① 経営成績の状況
当連結会計年度(2021年1月1日~2021年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止策として緊急事態宣言が年初から発令されていたことで厳しい状況が続いていましたが、10月以降は新規感染者数も減少するなど、持ち直しの動きが見られています。しかし、オミクロン株による感染再拡大の懸念、世界的な経済活動の低下に起因する供給面の制約、原材料価格の動向等による下振れリスクがあり、先行き不透明感は依然として残っています。
このような状況において、当社グループは生活上必要不可欠な容器-カタチ(容)あるウツワ(器)-をつうじて、お客様の商品である内容物の価値を安全に包み、さらにその価値と個性化を高め「世界の器文化に貢献」することを使命とし、世界の持続可能な発展に貢献する容器開発を継続して進め、お客様の求める商品価値の創造とより高い満足を目指して、Standoutなパッケージングソリューションを提供しております。
また、当社グループは自然に還りやすい「生分解性プラスチック」の容器を開発して以来、植物由来のバイオマスプラスチックやリサイクルされた原材料を使用した製品、プラスチック材料の使用量を削減した製品、詰め替え、付け替え機能の付加により繰り返し使用できる製品など、幅広いラインナップで環境配慮型の製品を提供しております。
業績面ではスタンダードボトルを軸とした開発提案型の営業活動を継続して行い、新規案件の獲得に努めたことで既存製品の追加注文も拡大し、化粧品向けを中心に売上が増加しました。また、当社の幅広い環境配慮型の製品ラインナップや環境への取り組みも含めてお客様から評価いただいたことにより、環境対応容器売上も増加しました。中国では化粧品開発に関する規制強化があり、現地の中堅化粧品会社の商品開発が停滞したものの、日系・外資系企業への販売が増加したことで現地通貨ベースの売上高は前期を上回り、さらに中国人民元に対する円相場の下落(円安)により円換算額が大きく増加しました。以上の影響により連結売上高は増収となりました。
一方、今年初めからの原油価格の上昇による樹脂原材料価格の上昇、中国国内の社会保険料軽減措置が終了したことや、労務費・人件費の増加などの要因により、連結営業利益は減益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は157億76百万円(前年同期比6.1%増)、連結営業利益は17億54百万円(前年同期比1.3%減)となりました。連結経常利益は外貨建債権の為替換算の影響により為替差益が生じたことなどにより18億37百万円(前年同期比2.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は11億93百万円(前年同期比143.3%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、64億12百万円(前年同期比16.5%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況については下記のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、17億86百万円(前年同期比38.7%減)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益18億26百万円、減価償却費10億9百万円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額8億56百万円及びたな卸資産の増加額2億71百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、5億32百万円(前年同期比14.1%増)となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出4億87百万円及び無形固定資産の取得による支出36百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、6億15百万円となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入4億円であり、支出の主な内訳は長期借入金の返済による支出7億14百万円、配当金の支払額3億円であります。
当社グループは、容器事業の単一セグメントであるため、「生産、受注及び販売の状況」につきましてはセグメント別の記載を省略しております。
(a) 生産実績
当連結会計年度の生産実績を生産品目の分類ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の受注実績を販売先の主要事業内容ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記区分は当社グループの販売品目である容器類について、販売先の主要事業内容により分類したものであります。販売先における容器等の用途と区分名称は異なる場合があります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績を販売先の主要事業内容ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の区分は当社グループの販売品目である容器類について、販売先の主要事業内容により分類したものであります。販売先における実際の用途と上記区分名称は異なる場合があります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積が必要な事項につきましては、会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積を行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大により会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
② 財政状態の分析
(a)流動資産
流動資産は、前連結会計年度末と比較して15億42百万円増加の118億20百万円となりました。主な変動要因は、現金及び預金が9億23百万円増加、受取手形及び売掛金が2億43百万円増加、商品及び製品が2億52百万円増加したことによるものであります。
(b)固定資産
固定資産は、前連結会計年度末と比較して2億77百万円減少の71億56百万円となりました。主な変動要因は、建物及び構築物(純額)が、1億23百万円減少、機械装置及び運搬具(純額)が1億7百万円減少、金型(純額)が59百万円増加、建設仮勘定が45百万円減少したことによるものであります。
(c)流動負債
流動負債は、前連結会計年度末と比較して1億35百万円増加の44億66百万円となりました。主な変動要因は、支払手形及び買掛金が80百万円増加、電子記録債務が1億91百万円増加、1年内返済予定の長期借入金が86百万円増加、未払法人税等が2億25百万円減少したことによるものであります。
(d)固定負債
固定負債は、前連結会計年度末と比較して3億81百万円減少の35億29百万円となりました。主な変動要因は、長期借入金が4億1百万円減少したことによるものであります。
(e)純資産
純資産は、前連結会計年度末と比較して15億11百万円増加の109億80百万円となりました。主な変動要因は、親会社株主に帰属する当期純利益計上による利益剰余金の11億93百万円増加、為替換算調整勘定が6億12百万円増加、剰余金の配当が3億円であったことによるものであります。
③ 経営成績の分析
(a)売上高
当連結会計年度の売上高は、容器の企画、開発、スタンダードボトルを軸とした営業活動並びにビスポーク開発実績を生かした提案活動を積極的に展開するとともに、当社グループが提供可能な製品ラインナップをより一層拡充し新規案件の確保に努めた結果、昨年の新型コロナウイルス感染症の影響による衛生関連向け容器需要は一段落したものの、スタンダードボトルに対する需要の増加や環境対応容器への需要の増加もあったため、157億76百万円(前年同期比6.1%増)となりました。
(b)売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、売上の増加や内製化努力等による生産性向上により、粗利額は増加したものの、樹脂原材料価格上昇や労務費増加の影響等により49億79百万円(前年同期比1.4%増)に留まり、売上総利益率は前連結会計年度の33.1%から31.6%と1.5ポイント減少いたしました。
(c)営業利益
当連結会計年度の営業利益は粗利額は増加したものの、販売費及び一般管理費が32億24百万円(前年同期比2.9%増)と増加したことにより17億54百万円(前年同期比1.3%減)となりました。また、営業利益率は前連結会計年度の12.0%から11.1%と0.8ポイント減少いたしました。
(d)経常利益
当連結会計年度の経常利益は受取利息29百万円(前年同期比13.5%増)、助成金収入13百万円(前年同期比31.8%減)、為替差益43百万円などの営業外収益合計が99百万円(前年同期比33.8%増)となるとともに、支払利息15百万円(前年同期比11.3%減)などの営業外費用合計が17百万円(前年同期比73.0%減)となった結果、18億37百万円(前年同期比2.7%増)となり、経常利益率は前連結会計年度の12.0%から11.6%と0.4ポイント減少いたしました。
(e)親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、2020年度に計上したインド子会社での減損損失の影響がなくなったこと、法人税、住民税及び事業税6億30百万円(前年同期比9.0%減)を計上したことなどにより11億93百万円(前年同期比143.3%増)となりました。
④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、中長期的な視点で企業価値を向上することが重要であると認識しており、売上高伸長率、売上高営業利益率、EBITDAマージン、及びROE(自己資本利益率)を主要な経営指標と位置付けております。
当社グループでは、容器の企画、開発、スタンダードボトルを軸とした提案活動を積極的に展開するとともに、当社グループが提供可能な製品ラインナップをより一層拡充し新規案件の確保に努めた結果、スタンダードボトルに対する需要の増加や環境対応容器への需要の増加もあったため、当連結会計年度の売上高伸長率は6.1%増、売上高営業利益率は11.1%となりました。さらに、お客様の製品開発期間と金型負担を軽減できるスタンダードボトル市場が引き続き拡大するとの予測に基づいて金型及び生産設備への投資を継続的に実施しており、EBITDAマージンは17.5%となりました。
また、ROEは2020年度に計上した減損損失の影響がなくなり前連結会計年度比6.4ポイント増加の11.7%となりました。今後も引き続き企業価値向上に努め、これらの指標を向上させるべく対応してまいります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
キャッシュ・フローの状況分析につきましては、「第2.事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金の源泉については、営業キャッシュ・フロー及び金融機関による長期借入(当連結会計年度では400百万円)であります。また、資金需要のうち、主なものは運転資金、設備投資資金、借入金の返済及び利息の支払い並びに配当金及び法人税の支払いであります。
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