(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績及び財政状態に関する説明において増減額及び前期比(%)を一部記載しておりません。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループが事業を展開しております医療業界は、デジタル庁が策定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(2022年6月7日アップデート)において、「健康・医療・介護」分野の国による関与(予算措置等)が、他の民間分野への波及効果が大きい準公共分野として指定されており、医療利用者数の急増が見込まれる中、担い手の負担軽減の観点からも、デジタル化とデータの利活用が重要な課題とされております。また、「経済財政運営と改革の基本方針2022」、いわゆる「骨太方針2022」(2022年6月7日)では、医療DX推進本部が設置され、「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化」等を行政と関係業界が一丸となって進めるとされております。
これらのことから、その中核を担う電子カルテシステムを含む医療情報システムは今後も普及拡大していくものと考えております。
このような状況の中、当社グループの主力製品である電子カルテシステム「MI・RA・Is/AZ(ミライズ・エーズィー)」の販売において、過去最高水準となった前期末の受注残高に加え、当期の好調な受注高も着実に売上計上に結びついたことや、第2四半期連結会計期間末に連結対象に追加した株式会社サンカクカンパニーの業績が第3四半期連結会計期間から加算された結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,446百万円増加し、10,905百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ843百万円増加し、4,823百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ602百万円増加し、6,082百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高13,702百万円(前期12,284百万円)、売上総利益3,158百万円(前期2,648百万円)、営業利益1,031百万円(前期879百万円)、経常利益1,044百万円(前期908百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益588百万円(前期632百万円)となりました。
なお、収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は460百万円増加し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ33百万円増加しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
〔医療ソリューション事業〕
医療機関向けの自社パッケージ製品である電子カルテシステム「MI・RA・Isシリーズ」を中心に、電子カルテシステムと他社の医事会計システム等の部門システムや、ハードウエア等を組み合わせ、主に中小病院向けに販売しております。また、医療情報システムの保守・運用等のサービスを提供している他、電子カルテと簡単に連携可能な問診サービス等、新たな製品の開発にも取り組んでおります。
また、主にNECグループからの委託により、地域中核病院を中心とした大病院向けの医事会計システム、電子カルテシステム、オーダリングシステム、検査システム、輸血システム等の医療情報システムの開発を行っております。
マイクロンにおいて、製薬会社・医療機器メーカー等からの医薬品・医療機器等の開発業務受託、医療用画像解析ソフトウエアの開発・販売を行っております。また、医薬品・医療機器の臨床開発及び臨床研究領域において、電子カルテ記載情報を含む臨床現場を中心とした日常診療の情報を利活用する事業を進めるなど、電子カルテシステムとのシナジー創出に取り組んでおります。
当社グループの大半を占める医療ソリューション事業の経営成績につきましては、前記の状況により、受注高12,177百万円(前期比4.6%増)、受注残高4,431百万円(前期末4,658百万円)、売上高13,322百万円(前期12,133百万円)、セグメント利益1,148百万円(前期セグメント利益888百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は460百万円増加し、セグメント利益は33百万円増加しております。
〔その他〕
企業や健保組合からの健康相談窓口や特定保健指導の受託、人材事業(介護士等の資格保有者派遣、一般紹介・派遣)、他社Webサイトの構築・運用業務、及び公共・商業施設向けデジタルサイネージシステムの販売等を行っております。
また、2022年2月17日に連結子会社化したサンカクカンパニーにおいて、Webサイト再構築(リブランディング)やWebプロモーション支援(Web広告の企画・制作・運用。SNSを含む。)等、企業のデジタルマーケティング全般を行っております。
その他の経営成績につきましては、受注高267百万円(前期比268.4%増)、受注残高135百万円(前期末17百万円)、売上高380百万円(前期151百万円)、セグメント損失6百万円(前期セグメント損失11百万円)となりました。なお、その他においては、収益認識会計基準等の適用による売上高及びセグメント利益への影響はありません。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、有形固定資産の取得による支出等の要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益の計上、関係会社株式の売却による収入などにより、前連結会計年度末に比べ1,093百万円増加し、当連結会計年度末には3,958百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,550百万円(前期は1,004百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,066百万円、減価償却費335百万円、売上債権の減少額215百万円、棚卸資産の減少額312百万円、法人税等の支払額489百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は763百万円(前期は109百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,144百万円、無形固定資産の取得による支出360百万円、関係会社株式の売却による収入800百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は306百万円(前期は838百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入1,000百万円、長期借入金の返済による支出648百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前期比(%) |
医療ソリューション事業(千円) |
10,745,337 |
108.3 |
その他(千円) |
143,860 |
544.6 |
合計(千円) |
10,889,198 |
109.5 |
(注) 1 生産実績は総製造費用で表示しております。
2 セグメント間の取引については相殺消去しております。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
|||
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期末比(%) |
|
医療ソリューション事業 |
12,177,821 |
104.6 |
4,431,326 |
- |
その他 |
267,822 |
368.4 |
135,037 |
- |
合計 |
12,445,643 |
106.3 |
4,566,363 |
- |
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。このため、当該会計基準等適用前の前期末の実績値に対する増減率は記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前期比(%) |
医療ソリューション事業(千円) |
13,322,411 |
- |
その他(千円) |
380,160 |
- |
合計(千円) |
13,702,572 |
- |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。このため、当該会計基準等適用前の前期の実績値に対する増減率は記載しておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、最近2連結会計年度において、総販売実績の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の総資産は10,905百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,446百万円増加いたしました。
流動資産は7,100百万円となり、前連結会計年度末に比べ3百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が1,089百万円増加したものの、仕掛品が297百万円、未収入金が799百万円減少したことによるものであります。
固定資産は3,804百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,449百万円増加いたしました。これは主に、有形固定資産が1,087百万円、無形固定資産が351百万円増加したことによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は4,823百万円となり、前連結会計年度末に比べ843百万円増加いたしました。
流動負債は3,262百万円となり、前連結会計年度末に比べ401百万円増加いたしました。これは主に、前連結会計年度末のその他に含まれている前受金と比べた当連結会計年度末の契約負債が116百万円、短期借入金が100百万円、1年内返済予定の長期借入金が103百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債は1,560百万円となり、前連結会計年度末に比べ442百万円増加いたしました。これは主に、長期借入金が345百万円増加したことによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は6,082百万円となり、前連結会計年度末に比べ602百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益588百万円の計上及び剰余金の配当119百万円などにより、利益剰余金が528百万円、非支配株主持分が50百万円増加したことによるものです。
b. 経営成績
(売上高)
当社グループの主力製品である電子カルテシステム「MI・RA・Is/AZ(ミライズ・エーズィー)」の販売において、過去最高水準となった前期末の受注残高に加え、当期の好調な受注高も着実に売上に結び付いたことや、第2四半期連結累計期間より連結対象に追加した株式会社サンカクカンパニーの業績が加算されたことなどから、当連結会計年度の売上高は13,702百万円(前期12,284百万円)となり、過去最高となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、売上増に伴う売上総利益の増加により、1,031百万円(前期879百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益が増加したものの、前期に株式会社駅探の株式売却による関係会社株式売却益を特別利益として計上していることなどから、588百万円(前期632百万円)となりました。
c. 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
2022年9月期(2021年10月)からの3ヶ年計画である「中期経営計画2024」では、2024年9月期までに、親会社株主に帰属する当期純利益7億円(2026年9月期には10億円)、流通株式時価総額95億円(同140億円)、顧客医療施設数1,100施設(同1,200施設)とすることを目標としておりました。当連結会計年度の実績と2024年9月期目標に対する進捗率は、親会社株主に帰属する当期純利益5.8億円(進捗率84.0%)、流通株式時価総額52.2億円(進捗率56.0%)、顧客医療施設数977施設(進捗率88.8%)となりました。
2023年9月期(2022年10月)からの3ヶ年計画である「中期経営計画 2025」においては、これらを変更し、2025年9月期までに、流通株式時価総額110億円(2026年9月期以降150億円以上)、親会社株主に帰属する当期純利益9.3億円(同11.5億円以上)、顧客医療施設数1,150施設(同1,200施設以上)とすることを目指します。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
(財務戦略の基本的考え方)
当社グループの資金需要は、主として事業活動に必要な外部仕入、労務費、製造経費、販売費及び一般管理費等の運転資金と事業伸長・生産性向上及び新規事業の創出を目的とした投資資金の二つに大別されます。
短期運転資金は営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの短期借入れで賄っており、M&A・設備投資や長期運転資金は金融機関からの長期借入れにより調達しております。
(経営資源の配分に関する考え方)
当社グループの経営資源の配分に関しましては、上記の基本的な考え方を基に、新規事業の創出に向けた備えと事業開発費用及び設備投資等に、経営資源を重点的に配分してまいります。また、当社グループでは株主還元についても経営における重要課題のひとつと考えており、2022年9月30日を基準日とする1株当たり配当金を前期8円から12円に増額しました。加えて、資本政策の対応力を強化すべく、2022年12月5日に「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」を発表し、取得価額の総額1億円を上限に、東京証券取引所における市場買付を行ってまいります。なお、当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りにつきましては、過去の実績・現状・将来計画に基づく合理的な判断を基礎として行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
お知らせ