(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①経営成績の概況
当連結会計年度は、売上高5,746百万円(参考 前年度比6.1%増)、営業利益1,051百万円(同16.0%増)となりました。EC消費は年度を通じて堅調に推移し、また企業の旺盛なDX投資需要を的確に捉え、当社グループの収益は順調に推移しました。この市場環境の拡大傾向は今後も継続すると思われます。
子会社の株式会社コマースニジュウイチが提供する大型EC向けのシステムに対する需要は依然として強く、特に既存顧客からの継続的な受注に恵まれ、当社グループ業績を牽引しました。次年度も同様の需要が期待できる状況です。決済サービスにつきましてもEC消費の底堅さを表す結果となりました。上半期は前年度のコロナ特需の反動で、やや低調に推移しましたが、下半期に入り前年同期を上回る状況となり、この傾向は次年度も継続する見込みです。一方、マーケティングサービスは、EC向けのネットプロモーションに軸足をシフトしたため、従前の一般的な広告代理店としての収益が減少しましたが、もともと収益性が低めの取引であるため、利益に与える影響は軽微に留まりました。
取引先にとって「顧客資産」の有効活用は重要な課題となっており、当社グループが提唱する「OMO施策の推進」に対する期待を実感する年度となりました。これらの市場ニーズの高まりに応えるべく、ECシステムの機能強化に積極的に取り組み、競争力の向上に努めました。当年度期中に新たに連結子会社となったソフトウェア開発会社(株式会社アーヴァイン・システムズ)もこれに寄与しました。
さらに、中期経営計画の一環に掲げるハンズオンDXへの先行投資を積極的に進め、秀逸な商品やコンテンツ、多くの顧客等を有しながらも、投資資金とECノウハウの不足によりチャンスを逃している企業に対し、当社グループが主体となって運営するHOI(ハンズオンインキュベーション)事業を開始し、次年度以降の収益に貢献する予定です。
営業外損益及び特別損益につきましては、当年度は特筆すべき事象はございません。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、677百万円(同40.3%増)となりました。
(参考)主な収益モデル別の売上高 (単位:百万円、%)
|
前連結会計年度 ※1 |
当連結会計年度 |
増減率 |
ECシステム |
3,900 |
4,293 |
+10.1% |
決済サービス |
835 |
854 |
+2.2% |
マーケティングサービス |
678 |
599 |
- ※2 |
合 計 |
5,415 |
5,746 |
+6.1% |
※1 当年度より収益認識に関する会計基準等を適用しておりますが、ご参考として前年度に同基準を適用した場合(但し、監査法人による監査を受けておりません。)の数値を記載しております。代理人として行われる取引を総額表示から純額表示に組み替えたものとなります。また、当社グループの事業は単一セグメントであり、従前は「その他」としていた内訳をマーケティングサービスに含めて集計しております。
※2 マーケティングサービスの売上高の減少は、前年度に比べ純額表示にすべき取引が増加したことが影響しております。そのため当区分における前年度比較の困難さを考慮して増減率の記載を控えました。
②財政状態の概況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前年度末から392百万円減少し8,211百万円となりました。現金及び預金が317百万円減少したほか、売掛金が353百万円減少しましたが、その一方で投資有価証券が198百万円増加しました。なお、現預金残高4,450百万円には、決済サービスにおける顧客の回収代金(流動負債の預り金残高2,209百万円)が含まれており、前年度末に比べ318百万円減少しております。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前年度末から838百万円減少し5,421百万円となりました。仕入の一部について一時的に支払方法を変更したため買掛金残高が381百万円減少したほか、決済サービスにおける顧客の回収代金(預り金)が、前年度はコロナ禍により期末にEC消費が急伸したことの反動で318百万円減少しました。また、新株予約権付社債の株式転換が生じたため、同社債残高が244百万円減少しました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前年度末から445百万円増加し2,789百万円となりました。自己株式を491百万円取得したことが減少要因となりましたが、利益剰余金が537百万円増加するとともに、新株予約権付社債の株式転換により資本金122百万円及び資本剰余金135百万円が増加しました。
③キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前年度末に比べ317百万円減少の4,448百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、415百万円となりました。前年度は1,661百万円の資金の増加を記録しましたが、これはコロナ禍の影響でEC消費の一部に特需が生じたことによります。前年度は預り金残高が672百万円の増加となりましたが、当年度はその反動で預り金残高が319百万円の減少となりました。また、買掛金の一部については、支払サイトが一時的に短縮されたことによって仕入債務が384百万円の減少となりました。このほか、法人税等の支払額が405百万円に増加したことが、営業活動による資金増を抑える要因となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、269百万円となりました。主な減少要因は、投資有価証券の取得による支出120百万円、無形固定資産の取得による支出114百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、464百万円となりました。増加要因は、長期借入れによる収入300百万円であり、主な減少要因は、自己株式の取得による支出491百万円、1年内返済予定の長期借入金の返済による支出169百万円、配当金の支払額159百万円によるものです。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループは、インターネット上での各種サービスの提供を行っており、受注生産販売の形態をとらないサービスも多いため、生産、受注及び販売の規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の計上額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
イ 繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得等を検討し、全額が回収可能と判断し資産計上しております。し
かしながら、将来の課税所得等を検討し、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、
繰延税金資産に対する評価性引当額を計上する可能性があります。
また、法人税率が変更になった場合、連結貸借対照表に計上する繰延税金資産の計上額が変動する可能性が
あります。
ロ ソフトウェアの減損
ソフトウェアについては、将来の収益獲得または費用削減が確実であると認められたものを資産計上してお
ります。しかしながら、計画の変更、使用状況の見直し等により収益獲得または費用削減効果が損なわれた場
合には、ソフトウエアについて減損が必要となる可能性があります。
ハ 有価証券の減損
市場価格のない株式等以外の有価書兼については、時価が期末簿価に比べて50%以上下落している場合には、原則として減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性があると総合的に判断した場合を除いて減損処理を行っております。また、市場価格のない株式等の有価証券については、実質価額が期末簿価に比べて50%以上下落している場合には、回復可能性があると総合的に判断した場合を除いては減損処理を行っております。しかしながら、将来の市況悪化等により現在の帳簿価額に反映されていない損失が発生した場合、有価証券の減損が必要となる可能性があります。
ニ のれん及び顧客関連資産の減損
のれん及び顧客関連資産については、その効果が及ぶ期間(20年以内)での償却を行い、四半期毎の減損の
兆候の有無を確認しております。
減損の兆候が認められた場合、減損損失の認識の判定は、各資産グループの合理的な予算及び事業計画に基
づく将来のキャッシュ・フローの見積りや割引率によって見積りをしております。
当該見積りは、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に発生した将来キ
ャッシュ・フローや割引率と異なった場合、翌連結会計年度及び連結財務諸表において、のれん及び顧客関連
資産の減損会計に重要な影響を与える可能性があります。
ホ 関係会社株式の減損
関係会社株式の超過収益力を反映した実質価額は、各関係会社の合理的な予算及び事業計画に基づく将来キ
ャッシュ・フローの見積りや割引率によって見積りをしております。
当該見積りは、将来の不確実な経済条件の変動などによって影響を受ける可能性があり、実際に発生した将
来キャッシュ・フローや割引率と異なった場合、翌事業年度の財務諸表において、関係会社株式の金額に重要
な影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載の通りです。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2事業の状況 2.事業等のリスク」
に記載の通りです。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業活動のために必要な資金の確保と流動性を維持
するために、借入金や社債による資金調達を基本としております。
資本の財源についての分析は、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・
フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの概況」に記載の通りです。
⑤経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営者の問題認識と今後の方針については、「第2事業の状況 1.経営方針、経営環境及び
対処すべき課題等」に記載の通りです。
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