延伸技術・ファインコーティング技術・各種二次加工技術・評価技術を用い、ディスプレイの進化に対応した素材開発を進めております。
[建材事業]
当事業では引き続き、木材の循環型リサイクル製品であるパーティクルボードをベースに、ウッドショックや輸入停滞に伴う海外木質パネルの代替分野、国産材を使用した環境貢献型コンクリート型枠パネルの開発を進めました。
脱炭素社会の実現に向け、二酸化炭素の長期固定に貢献する木材の利用価値がますます重要となることを背景に、当社グループの持つ木質材料、木材加工、木造建築の分野が垂直連携し、木造構造や建築土木領域での木質材料の開発を進めております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は
なお、当連結会計年度末における特許権及び実用新案権の総数は170件であります。
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