当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、その作成には経営者による会計方針の選択・適用と、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りにあたっては過去の実績等を勘案し合理的な判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によりこれらの見積りと異なる場合があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、2019年度にスタートさせた中期事業計画“KAYAKU Next Stage”の重点テーマと中長期重点課題に取組むとともに、企業活動が制限された状況下において時差勤務やテレワーク等の積極的な活用により、当社並びに当社グループ会社に勤務する従業員の安全を確保しつつ、事業への影響を最小限に抑制すべく、効率的な働き方を推進しました。
当連結会計年度の連結売上高は、全ての事業が前期を上回り、1,848億5百万円となり、前連結会計年度に比べ114億2千3百万円(6.6%)増加しました。当社の業績と比べると、当連結会計年度の連結売上高は当社の1.49倍となりました。
連結売上総利益は、全ての事業の売上高増加により639億6千7百万円となり、前連結会計年度に比べ76億4千9百万円(13.6%)増加しました。
販売費及び一般管理費は429億1千6百万円となり、前連結会計年度に比べ17億9千2百万円(4.4%)増加しました。
連結営業利益は、全ての事業が前期を上回り、210億5千万円となり、前連結会計年度に比べ58億5千6百万円(38.5%)増加しました。営業利益率は、前連結会計年度に比べ2.6ポイント改善し、11.4%となりました。
営業外損益は、前連結会計年度に比べ7億5千8百万円増加し、21億3百万円の利益となりました。主な営業外損益の増加は為替差損益8億4千4百万円であります。連結経常利益は、231億5千4百万円と前連結会計年度に比べ66億1千5百万円(40.0%)増加しました。
特別利益は、前連結会計年度に比べ3千4百万円減少し、17億8千5百万円となりました。 主な減少は投資有価証券売却益13億4千4百万円であります。特別損失は、前連結会計年度に比べ4億3百万円増加し、12億3千8百万円となりました。 主な増加は投資有価証券評価損5億2千8百万円であります。税金等調整前当期純利益は、237億円と前連結会計年度と比べ61億7千7百万円(35.3%)増加しました。
法人税等は、前連結会計年度に比べ15億2千2百万円増加し、64億5千5百万円となりました。法人税等の負担率は、前連結会計年度の28.15%から27.24%に減少しました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ4千7百万円増加し、6千3百万円となりました。 親会社株主に帰属する当期純利益は171億8千1百万円となり、前連結会計年度と比べ46億7百万円(36.6%)増加しました。 当社の業績と比べると、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は当社の1.36倍となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
なお、会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。このため、前年同期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 会計方針の変更」に記載しております。
セグメントの業績は次のとおりであります。
売上高は771億5千2百万円となり、前連結会計年度に比べ46億8千7百万円(6.5%)増加しました。
機能性材料事業は、高速通信(5G)デバイスやIoTの普及、自動車の高度電装化に加え、テレワーク等によるIT機器の需要増により、これらに使用される半導体関連部材となるエポキシ樹脂、MEMS等の複合材が好調に推移しました。また、事業買収により新たに加わった半導体製造装置も業績に寄与したことにより、機能性材料事業全体で前期を上回りました。
色素材料事業は、在宅勤務による印刷需要が増えたことによりコンシューマ用インクジェットプリンタ用色素が堅調に推移したことに加え、産業用インクジェットプリンタ用色素、感熱紙用材料及び繊維用染料の需要が回復したことにより、色素材料事業全体で前期を上回りました。
触媒事業は国内、輸出ともに受注は好調に推移したものの、前期への前倒しや新型コロナウイルス感染症による顧客プラントの建設遅延による後ろ倒しがあったことから前期を下回りました。
ポラテクノ事業は、X線分析装置用部材が好調に推移したことに加え、液晶プロジェクター用部材及び染料系偏光フィルムの需要が回復したことにより、ポラテクノ事業全体で前期を上回りました。
セグメント利益は機能性材料事業及びポラテクノ事業の売上高の増加により、115億1百万円となり、前連結会計年度に比べ41億8千3百万円(57.2%)増加しました。
売上高は520億8千3百万円となり、前連結会計年度に比べ16億4千1百万円(3.3%)増加しました。
国内向け製剤は、肺がんに対するバイオ医薬品「ポートラーザ®」の市場浸透、抗体バイオシミラーへの切り替えが進んだことに加え、7月に上市したジェネリック抗がん薬「ペメトレキセド点滴静注液」が寄与し、薬価改定等の影響を受けながらも、ほぼ前期並みの結果となりました。加えて、SBIファーマ㈱が製造販売承認を有する光線力学診断用剤「アラグリオ®顆粒剤分包」の国内販売契約を締結し、11月より自社販売を開始いたしました。
国内向け原薬は前期を下回りましたが、受託事業は前期を上回りました。輸出、診断薬は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響からの回復が見られ、前期を上回りました。
セグメント利益は、新上市品を始めとした売上増により、86億4千5百万円となり、前連結会計年度に比べ12億2百万円(16.2%)増加しました。
売上高は461億1千2百万円となり、前連結会計年度に比べ41億1千5百万円(9.8%)増加しました。
当期の自動車生産は、上半期には一部の地域を除き自動車需要の回復に伴い堅調に推移したものの、下半期には世界的な自動車部品の供給不足に加え、地政学リスクが顕在化したことにより回復スピードが鈍化しました。
国内事業は、期間前半まで需要が堅調に推移したことにより、エアバッグ用インフレータは前期を上回りました。一方、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータは前期を下回りました。国内事業全体では、前期を上回りました。
海外事業は、エアバッグ用インフレータ、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータは前期を上回ったものの、スクイブは前期を下回りました。
セグメント利益は売上高の増加により、63億6百万円となり、前連結会計年度に比べ8億6千6百万円(15.9%)増加しました。
④その他
売上高は94億5千6百万円となり、前連結会計年度に比べ9億7千9百万円(11.5%)増加しました。
アグロ事業は、輸出は前期を下回りましたが、国内は前期を上回りました。アグロ事業全体では前期を上回りました。
不動産事業は、前期を上回りました。
セグメント利益は18億4千2百万円となり、前連結会計年度に比べ2千万円(1.1%)増加しました。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 生産金額は販売価格をもって算出しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b. 受注状況
当社グループ(当社及び連結子会社)では、受注生産によらず見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(中期事業計画の成果)
3ヵ年中期事業計画 KAYAKU Next Stage の最終年度となる当連結会計年度は、売上高は過去最高の1,848億円、営業利益は210億円となりました。設備投資は115億円、研究開発投資は130億円実施いたしました。
この中期事業計画期間は米中貿易摩擦に始まり、新型コロナウイルス感染症や薬価改定、半導体需要の逼迫などの外部環境の影響を大きく受けました。最終年度の目標数値に対しては、半導体供給不足による自動車生産台数の低迷などの影響により未達となりましたが、機能化学品事業、医薬事業は着実に成長し過去最高の売上高となりました。先に述べた外部環境の変化は大きかったものの、安定的な財務基盤に加えて、機能化学品事業、医薬事業、セイフティシステムズ事業及びアグロ事業とそれぞれ特徴を持ちながらも事業内容の異なる複数の事業を保有することによって柔軟に対応することができました。今後もこの4事業を中心として、更なる事業発展を目指してまいります。
3ヵ年中期事業計画 KAYAKU Next Stage の成果は以下のとおりであります。
(単位:億円)
総資産は3,154億5千9百万円となり、前期末に比べ209億2千4百万円増加しました。主な増加は商品及び製品77億8千8百万円、現金及び預金51億5千2百万円、売掛金34億8千6百万円、原材料及び貯蔵品25億9千5百万円であります。
負債は690億3千4百万円となり、前期末に比べ27億7千2百万円増加しました。主な増加は未払法人税等21億2千5百万円、未払金15億2百万円、繰延税金負債10億4千6百万円であり、主な減少は長期借入金22億9千6百万円であります。
純資産は2,464億2千5百万円となり、前期末に比べ181億5千2百万円増加しました。主な増加は為替換算調整勘定89億3千6百万円、自己株式52億4千8百万円、利益剰余金39億5千9百万円であります。
セグメントの財政状態は次のとおりであります。
セグメント資産は、棚卸資産の増加により1,046億5千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ104億3千3百万円増加しました。
セグメント資産は、棚卸資産の増加により581億3千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ38億3千7百万円増加しました。
セグメント資産は、現金及び預金の増加により770億1千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ80億9千7百万円増加しました。
セグメント資産は、売掛金の増加により199億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億9千7百万円 増加しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、231億4千1百万円の収入(前期は244億8百万円の収入)となりました。これは主に棚卸資産の増加が88億8千6百万円、法人税等の支払額が40億5千8百万円、売上債権の増加が15億9千万円あったものの、税金等調整前当期純利益が237億円、減価償却費が135億7千万円あったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、106億4千1百万円の支出(前期は176億6百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が86億9千6百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が16億2千8百万円、長期前払費用の取得による支出が11億9百万円、関係会社株式の取得による支出が5億6千1百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、110億9千万円の支出(前期は84億2百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額が50億7千万円、自己株式の取得による支出が30億円、長期借入金の返済による支出が24億8千8百万円あったことによるものです。
以上の結果、当期における現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べ54億7千8百万円増加し、529億6千2百万円となりました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの財務戦略は、経営目標・事業戦略に基づいて策定しており、事業が将来にわたり持続的に成長できる強い財務基盤を維持することを基本方針としております。資本コストを考慮しながら投資に必要な資金調達を行い、安定的な自己資本比率となる最適な財政状態を常に意識した財務活動を行います。企業ビジョンを実現するため、市場ニーズを的確にとらえ、経営資本を投入する事業・製品領域を明確化し、グローバルな成長市場で既存ビジネスの拡大と新事業・新製品の展開を加速させ、企業価値の向上を図ってまいります。また、サステナビリティ経営の観点から特定した重要課題(マテリアリティ)のもと、持続可能な開発目標(SDGs)を意識した運営を行い、全てのステークホルダーの満足を高め信頼される会社を目指します。
なお、今後の資本的支出の内容は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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