事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

本有価証券報告書に記載した経営成績及び財政状態に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避、低減及び発生した場合の対応に努める方針であります。

また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

①分配可能額が十分ではないこと

当社グループの経営成績は、2018年3月期から2021年3月期において4期連続して当期純利益を計上いたしましたが、2022年3月期は当期純損失を計上いたしました。過去の損失額を含めた利益剰余金のマイナスは3億円超であり、依然として会社法第461条第2項の計算による分配可能額はありません。これを解消するために、収益力を向上させることが必要であります。

当社としては、一定の利益を確保できるよう、事業ごとの損益分岐点を見極め、それに見合った経費統制を含む案件管理・進捗管理を実施してまいります。過去に大規模な不採算案件を発生させたことを踏まえ、進捗管理を強化するために工程管理システムの運用徹底により、案件別に早期の課題発見と対策の実施を行う体制を整えます。

 

②特定の取引先への依存の解消

当連結会計年度において、売上高の大きい有力顧客上位2社が占める割合は58.7%(2021年3月期は65.4%)と、依存度が非常に高い状況であります。両社とは、複数年にわたり安定的な取引をいただいておりますが、ビジネスの継続性が確保されているわけではありません。また、有力顧客において、そのニーズ飽和や景気変動などの原因で、当社への発注が急減する可能性があります。このため、顧客ニーズの深耕を通して、より強固な関係を構築するため、多様なサービスの提案営業や人的交流に取り組んでいます。さらに、同様のサービスの横展開を通して、他業種における大口顧客の開拓を行ってまいります。

またこれらの顧客においては、期末に大型案件の納期が集中するケースが多く、その受注動向によっては業績見通しの実現に大きな影響を与えます。年間を通して安定した収益を確保するため、季節要因の少ないO2O2O、MMSなどの事業を強化することで対応しようとしておりますが、まだ十分な成果を上げておりません。

 

③特定の製品・技術等への依存
ⅰ 中心となる技術の変化

当社グループの属する業界の技術分野は、凄まじいスピードで進歩し続けております。このような変化の中、当社グループは常に市場を先取りする形で技術への対応を図ってまいりました。今後とも、次代を担う技術を見据えたサービスの開発に常に取り組んでまいります。現在急速な普及が進んでいるiPhoneOSやAndroidOSベースのスマートフォン・タブレットへの対応などにより、当社にとっても新たなビジネス機会が生まれています。しかし、それと同時にこの変化の波に乗り遅れると将来的に案件を受託することが困難になることが予想されます。

ⅱ 競合

当社グループの位置している業界、すなわち、モバイル端末機器に技術や情報を提供する事業者は極めて多く、競争が激しい状況となっております。加えて、新規参入も相次いでおり、その実数を把握するのも困難な状況であります。

当社グループは、この競争の激しい業界の中で、無線LAN、経路探索、画像・映像配信、TVメタデータ配信、コンテンツプリント、O2O2Oサービス・MMSサービスなどのコンテンツインフラの提供、生活に密着したコンテンツの提供、大手企業とのアライアンスによる事業展開などの戦略により、他社に対する高い参入障壁を築き上げていると認識しておりますが、今後、複数の企業が直接当社と競合する事業に参入してくる可能性は否定出来ません。その場合、競争の激化を招き、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

ⅲ 知的財産

当社グループの製品やサービスは、当社グループが自ら開発したものの他、他社の許諾を受けて使用している特許や技術、ソフトウエア、商標等を前提としております。当社はこれらの技術等の知的財産について、他の第三者の権利を侵害することなく製品やサービスの提供を行うことができるよう留意しております。しかしながら、これらの知的財産が他の第三者の権利を侵害した場合、もしくは他社からの技術供与・使用許諾を受けられなくなった場合、高額な権利使用料や損害賠償の請求を招きかねず、当社グループの事業に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、他社の製品やサービスと差別化できる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、営業上の理由等により知的財産としての十分な保護を受けられない場合があります。そのため、第三者が類似製品・サービス等を製造、販売するのを効果的に防止できない可能性があります。また、他社が、類似もしくはより優れた技術を開発した場合、当社の知的財産の価値が低下する可能性があります。

上記の他、ウクライナ情勢や世界的な半導体の供給不足に伴い、情報通信機器を始めとする原材料の製造・流通・輸送過程にも不安が生じており、当社グループによるハードウェア販売を伴う顧客への納品に遅延等が生じる可能性があります。またこれら原材料の争奪戦に対応するため、先行手配による棚卸資産の増加・長期化の傾向が出ており、計画通りの販売が出来ない場合は不良在庫となる可能性があります。

 

④優秀な人材の継続的な確保と育成

当社の経営基盤を安定化させるためには、提案営業力を強化し、獲得した案件において安定した利益を生み出すために、提案、技術、プロジェクト管理、品質管理などの優秀なスキルを持つ人材の確保が必須となります。当社では、これら人材の強化のため、優秀な人材の採用と社員の能力向上に努めておりますが、これらの施策に失敗し、もしくは優秀な人材が退職した場合、事業の継続に影響が生じる可能性があります。

 

⑤災害発生時の事業継続計画

大規模な自然災害や事故等が発生し、当社の設備・従業者に重大な損害が発生し、事業の継続が困難になる可能性があります。また、当社グループの事業ドメインであるモバイル端末を結ぶ情報ネットワークやデータセンターの情報・通信機器に重大な損害が生じる可能性があるほか、主要顧客が損害を被り事業計画の変更により当社グループへの発注額を大幅に削減する可能性があります。また、新型コロナウイルス等の感染症により、お客様のIT投資への見送りによる当社グループの機会損失や、当社の事業推進体制を維持するうえで重要な人員、設備が毀損する可能性があります。(注)

当社では、様々な事態を想定した事業継続計画により対応を行う予定ですが、想定外の事象の発生等により、対応が困難になる可能性があります。

 

(注)世界的に感染が拡大し、大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染症について、当社グループでは、お客様、協力会社様、従業員とその家族の安全確保と感染拡大の防止を最優先としつつ、お客様への製品・サービス提供の継続、及び感染拡大により生じる様々な社会課題の解決に資する取り組みを進めております。具体的には、従業員に対する在宅勤務や時差出勤の推奨、社内会議やお客様・協力会社様との会議・説明会についてウェブ会議やウェブ配信への切り替えを実施しております。
今後は、新型コロナウイルス感染症の収束・インバウンド需要回復により、市場環境が改善する見通しであるものの、完全に回復するまでには一定の影響が存続するものと想定しております。

 

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