業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの感染状況、ワクチン接種状況、経済対策の多寡によって国や地域ごとに差はあるものの概ね経済活動の正常化が進展してきました。しかしながら年後半には、新たな変異ウイルスの感染急増による消費の低迷に加え、半導体供給不足、原油価格やその他原材料価格の上昇、人手不足、サプライチェーンの混乱等の要因により、経済の回復ペースが鈍化しました。

このような状況下、物流環境の悪化に伴う海外輸送コスト高騰や原材料費上昇の影響はありましたが、想定より円安で推移したことに加え、一部製品における価格改定もあり、全ての用途向けの販売が当初計画を上回って推移し、好調な自動車用とRV用の販売が牽引したことで、第4四半期の売上は前年同四半期を大きく上回りました。また生産数量の増加による生産効率改善や不良品率低下もありました。

この結果、2021年12月期の売上収益は141億34百万円(前年同期比41.3%増)、営業利益は14億81百万円(同264.9%増)、税引前当期利益は13億47百万円(前連結会計年度は税引前当期損失61百万円)、当期利益は9億86百万円(前連結会計年度は当期利益35百万円)となりました。

 

用途別の売上収益の概況は、次のとおりであります。

家具用

リモートワークの普及と在宅時間長期化に伴いホームオフィス用製品や住居用アウトドア製品の市場が拡大し、またコロナ感染拡大の収束に伴い医療機関や歯科医院の設備需要が回復し、住居・ヘルスケア向けは好調に推移しました。一方、コントラクト家具やレストラン・ホテルなどホスピタリティ分野の回復は遅れており当初見込みより時間を要しておりますが、全ての分野で前年同四半期を上回りました。

なお、内部管理体制の変更により当連結会計年度からヘルスケア向けをその他の用途向けから家具用に13億99百 万円移管しております。

この結果、家具用の売上収益は40億59百万円(前年同期比14.1%増)となりました。

なお、移管前の家具用の売上収益は26億60百万円(同0.3%減)であります。

自動車用

シート用素材分野は販売先自動車メーカーの生産拡大により米州・欧州向けともに好調に推移し、自動車向け全体の成長を牽引しました。ギャップハイダーやシフトブーツ向けなど内装材分野では、半導体不足などの影響が一部の販売先に見られたものの、前年を上回り堅調に推移しました。

この結果、自動車用の売上収益は55億92百万円(同51.1%増)となりました。

航空機用

ビジネスジェット向けは、コロナ感染拡大の影響で販売先メーカーに滞留していた在庫の調整が一巡し、年後半から販売が急激に回復し前年を上回りました。また、民間航空機向けは、既存及び新規に獲得したプログラム向けの出荷が当初の見込みより早いテンポで増えて前年を大きく上回りました。

この結果、航空機用の売上収益は10億29百万円(同36.0%増)となりました。

その他

その他事業分野には、RV・アパレル・船舶・トラック用などが含まれます。コロナ感染拡大の影響により家族単位での活動に消費者の嗜好が変化したことを受けて、RVや船舶向けの販売が大きく回復しました。トラック向けも年後半に入り半導体の影響から失速したものの、上期の好調な北米市場の需要により前年を上回りました。これらの分野がその他売り上げ全体を牽引し前年同四半期を大きく上回りました。

なお、内部管理体制の変更により当連結会計年度からヘルスケア向けをその他の用途向けから家具用に13億99百 万円移管しております。

この結果、その他の売上収益は34億53百万円(同74.0%増)となりました。

なお、移管前のその他の売上収益は48億53百万円(前年同期比68.8%増)であります。

 

 

② 財政状態

 当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ37億69百万円増加し、313億82百万円となりました。これは主に、売上収益の増加に伴う営業債権及びその他の債権及び棚卸資産の増加、為替相場が円安に推移した影響により外貨建の無形資産が増加したことによるものです。

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べ12億71百万円増加し、193億3百万円となりました。これは主に、営業債務及びその他の債務、未払法人所得税等、リース負債が増加したことによるものです。

 資本につきましては、前連結会計年度末に比べ24億98百万円増加し、120億79百万円となりました。これは主に当期利益による増加、ストック・オプション行使に伴う資本の増加、その他の資本の構成要素の増加があったことによるものです。

 

③ キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4億71百万円増加し、35億20百万円(前年同期比15.5%増)となりました。これは主に、減価償却費及び償却費の計上13億85百万円及び税引前当期利益の計上13億47百万円があったことに対し、長期借入金の返済17億47百万円及び有形固定資産の取得による支出6億5百万円があったことによるものです。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は20億79百万円(同18.7%増)となりました。

これは主に減価償却費及び償却費13億85百万円及び税引前当期利益13億47百万円があったことに対し、棚卸資産の増加8億96百万円があったことによるものです。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は9億57百万円(同579.0%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものです。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は7億54百万円(前年同期は31百万円の獲得)となりました。これは主にストック・オプションの行使による収入が8億54百万円あったものの、長期借入金の返済により17億47百万円減少したことによるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

 当社グループはポリウレタンレザーの専門メーカーであり、当該事業以外の異なる事業を営んでおりません。

 当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。

用途別の名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

ポリウレタンレザー(百万円)

9,064

154.8

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。

用途別の名称

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

ポリウレタンレザー(百万円)

16,226

154.0

3,530

178.6

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

用途別の名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

ポリウレタンレザー(百万円)

14,134

141.3

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループの経営陣は連結決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因等に基づき行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるためにこれらと異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは単一事業のため、経営成績数値は上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりであります。

当連結会計年度の業績は以下の要因により実現いたしました。

売上収益

顧客からの受注急増に対応して、品質を維持しつつ、大幅な生産体制を整備した結果、好調な自動車用の販売が全体を牽引し、全ての用途向けにおいて前期対比で増収となりました。

・リモートワークの普及と在宅時間長期化でホームオフィス・住居用アウトドアの製品市場が拡大

・医療機関や歯科医院の設備需要が回復して住居・ヘルスケア向けが販売増

・自動車メーカーの生産拡大により米州および欧州向け自動車シート用が好調に推移

・既存及び新規に獲得した民間航空機向けプログラムが想定より早く出荷されて貢献

・販売先メーカーに滞留していた在庫の調整が一巡して年後半からビジネスジェット向けが急激に回復

・家族単位でのレジャーに嗜好が変化してキャンピングカーやクルーザー向けが大きく回復

・ギャップハイダーやシフトブーツの自動車内装材向け、及びトラック向けで半導体不足の影響を受ける

・在宅勤務やデジタルマーケティング等、スムーズな働き方が定着したことで積極的な販売活動を継続

営業利益及び税引前当期利益

販売が回復して受注が急増し、不良品率が低下しながらも生産性が上ったため、輸送費の上昇や販売費の増加等、複数のコストアップ要因を吸収し、前期比で大幅な増益となりました。

・一部の販売価格の改定およびサーチャージの実施

・生産量が増加したことにより工場稼働率が上昇して製造原価が低下

・物流環境の悪化に伴って海外輸送コストが高騰し、原材料費が上昇

・想定より円安で推移して為替差益増

・販売増でマーケティングや販売の関連費用の増加

当期利益

米国において新型コロナウイルス関連助成金の非課税措置は無かったものの、人件費関連の税額控除が適用されて法人税額が減少し、前期比で大幅な増益となりました。

 

③ 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ37億69百万円増加し、313億82百万円となりました。これは主に、販売高の拡大に伴う売上債権及び棚卸資産の増加に加え、外国為替相場が前連結会計年度に比べ大幅に円安基調で推移したことにより外貨建無形資産が増加したことによるものです。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ12億71百万円増加し、193億3百万円となりました。これは主に、仕入債務、未払法人税及びリース債務の増加等によるものです。

資本につきましては、前連結会計年度末に比べ24億98百万円増加し、120億79百万円となりました。これは主に配当金の支払いによる減少があったものの、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金の増加及び当期利益の計上により増加したことによるものです。

 

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、事業活動における収益力の向上に加え、運転資金の効率化等により多様化する顧客ニーズに対応した設備投資を行うためのキャッシュ・フローの獲得を進めております。

当社グループは設備投資に必要な資金については自己資金の利用とともに、必要に応じて銀行借入金により調達しております。

資金の流動性については、金融機関との間に結んでいる当座貸越契約に加えセーフティネット保証融資や新型コロナウイルス感染症特別貸付等を活用することにより当連結会計年度に保有している35億20百万円の現金及び現金同等物を確保し、資金需要にタイムリーに対応ができる状況を維持しております。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析

当社グループは2021年2月に公表した中期経営計画における2021年目標を売上収益120億円、営業利益10億円、当期利益5億円、EBITDA23億円としておりました。

これに対し2021年の通期業績は売上収益141億34百万円、営業利益14億81百万円、当期利益は986百万円、EBITDA30億58百万円となり、目標を上回りました。主な要因は② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容に記載のとおりです。

2021年の業績を踏まえ、2022年2月に2022年~2024年中期経営計画を公表しました。2024年の目標を売上収益225億円、営業利益31億円、当期利益は19億円、EBITDA49億円と掲げ、目標達成に向けて①成長の複線化 ②規模拡大・収益性改善による財務企業価値の向上 ③サステナビリティの重視による非財務企業価値の向上を進めてまいります。

 

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