業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って緊急事態宣言の発令と解除が繰り返され、経済・社会活動が繰り返し制限されるなど、先行きの不透明な状況が続きました。

このような経済状況におきまして、当社グループは、高付加価値製品の積極的な販売促進活動を実施するとともに、生産性の向上にも努めました。機能製品事業につきましては、事業再構築の一環として高品質による差別化が可能な製品に絞り込んだことなどから売上が減少した一方、光学シート事業は引き続きリモートワーク・リモートラーニング需要が堅調だったことや、直下型ミニLED液晶ディスプレイ向け新製品の量産出荷本格化などにより、売上が増加しました。また、前連結会計年度以前から取り組んでまいりました開発案件につきましても、用途拡大や新規採用の獲得に努めました。

なお、機能製品事業における差別化製品の開発や生産を強力に推進するためにSATC K-Site(旧九州工場)及びSATC T-Site(旧東京工場)の機能を滋賀アドバンストテクノセンターに集約することを決定し、2022年12月期上期中に設備の移設を含めた生産集約に伴う工場の移転統合を完了する見込みとなっております。

この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は18,130百万円(前期比23.0%増)、営業利益は3,135百万円(前期比184.4%増)、経常利益3,467百万円(前期比248.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,569百万円(前期比246.9%増)となりました。

なお、セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

[光学シート事業]

タブレット・ノートPC向けでは、高性能な直下型ミニLED液晶ディスプレイ向けに新規開発した複合拡散板「オパスキ®」が、第1四半期に量産出荷を開始して以降、タブレット・ノートPCの需要増加に伴い順調に売上が増加したほか、光拡散フィルム「オパルス®」についても、新型コロナウイルス感染症の影響によるリモートワーク・リモートラーニング需要の増加が継続したことや、ディスプレイの高精細化に寄与する高性能な当社製品の採用が増えたことなどから、売上が増加いたしました。その一方、スマートフォン向けでは、一部の機種で液晶ディスプレイから有機ELディスプレイへの変更が進んだことなどから光拡散フィルム「オパルス®」の売上が減少いたしました。利益面においては、売上の増加に加え、高付加価値製品の販売構成比が前年同期比で増加し収益性が向上したことや、為替相場が円安基調で推移したことなどにより、大きく伸長いたしました。

この結果、売上高13,951百万円前期比42.8%増)、セグメント利益5,389百万円前期比89.8%増)となりました。

 

 

[機能製品事業]

鉄鋼メーカーを中心とする需要回復により防錆包装資材の売上が増加した一方、前連結会計年度より取り組んでまいりました事業再構築の一環として高品質による差別化が可能な製品に絞り込んだことなどにより、機能製品事業全体の売上は減少いたしました。なお、前連結会計年度に販売を開始したクリーンエネルギー車向け特殊フィルムが採用車種の拡大などにより販売が増加したほか、医療・衛生向けのフィルム製品の販売を新たに開始するなど、高い成長が見込まれる分野での販売増加に向けて、引き続き取り組んでおります。利益面においては、売上は減少したものの、製品構成の変化により収益性が向上したことや、生産設備の集約にともない、人的資源を光学シート事業などの成長領域に重点配分したことで当事業部の固定費が抑制された効果などにより、前年同期比で増加しております。

この結果、売上高4,178百万円前期比15.8%減)、セグメント利益136百万円前期比146.0%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における総資産は28,771百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,116百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が5,034百万円、受取手形及び売掛金が1,990百万円、有形固定資産が2,598百万円、それぞれ増加したこと等によるものであります。

(負債)

当連結会計年度末における負債は14,624百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,183百万円増加いたしました。これは主に、電子記録債務が886百万円、営業外電子記録債務が1,347百万円、未払法人税等が622百万円、長期借入金が741百万円、それぞれ増加したこと等によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は14,146百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,932百万円増加いたしました。これは主に、資本金が2,163百万円、資本剰余金が2,163百万円、利益剰余金が2,450百万円、それぞれ増加したこと等によるものであります。

この結果、自己資本比率は49.2%(前連結会計年度末40.9%)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より5,069百万円増加し、8,902百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、2,176百万円の収入(前期は1,224百万円の収入)となりました。主な要因としては、税金等調整前当期純利益3,271百万円、減価償却費1,348百万円による収入があった一方で、売上債権の増加額1,875百万円などの支出があったことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,274百万円の支出(前期は1,679百万円の支出)となりました。主な要因としては、有形固定資産の取得による支出2,589百万円などの支出があったことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、4,951百万円の収入(前期は1,593百万円の収入)となりました。主な要因としては、株式の発行による収入4,312百万円、長期借入れによる収入2,300百万円があった一方で、長期借入金の返済による支出1,478百万円などの支出があったことによります。

 

 

(2) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

光学シート事業

9,614,766

164.3

機能製品事業

3,248,611

90.8

合計

12,863,377

136.4

 

(注) 1.金額は、標準原価によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

光学シート事業

19,268,708

161.5

3,405,114

262.8

機能製品事業

3,902,320

73.4

170,789

48.0

合計

23,171,028

134.4

3,575,903

216.5

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

光学シート事業

13,951,984

142.8

機能製品事業

4,178,749

84.2

合計

18,130,734

123.0

 

(注) 1.主な相手別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

 

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

 

瑞儀光電股份有限公司

2,610,749

17.7

5,118,923

28.2

 

雲軒国際有限公司

1,523,136

10.3

939,807

5.2

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

なお、見積りの評価については、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の報告数値と異なる可能性があります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性についての分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」記載のとおりです。

主として、原材料の購入費用、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用として必要となる運転資金の調達にあたっては、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。また、当社は、貸出コミットメントライン契約および当座貸越契約を取引銀行と締結し、フレキシブルな資金調達手段を確保することで、流動性リスクを適切にコントロールしております。

設備資金の調達にあたっては、自己資金及び金融機関からの長期借入に加え、公募増資等の直接金融手段を検討してまいります。健全な財務バランスを維持しつつ、生産設備や研究開発投資を通じた企業価値向上を実現するため、引き続き、資金調達の多様化を図ってまいります。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

当社グループは、営業利益を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としており、顧客に貢献する高付加価値製品の製造・販売に集中し、省力化や歩留の改善を更に進めることにより、営業利益を向上させることを目指しております。

a 売上高

当連結会計年度における売上高は、18,130百万円(前期比23.0%増)となりました。光学シート事業では、スマートフォンに代表される小型液晶ディスプレイは、個人消費の低迷により需要が減少しましたが、タブレットやノートPC等中型ディスプレイは、リモートワーク・リモートラーニングの世界的普及促進により需要が増加し、売上高は13,951百万円(前期比42.8%増)となりました。機能製品事業では、新型コロナウイルス感染症の影響により、いずれの分野も受注減となり、売上高は4,178百万円(前期比15.8%減)となりました。

b 売上総利益

当連結会計年度における売上原価は10,924百万円(前期比4.0%増)となり、売上総利益は、より付加価値の高い製品へのシフト、生産効率の向上、コスト削減等により7,206百万円(前期比70.2%増)となりました。売上原価率は高性能製品の販売構成割合の上昇、前期から引き続き高い歩留まりを維持したこと等により、前連結会計年度の71.3%に対し、60.3%と11.0ptの低下となり、売上総利益率は39.7%(前連結会計年度は28.7%)と向上しております。

c 販売費及び一般管理費、営業利益

販売費及び一般管理費は、4,071百万円(前期比30.0%増)となり、売上高に対する比率は、前連結会計年度の21.2%に対し、22.5%と1.2ptの上昇となりました。この結果、営業利益は3,135百万円(前年度は1,102百万円の利益)となりました。

d 経常利益

当連結会計年度における営業外損益は、主として為替差益の計上により、332百万円の利益(前連結会計年度は106百万円の損失)となりました。この結果、経常利益は3,467百万円(前年度は996百万円の利益)となりました。

e 特別損益

当連結会計年度における特別損益は、196百万円の損失(前連結会計年度69百万円の損失)となりました。これは主に、生産拠点移転統合費用による損失を169百万円、減損による損失を71百万円計上したことによるものです。

f 税金等調整前当期純利益

当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は3,271百万円(前連結会計年度は926百万円の利益)となりました。

 

g 法人税等

当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額は701百万円(前連結会計年度は186百万円)となりました。

h 親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は2,569百万円(前連結会計年度は740百万円の利益)となりました。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループが今後も高品質な製品やサービスを継続的に提供していくためには、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の経営課題に対処することが必要であると認識しております。具体的には、当社グループが掲げる“自然と産業の調和を創造する”という経営理念を念頭に、以下の5項目に注力してまいります。

a 新規事業の創出

b コーポレート・ガバナンス及びコンプライアンスの強化

c 人材の確保及び育成

d 生産性を高める人事戦略

e 経営基盤の強化

 

 

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