当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスに対するワクチン接種の拡大効果により緩やかに回復の兆しを見せつつも、度重なる感染再拡大による生産活動への制約が繰り返されるなど、依然として先行きが不透明な状況にあります。当社グループの主要な取引先である自動車業界でも需要の順調な回復が認められる一方、新型コロナウイルス再拡大や半導体他様々な部品の供給面での影響を受け、頻繁に生産調整を繰り返すなど、本格的な回復の遅れが顕著であり、更にロシアのウクライナ侵攻による地政学リスクの高まりや原油および原材料価格の高騰などによる悪影響も重なり、経済活動の停滞や今後の景気回復への影響に対する懸念が払拭されないまま推移しております。
こうした状況下で、2021年度前半の当社の業況は新型コロナウイルス感染拡大も落ち着きを見せ始めていたこと等による安定的な需要回復を背景に昨年8月に業績予想を上方修正いたしましたが、年度後半以降には様相が一転、感染再拡大の影響や世界的な半導体不足に代表される部品調達難に起因する生産調整等による自動車部品事業における売上高の減少および主要原材料である樹脂価格の高騰等、当初の想定以上に収益を圧迫する要因が重なったため、今年3月に連結および個別業績予想の下方修正に到る状況となりました。
海外事業においては、主力であるタイ、ベトナムの事業も新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け2021年度第3四半期は経営環境が急速に悪化したものの、事業構造改革およびコスト削減効果により第4四半期では順調に回復に向かいました。
また、国内事業においても海外事業と同様に収益面では全社における事業構造改革およびコスト削減効果により年度前半は順調に推移しておりましたが、第3四半期以降は新型コロナウイルス感染症の再拡大や自動車業界の生産調整、原材料価格高騰等による悪影響を受け、連結・個別とも昨年8月に開示いたしました会社予想に対しては売上高・損益とも減収・減益となりました。
財務体質の健全化については、進めてきた様々な経営改善施策の実施による事業収益性の改善に加え、前々連結会計年度までの赤字による資本の毀損、今後の新製品、新技術の開発のための新たな資金の調達不安や人材不足等の問題を解決すると同時に抜本的な再建が必要と判断し、2020年1月に産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(いわゆる事業再生ADR手続)の正式な申請を行い、対象債権者(取引先金融機関)による金融支援等を内容とした事業再生計画を策定、2020年4月開催の事業再生ADR手続の第3回債権者会議において、全ての対象債権者からの同意のもと、事業再生計画および事業再生ADR手続を着実に進めることと、2020年6月に、当社の主力市場である自動車業界への豊富な投資実績を有するエンデバー・ユナイテッド株式会社が組成したファンドであるエンデバー・ユナイテッド2号投資事業有限責任組合との間で、第三者割当方式により、普通株式およびA種優先株式を発行する資本増強策を実施いたしました。
当社グループは、この事業再生計画を確実に実施することにより収益力を上げ、財務内容を健全化させ経営基盤を安定化させると同時に、安定操業の確保、コンプライアンスの遵守およびリスク管理の強化などに継続的に取り組んでまいりました。
その結果、このような非常に厳しい経営環境下ではありましたが、2019年度を初年度とした3年間の中期経営計画に織り込まれた事業構造改革および2020年4月に成立した事業再生ADR手続および事業再生計画に基づく経営再建を着実に進め、更に徹底した各種原価低減に取り組んだ結果、当期の連結業績は前年度および事業再生計画の計画値を上回る連結売上高・利益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
当社グループは製品別セグメントから構成されており、「自動車部品事業」、「住宅設備・冷機部品事業」および「アドバンスドマーケット事業」の3つを報告セグメントとしております。
自動車部品事業
当事業の国内自動車部門におきましては、新型コロナウイルス感染症の再拡大、半導体等部品供給不足の影響で年度後半より減産傾向が続き売上高が減少しましたが、年度前半において国内・海外向けSUV車を中心に需要が順調に推移したことにより売上高は微増となりました。海外自動車部門におきましても、同様に新型コロナウイルス感染症の影響は残る状況ではありますが、タイのECHO AUTOPARTS(THAILAND) CO.,LTD.については、前連結会計年度と比べ回復基調となり売上高は増加いたしました。
この結果、売上高は84億50百万円(前連結会計年度比8.4%増)、セグメント利益は4億47百万円(前連結会計年度比220.7%増)となりました。
住宅設備・冷機部品事業
当事業の国内住宅設備部門におきましては、住宅リフォーム需要の緩やかな増加が継続していることによるオリジナル洗面化粧鏡の好調、引き続きのDIY等の巣篭り需要が好調を継続、加えて業務用空調部品が増加したことにより、売上高は増加いたしました。海外冷機部品部門におきましては、タイのTHAI KODAMA CO.,LTD.は冷機部品が、新型コロナウイルス感染症の影響もあり売上高は微減となりました。ベトナムのTHAI KODAMA (VIETNAM)CO.,LTD.は引き続き業務用冷蔵庫部品が好調に推移し、売上高は増加いたしました。
この結果、売上高は52億91百万円(前連結会計年度比4.7%増)、セグメント利益は5億56百万円(前連結会計年度比34.1%増)となりました。
アドバンスドマーケット事業
当事業におきましては、ゲームソフトパッケージの事業で、昨年需要期ほどの増加は無かったものの、新規に参入しましたIT機器事業や植物工場向けなどの事業の売上が寄与したことにより増収となりましたが、一方で、事業拡張のための先行的な費用などが必要であったため、利益率10%以上を確保したものの、減益となりました。
この結果、売上高は11億42百万円(前連結会計年度比24.1%増)、セグメント利益は1億21百万円(前連結会計年度比12.9%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、128億85百万円となり、前連結会計年度と比べ3億51百万円の減少となりました。
流動資産では、売上債権の減少により1億81百万円減少し、固定資産では有形固定資産の減少等により1億69百万円の減少となりました。
負債では、流動負債は短期借入金の減少等により6億20百万円減少し、固定負債は長期借入金の減少等により2億61百万円の減少となりました。
純資産では、利益剰余金の増加等により、5億30百万円の増加となりました。これらの結果、自己資本比率は28.3%(前連結会計年度末は24.4%)となりました。
当連結会計年度の現金および現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により10億87百万円増加し、投資活動により3億84百万円減少し、財務活動により9億8百万円減少いたしました。この結果、資金は前連結会計年度より1億84百万円減少し、17億68百万円(9.4%減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は10億87百万円(前連結会計年度比4億59百万円の収入増)となりました。これは主に、税引前当期純利益および減価償却費等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は3億84百万円(前連結会計年度比3百万円の支出減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は9億8百万円(前連結会計年度比18億25百万円の支出増)となりました。これは主に、借入金の返済によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当社グループは受注による生産を行っておりますが、いずれも随時受注契約で、受注確定日と納入日は短期間のため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、棚卸資産、繰延税金資産、固定資産の減損損失及び退職給付に係る負債等であり、継続して評価を行っております。なお、当社グループは、新型コロナウイルスの影響が少なくとも一定期間続くとの仮定の下、期末時点で入手可能な情報をもとに会計上の見積りを行っております。しかしながら、新型コロナウイルスの影響は不確実性が大きく、将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もあり、翌連結会計年度の当社グループの財政状態、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社は、以下の会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の算定に際して用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、国内におきましては、2021年前半は新型コロナウイルス感染拡大も落ち着きを見せ始めていたこと等による安定的な需要回復を背景に順調に推移いたしましたが、年度後半以降には様相が一転、感染再拡大の影響や世界的な半導体不足に代表される部品調達難に起因する生産調整等による自動車部品事業における売上高の減少および主要原材料である樹脂価格の高騰等、収益を圧迫する要因が発生いたしました。海外におきましては、タイ、ベトナムの事業も新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け2021年度第3四半期は経営環境が急速に悪化したものの、事業構造改革およびコスト削減効果により第4四半期では順調に回復に向かいました。
その結果、当連結会計年度の売上高は148億84百万円(前連結会計年度比8.1%増)と増収となり、営業利益は6億77百万円(前連結会計年度比33.2%増)、経常利益は5億79百万円(前連結会計年度比64.5%増)、税金等調整前当期純利益は5億79百万円(前連結会計年度比52.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億17百万円(前連結会計年度比19.2%増)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について、主事業は受注生産事業であり、得意先の工法変更、外注政策、競業他社との受注競争および生産動向等により受注高が大きく変動することがあります。
また、当社グループの主力分野であるプラスチックス材料での住宅設備、自動車部品分野は、過当競争体質の状況下にあり、価格競争が激しく、当社グループにとって不利な受注価格になることがあります。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、営業活動による資金の増加は10億87百万円(前連結会計年度比4億59百万円の収入増)となりました。これは主に、税引前当期純利益および減価償却費等によるものであります。
投資活動による資金の減少は3億84百万円(前連結会計年度比3百万円の支出減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものであります。
財務活動による資金の減少は9億8百万円(前連結会計年度比18億25百万円の支出増)となりました。これは主に、借入金の返済によるものであります。
今後、内部留保を超える設備投資は借入等外部調達にて対応予定であります。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、世界各地において経済活動が制限される状況が続いています。当社グループの自動車部品事業においては、得意先の生産状況等を鑑み、国内および海外の一部の工場で一時的な稼働停止や生産調整を行うなど厳しい事業環境が続いており、今後の経過によっては当社グループの財政状況および経営成績等に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の世界経済への影響規模やまん延の終結の時期等については見通しが難しい状況ですが、当社グループは、事業環境が改善するまでは、機動的・予防的な財務施策により資金の流動性確保に努めるとともに、需要に応じた生産活動の徹底、設備投資の抑制や徹底的な固定費削減など緊急対策等を進め、新型コロナウイルス感染症の影響が最小限となるよう努めています。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標」に記載のとおりです。
当目標の達成に向けた取り組みについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題」に記載のとおりです。
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