文中の将来に関する記載は、当年度末現在において当社が判断したものであり、当社としてその実現を約束するものではありません。
(1) 経営方針
当社グループは、コーポレート・ステートメントである「未来創発─Dream up the future.─」を掲げ、「新しい社会のパラダイムを洞察し、その実現を担う」、「お客様の信頼を得て、お客様とともに栄える」ことを使命と考えています。この使命を果たすべく、お客様の問題を先取りして解決策を導く「ナビゲーション」から、具体的な解決策を実施・運用する「ソリューション」までのトータルソリューションにより価値の最大化を目指すことを経営目標としています。
また、「新たな価値創造を通じた『活力ある未来社会の共創』」、「社会資源の有効活用を通じた『最適社会の共創』」、「社会インフラの高度化を通じた『安全安心社会の共創』」という「NRIらしい3つの社会価値」を作り出すことにより、社会課題の解決と持続可能な未来社会の実現に貢献していきます。
(2) 経営戦略
<中期経営計画>
昨今、企業においては、成長や競争力強化のため、DX(デジタルトランスフォーメーション)といわれるデジタル技術を活用した業務プロセスの変革やビジネスモデルの変革が、グローバルで進展しています。その一方で、既存システムの複雑化・ブラックボックス化がDX実現への阻害要因になっているほか、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)など新しいデジタル技術を活用した新規市場の創出を推進するIT人材の不足、さらにはグローバル事業の強化やクラウド利用によるITコスト削減も引き続き顧客企業における重要な経営課題となっています。
このような事業環境のもと、当社は、長期経営ビジョン「Vision2022」の実現に向け、2019年4月に後半4か年の「NRIグループ中期経営計画(2019年度~2022年度)」(以下「中期経営計画2022」という。)を策定しました。
中期経営計画2022では、DX戦略、グローバル戦略、人材・リソース戦略の3つの戦略テーマを設定しています。顧客との価値共創を通じて、当社グループの持続的成長と持続可能な未来社会づくりを目指します。
中期経営計画2022の成長戦略
・DX戦略:テクノロジーを活用した顧客のビジネスモデル・プロセスの変革
当社グループの強みを活かしたビジネスプラットフォームの進化
クラウドを活用し多様化するシステム基盤からアプリケーション開発までをトータル支援
・グローバル戦略:豪州・北米での外部成長を軸に事業基盤を拡大
・人材・リソース戦略:当社グループの競争力を支える人材の採用・育成、パートナー連携
当社グループは、中期経営計画2022の最終年度(2022年度)に、売上収益6,700億円以上、海外売上収益1,000億円、営業利益1,000億円、営業利益率14%以上、EBITDAマージン20%以上、ROE14%を目指します。なお、足元の受注環境やDX案件が活況であったこと等により、一部の指標については当年度に目標を超える水準となりましたが、当社は引き続き企業価値向上と高い資本効率の維持を目指します。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させていくことを経営の目標としています。経営指標としては、事業の収益力を表す営業利益及び営業キャッシュ・フローを重視し、これらの拡大を目指しています。また、資本効率の観点からROEを重視し、EPSの成長を通じた持続的な株主価値の向上に努めています。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
<経営環境の認識>
当社グループはこれまで、国内市場においては金融業や流通業における顧客基盤の構築や金融分野のビジネスプラットフォームの提供などを通して、グローバル市場においては日本企業のグローバル化への対応と、主に豪州・北米でのM&Aなどを通して成長してきました。さらに、顧客企業においては新型コロナウイルス感染症の拡大を契機にDX関連のIT投資が増加し、業務プロセスを変革する段階から、ビジネスモデルそのものを変革する段階へと急速に進展しています。
このような環境の中、当社グループが今後さらなる成長を実現するためには、国内外の既存事業領域における競争優位性をさらに高めつつ、DX領域においても信頼されるパートナーとしての地位を確立し、顧客との取引を大型化する必要があると考えています。そのためにはDX事業やグローバル事業を推進する人材の確保が必要であり、採用と育成の強化が重要であると認識しています。
<DX事業の推進>
DX領域においては、AIやIoT、ブロックチェーンといった新しい技術が次々と生み出されています。顧客の業務プロセス、ビジネスモデルを変革・拡大していくためには、戦略策定からソリューションの実装まで、顧客とともに仮説検証を繰り返しながらビジネスを創出することが必要です。当社グループは、顧客の現在の業務プロセス変革・インフラ変革からビジネスモデルそのものの変革、さらには社会課題解決まで、顧客のDXパートナーとして、コンサルタントとシステムエンジニアが一体となり継続的に事業拡大に取り組んでいきます。
昨今、金融業界では業態自体の変革のほか、異業種からの新規参入が起きるなど業界の構造変化が起きています。その変化に対応するため、高品質な共同利用型サービスの提供やビジネスプロセスアウトソーシングなどのサービスラインアップの充実のほか、API(アプリケーションをつなぐインタフェース)提供など新たな事業創出による新規顧客獲得にも取り組んでいきます。
また、クラウド領域においては、企業におけるITシステムのクラウド化の進展に伴い、多様化するシステム基盤をトータルで支援していくことが必要です。老朽化したITシステムの刷新対応やクラウド上でのアプリケーション開発などのニーズを捉え、従来のプライベートクラウドに加え、パブリッククラウド活用などを基盤サービスラインアップに拡充することでスピーディーな対応とコスト最適化に取り組みます。
<グローバル事業の推進>
グローバル事業では、当社グループが設立した現地法人のほか、豪州・北米におけるM&Aにより事業拡大を進めてきました。引続きグローバルでの競争力確保に向けて、日本、豪州、北米におけるクロスセルシナジーを活かした、グローバル事業の更なる拡大に向けた取り組みを進めていきます。
また、「Vision2022」で掲げた海外売上収益1,000億円の実現に向けては、グローバル戦略を着実に推進していく体制構築が必要です。そのため、グローバル本社機構を中心として、グローバル戦略の策定や執行を支援するとともに、海外子会社のCEOを支える経営層の充実とガバナンスの強化を図っていきます。
<人材の確保・育成>
これらの施策を着実に実行していくには、付加価値の源泉である人材の確保と育成が不可欠です。現状では特にDX領域やグローバル事業を着実に推進できる人材の確保が急務となっており、新卒・キャリア採用の強化と社員の育成に取り組みます。
また、技術・ノウハウを保有する企業との関係強化を図っていきます。さらには、社員が活躍・チャレンジできる風土の醸成とダイバーシティの推進を行うとともに多様な働き方を推進し、当社グループらしい働き方改革を実現していきます。
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