課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、『ミライの「はたらく」を、明るくする』というミッションのもと、クラウドサービスによる人材開発のソリューションを提供しています。はたらく人々の「成長を実感する瞬間」を増やすことで、ミライの「はたらく」が明るくなることを目指しています。

 さらに、『不確実性が増す現代社会に必要な人材開発プラットフォームを提供する』というビジョンを掲げ、「どうすれば企業の成長を促す人材を開発し、持続可能な信頼関係を構築できるのか」という企業からの根源的な問いに応えられるパートナーでありたいと考えています。

 

(2)経営戦略等

① HCMプラットフォーム提供サービス

 我が国の大企業に特徴的な複雑な組織構造、人材管理手法、業務プロセスなどに対応できるようHCMプラットフォームを長年にわたり進化・改良させてきました。その結果、国内顧客の半数が売上高1,000億円以上の企業となっています。このHCMプラットフォームを競争的な価格で提供することにより他社の参入を難しくするとともに、プラットフォーム上で利用できるサービス(eラーニングコンテンツ、オンライン英会話、キャリア開発サポートなど)を充実させることにより高い収益性を実現していきます。

 

② HCMクラウドを活用したオンライン英会話サービス

 HCMクラウドの優れた受講管理機能を活用するため管理者・監督者(先生、講師、保護者)が介在する学習塾市場でオンライン英会話を提供しています。オンライン英会話以外のサービス(英語および他教科のeラーニングコンテンツ、オンライン個別指導、受験情報の提供など)を充実させることにより高い収益性を実現していきます。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 成長市場で事業を展開している当社グループは、経営指標として売上高、営業利益を重視しております。尚、当社グループの事業の特徴としてソフトウエアの減価償却が大きな影響を及ぼします。そのため経営指標としてEBITDA※5についても活用することで収益性を把握することとしております。

※5 EBITDA≒営業利益+減価償却費+長期前払費用償却額+ソフトウエア減価償却費

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループのHCMクラウド事業は、狭義にはHCM市場におけるLMS(Learning Management System)のセグメントを主要なターゲットとしています。わが国ではLMSは学習管理機能を持ったシステムをLMS、パフォーマンス管理やキャリア開発機能を持ったシステムをタレントマネジメントシステムと捉えていますが、世界ではこの両者の機能を兼ね備えたシステムをLMSとしています。当社グループのCAREERSHIPは両者を備えており、世界的にはLMS市場のサービスに分類されます。世界のLMSの市場規模は2019年の180億ドル(1兆9,800億円、1$=110円で計算。以下同じ)が2026年には360億ドル(3兆9,600億円)となることが予測されており、この間の年間成長率は10.4%となります(Statista Research Department)。世界全体に占める我が国のGDPの割合は6.0%(2020年、外務省経済局国際経済課 主要経済指標)なので、同率程度のLMS市場規模が見込まれるとすると2019年は10.8億ドル(1,188億円)、2026年には21.6億ドル(2,376億円)となります。企業向けのクラウドサービスを利用するのは圧倒的に先進国であることを考えると、我が国のLMS市場の潜在的な規模はこれより大きいとも考えられます。

 HCM市場においてはこれまでSFAやCRM※6など通常業務を円滑に進めるためのサービスや、労務・勤怠管理や財務会計などスタッフ部門の業務効率化のためのサービスが中心でした。しかし、新型コロナウイルス感染症対応により促進されているリモートワークやメンバーシップ型からジョブ型への働き方の変革によって、情報共有やコミュニケーション、さらに人材開発やキャリア開発をターゲットとしたサービスへと展開しつつあります。HCMクラウド事業は、働き方改革、労働生産性向上、人と企業と社会のかかわり方の新たな展開などに大きく貢献することが期待されています。

 当社グループは、このような事業環境下において、経営ビジョンを達成するために、以下の事項を対処すべき課題として認識しております。

 

※6 SFA(Sales Force Automation)は商談開始してから受注に至るまでの営業プロセスを可視化て活動の支援・管理を行うシステム、CRM(Customer Relationship Management)は顧客情報を管理するシステムを指します。

 

① 人材確保

 昨今の人手不足は深刻で特に優秀なIT技術者の確保が非常に難しくなってきています。優秀なIT技術者を惹きつけるため彼ら・彼女らが興味を持てるような職場の構築を進めていきます。

 具体的には、開発のトップまで3階層というフラットな組織設計に基づく権限移譲、クロスファンクショナルチーム(ミライ構想チーム)による開発テーマの決定への参与、BI、AIなどの最先端技術の開発を進めます。

 

② 開発の優先順位の明確化

 当社グループのビジネスモデルは汎用アプリケーションをクラウド上で複数の企業に提供するものです。利用企業数の増加やオンライン英語講座などコンテンツの多様化・高度化にともない機能追加やシステム変更の要望が急増しています。技術的、ビジネス的な要件を熟慮することにより開発現場が混乱しないよう優先順位を明確にしながらシステムの開発を進めていきます。

 開発のテーマとその優先順位はクロスファンクショナルチームであるミライ構想チームで毎月検討され、その都度経営会議で検討・承認されます。

 

③ 新型コロナウイルスへの対応

 当社グループが提供するオンライン英会話サービスは講師の品質管理を徹底するために英会話講師センターに勤務するフィリピン人の講師を起用していますが、新型コロナウイルス感染症のフィリピン国内での感染拡大により都市によってロックダウンやオフィスの開場制限などがおこなわれています。十分な講師を確保するために、必要に応じた講師の送迎サービスの実施、複数の都市へのセンターの分散、新たなパートナーの開拓など進めていきます。

 

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