課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針・経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。但し、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針・経営戦略・経営指標等

当社グループの企業ビジョンは、KAYAKU spirit「最良の製品を不断の進歩と良心の結合により社会に提供し続けること」です。また当社グループのありたい姿は、「存在感をもって、永続的に環境、社会、全てのステークホルダーに幸せやうれしさを提供できる会社であること」です。2022年4月1日に制定したサステナブル経営基本方針「私たち日本化薬グループは、企業ビジョンであるKAYAKU spiritのもと、経営の透明性・公正性を確保し、事業活動を通じて持続可能な環境・社会の実現に貢献することで、すべてのステークホルダーの信頼に応えるサステナブル経営を実践します。」に基づき、これまでのCSR経営をさらに進化させたサステナブル経営を実践することとしました。コーポレート・ガバナンス、コンプライアンスをベースとして、サステナブル経営を実践し、経済的価値及び環境・社会的価値を向上し、ありたい姿、またその先のKAYAKU spiritの実現に取組んでまいります。

本年4月より新しい4ヵ年中期事業計画” KAYAKU Vision 2025 ”をスタートいたしました。機能化学品事業、セイフティシステムズ事業では2025年を、医薬事業、アグロ事業では2030年を「ありたい姿=Vision」の到達点とし、そのゴールに向けてのロードマップを策定してまいりました。

本中期事業計画では、そのロードマップを着実に実行し、最終年度の2025年度に売上高2,300億円、営業利益265億円、ROE8%の目標を確実に達成すべく取組んでまいります。そのために、全社重要課題として「新事業・新製品創出」、「気候変動対応」、「DX」、「仕事改革」、「働き方改革」の5つを定めました。これらの課題に対して、全社横断的組織を作り、課題解決に取組んでいます。各事業のありたい姿到達に向けて、4年間で650億円規模の研究開発投資と900億円規模の設備投資を行ってまいります。特に新事業・新製品創出はモビリティ、環境エネルギー、エレクトロニクス、ライフサイエンス領域で自社技術に拘らずオープンイノベーションや製品導入、事業提携、M&Aなどの外部経営資源を取り込むための戦略的投資も精力的に検討してまいります。このように、将来の発展のため当社グループの持続的な成長に必要な投資については積極的に実行してまいります。

 

(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)の世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展により経済活動が正常化し始め、景気は回復傾向にありました。しかし、半導体不足や、東南アジアでのコロナ感染拡大に伴う部品の調達難による自動車産業の減産の影響が内外ともに拡大しました。

機能化学品産業においては、急速なデジタル技術の進歩により、高速通信(5G)デバイスなどのデジタル機器の高機能化や自動車の高度電装化に伴う半導体関連部材のニーズが高まっております。また、世界的な省エネ・省資源の流れの中で、地球環境に配慮した新素材やリサイクル技術の開発が求められております。

医薬品産業においては、革新的創薬により我が国の健康寿命の延伸に寄与するとともに、医薬品の品質確保・安定供給を通じて、国民が安心して良質な医療を受けられる社会を次世代へと引き継いでいくことが求められています。これらの実現のために、医薬品の研究・開発・製造・供給を迅速かつ安定的に行うことが期待されています。

自動車産業においては、一部の地域を除き新型コロナウイルス感染症拡大の影響による世界的な需要低迷からの回復がみられたものの、第2四半期から第3四半期にかけて、半導体の供給不足の影響を受け自動車生産全体が減速しました。その後も、感染症の収束が依然不透明な状況にあり、世界的な部品の供給不足の解消には至っておらず、自動車生産の回復スピードは鈍化しております。

 

 

各事業では、解決すべき以下の課題に注力し成長を目指してまいります。

 

<機能化学品事業>

 本事業では、機能性材料事業は情報・通信分野における高速通信(5G)の普及や自動車の高度電装化に向けた基板用高機能樹脂、炭素繊維強化プラスチック用エポキシ樹脂、半導体用クリーナー、色素材料事業は産業用インクジェット用インクをはじめイメージセンサー用材料、調光ガラス用二色性色素、触媒事業は省エネ・省資源に貢献するアクリル酸やメタクリル酸製造用高収率触媒、水素社会の実現に貢献する太陽光を利用した完全グリーンな水素製造用触媒、ポラテクノ事業は車載領域で求められるヘッドアップディスプレイ用高耐久偏光板、高出力のX線分析装置部材といった特徴ある製品の開発に取組んでまいります。

 

<医薬事業>

本事業では、肺がんに対するバイオ医薬品「ポートラーザ®」、光線力学診断用剤「アラグリオ®顆粒剤分包」、抗体バイオシミラーの「インフリキシマブBS」、「トラスツズマブBS」の市場浸透を図ってまいります。加えて、製剤工夫した特徴のあるジェネリック医薬品を含めたがん関連領域での製品ラインアップの拡充を重点課題として取組んでまいります。

 

<セイフティシステムズ事業>

本事業では、エアバッグ用インフレータやシートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、スクイブ、歩行者保護ボンネット跳ね上げ装置用アクチュエータ等の新製品開発に努めてまいります。また、自動運転技術の急速な進化に対応した安全部品の開発にも注力してまいります。

 

<その他>

アグロ事業では、製剤技術を特徴とした製品ラインナップ拡充に努めてまいります

 

コーポレートガバナンス・コードへの対応をはじめ、グループ経営の強化やコンプライアンスの徹底など内部統制の充実に努め、健全で透明性・公正性の高い経営を実行してまいります。また、女性、外国人、キャリア採用者の活躍促進を含めた人材の育成・活用を推進し、多様な意見が尊重され、働きがいのある、心理的安全性の高い職場を作ってまいります。併せて、2022年4月1日に定めた人権方針に則り、すべての取引関係者とともに人権を尊重した責任あるサプライチェーンを築いてまいります。

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