事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業環境に関するリスク

① 事業環境の変化について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

当社事業のセキュリティソフトウエア製品の開発と販売は、発売から十数年で急速にシェアが拡大いたしましたが、ITソフトウエア販売は、一般的に景気動向の影響を受けやすい傾向があります。当社では、データセキュリティ事業、ネットワークセキュリティ事業の複数事業を有する他、研究開発等を通じて、新たな製品・サービスを開発し、他社との差別化を図り、継続的な事業成長に努めております。しかしながら、国内の経済情勢の変化や景気の悪化等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 競合について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

サイバーセキュリティ市場は、成長業界であることから競合他社が多く存在しており、通信メガキャリアなど、巨大企業とも競合しております。この状況下において、当社ではサービスの開発、販売力の拡充、技術力の強化により、他社との差別化を図っておりますが、競争環境の激化により当社の製品またはサービスが他社に劣後する場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 技術革新への対応について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:中長期、影響度:大

当社の主力のデータセキュリティ事業およびネットワークセキュリティ事業の事業領域は技術革新が著しい市場であり、当社ではこうした技術革新に対応し、競争力を維持するため、継続的に研究開発を行っております。しかしながら、研究開発の遅れ、あるいは当社想定を上回る速度での技術革新などにより、当社既存製品やサービスの陳腐化を招く可能性があります。この場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

④ 新型コロナウイルス感染症の流行について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:中

新型コロナウイルス感染症の影響がさらに長期化し、お客様が事業継続の不安により、各種の経費削減の一環として、サイバーセキュリティ対策への投資に意欲的でなくなった、当社製品/サービスの現地導入作業の際にコロナ禍による接触敬遠の事情からその作業自体が実施できない、または、当社の従業員等に罹患者が発生したこと等が原因で、受注契約数が減少して想定通りの売上を獲得できなくなる等、当社において事業が停滞した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 半導体不足について

顕在化の可能性:大、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:中

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う、在宅勤務によるノートパソコンや巣ごもり需要による大型テレビやゲーム機の販売拡大、自動車販売の回復等を背景に半導体の需要が増加しており、供給が間に合わず半導体の不足が生じております。当社ではネットワークセキュリティ事業にて取り扱う製品に関して、半導体不足の影響を考慮し、先行発注により在庫確保に努めております。しかしながら、半導体不足が長期化し、その影響により、納期遅延や調達価格の高騰となった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(2)事業内容に関するリスク

① 販売会社の依存について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社事業は、半数以上が再販事業者を経由した間接販売による売上です。再販事業者は、大手ITベンダーや大手流通サプライヤであり、多くが信用性の高い取引となります。その一方で、当社はエンドユーザーの購買決定及び購入時期において直接の関与度が低いため、再販事業者との定期的なミーティングを開催し、案件状況や購買確度、購入時期等の情報を収集し、受注予測に反映するとともに、営業同行等、再販事業社のサポートを通じて、予測どおりに受注できるよう努めておりますが、月度の受注予測において、再販事業者の売上計上遅延や想定外の増減等が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② システムトラブルについて

顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:中

当社のネットワークセキュリティ事業は、インターネットを介してサービス提供を行うクラウドモデルの事業であり、このクラウドサービスの提供において、地震等の自然災害、火災等の地域災害、コンピュータウイルス、電力供給の停止、通信障害、通信事業者に起因するサービスの中断や停止等、予測不可能な事由によりシステムがダウンした場合には、お客様へのサービスの提供が困難となることがあります。また、アクセス数の増加等の一時的な過剰負荷によって当社あるいはクラウドサービス事業者のサーバが作動不能となった場合や、誤作動が発生した場合等には、システムが停止する可能性があります。さらに、外部からの不正な手段によるコンピュータ内への侵入等の犯罪や役職員の過誤等によって、サービスの改竄や、重要なデータの消失又は流出が発生する恐れがあります。

当社は、このような事態の発生を事前に防ぐべく、セキュリティを重視したシステム構成、ネットワークの負荷分散、サービスの異なるクラウドサービス事業者への冗長化等、安全性を重視した体制作りに取り組んでおります。このような対応にも拘らず大規模なシステムトラブルが発生した場合には、当社に直接的な損害が生じる他、当社システム自体への信頼性の低下等が想定され、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 情報等の漏洩について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:中長期、影響度:大

当社は事業活動を通じ、取引先の重要情報や個人情報に接する機会を有しており、継続した情報資産の適切な管理は、セキュリティ事業を展開する当社の重要課題と認識しております。当社ではこのような顧客情報資産の漏洩、紛失、破壊のリスクに対処するために、国際規格であるISO/IEC 27001:2013の認証取得に加えて、各部門担当者と管理者で構成される情報セキュリティ委員会を設置し、従業員教育及び各種の情報セキュリティ対策を講じております。しかしながら、当社からお客様の重要情報等が漏洩するような事態が生じた場合、社会的信用の失墜により、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

④ 外注先の確保について

顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:中長期、影響度:中

当社の事業では、必要に応じて、システムインテグレーション、サポートセンター等について協力会社に外注しております。現状では、有力な協力会社と長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、適切な技術者、外注先が確保できない場合及び外注コストが高騰した場合、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 海外での事業展開について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:中長期、影響度:小

当社では、日本のほか、台湾を始めとした東南アジアに対してセキュリティ製品の販売を展開しておりますが、輸出入に関する規制、関連法令等に基づく勧告や手続の執行、または行政による命令や指導を受けた結果、当該事業の遂行が制約された場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 新規事業について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:中長期、影響度:中

当社は、データセキュリティ、ネットワークセキュリティを主たる事業としておりますが、事業規模の拡大及び収益源の多様化を実現するために、当社のリスクを慎重に検討し、新規事業に取り組んでいく方針であります。しかしながら、新規事業の開発が、人員不足その他の要因により計画どおりに進捗しなかった場合及び新規事業の収益化が想定どおりに進まなかった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3)事業運営体制に関するリスク

① 内部管理体制について

顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

当社は、内部関係者の不正行為等が発生しないよう、法令遵守に係る規程等を制定し、国内外の法令・ルール等の遵守を徹底しております。また、代表取締役社長直轄の独立した組織として経営企画室を設置し、法令・ルール等の遵守状況の確認等を行い、内部管理体制の充実に努めております。しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為等、不測の事態が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 人材の確保・育成について

顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:中

当社は、事業規模の拡大に伴う業務量の増加に伴い、優秀な人材を確保・育成することは重要な経営課題であると認識しており、積極的に人材の採用活動を行っております。しかしながら、セキュリティシステムの開発者やネットワークを担当するシステムエンジニア等については、人材市場に経験保有者の絶対数も少ないことから、優秀な人材の確保は容易ではないと認識しております。当社では、優秀な人材の確保を継続していく方針ですが、今後適時適切な人材確保及び人材配置が奏功しない場合、又は人材が流出した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 特定経営者への依存について

顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:中

当社代表取締役社長の石田晃太は、当社の経営方針及び経営戦略全般の決定、事業運営において極めて重要な役割を果たしております。現在当社では同氏に依存しないよう経営体制の整備及び人材育成を進め、安定的な経営体制の構築に努めておりますが、同氏が何らかの理由により業務執行が困難となった場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 法的規制及び知的財産権に関するリスク

① 法的規制について

顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社は事業運営を行う上で、下請代金支払遅延等防止法、製造物責任法、労働基準法等の一般的な法規制を受けております。当社は法令を遵守し事業運営を行っておりますが、今後既存法令等の改正や新たに当社事業を規制する法的規制が適用された場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社が事業活動を行うに際し以下に記載の許認可を得ており、現在、許認可が取消となる事由は発生しておりません。しかしながら、将来何らかの理由により、法令違反の事象が発生し、監督官庁より業務停止や免許の取り消し等の処分を受けた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

許認可等の名称

所管官庁等

許認可(登録)番号

有効期間

主な取消事由

一般建設業許可

(電気通信工事業)

東京都

(般-29)

第127807号

2017年4月20日から

2022年4月19日まで

建設業法第29条

古物商許可

東京都

公安委員会

第301051605291号

-

古物営業法第6条

労働者派遣事業許可

厚生労働省

派13-302,679

2020年5月1日から

2025年4月30日まで

労働者派遣法第6条

 

② 知的財産権について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:中長期、影響度:大

当社は、知的財産権の保護や管理についてその重要性を認識しており、各事業の運営にあたっては、第三者の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っております。しかしながら、手続き上の何らかの不備や役職員の過失等により第三者の知的財産権を侵害した場合、損害賠償や使用差し止めの請求を受け、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

一方で、当社が提供するサービスやコンテンツに関する知的財産権が第三者から侵害されないよう、その適切な保護に努めておりますが、何らか事情により当社の知的財産権が侵害された場合、競争優位性の低下等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(5) その他のリスク

① 自然災害について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

当社では、従業員の安全に配慮するとともに、安否確認のための環境が整備されております。また、テレワークを推進し、在宅にて業務遂行できる環境も整備されております。システムについては、バックアップや冗長化、DRサイトの構築により可用性を高めております。しかしながら、地震、火災等の自然災害や、戦争、テロ、感染症の流行等により、当社において人的被害または物的被害が生じた場合、または外部通信インフラ、コンピュータネットワークに障害が生じた場合等の事由によって当社業務の遂行に支障が生じた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 配当政策について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、当社は成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、各期の財政状態及び経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討してまいりますが、現時点において配当の実施及びその実施時期等については未定であります。

 

③ 資金使途について

顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社の株式売出による調達資金の使途については、今後の事業拡大に向けた新たな製品/サービスを研究開発する費用、人員採用費、人件費、新製品/サービスの販売促進のための広告宣伝費に充当する予定であります。しかしながら、経営環境等の急激な変化により上記の資金使途が想定通りの成果をあげられない可能性があります。

 

④ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

顕在化の可能性:大、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:中

当社は、当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与する予定であり、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は12.52%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権行使割合が希薄化する可能性があります。

 

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