(事業全体の状況)
当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出や生産など一部の景気指標に弱含む傾向が現れているものの、総じて堅調に推移しております。
海外経済は、全体として緩やかな成長が続いておりますが、米中間の通商問題を巡る動向や中国経済の先行きなどに不確実性が高まっており、わが国の景気に与える影響に留意する必要があります。
当社グループが関わる不動産及び不動産金融業を取り巻く環境を俯瞰しますと、不動産賃貸市場においては、堅調な企業業績に支えられ東京都心5区及び全国主要都市のオフィスビルでは賃料が着実に上昇しており、稼働率も過去最高水準まで上昇するなど良好な需給環境が続いております。不動産売買市場においては、良好な資金調達環境を背景として国内外の投資家による物件取得意欲は引き続き旺盛な状況が継続しており、取引価格の上昇傾向が続いております。
こうした中、当連結会計年度において当社グループでは、顧客投資家への投資機会を提供するために、オフィス、住宅、ホテル、商業及び物流施設等への投資を積極的に進め、これらの物件でファンドを組成し、アセットマネジメント業務を受託することにより、着実に受託資産残高(AUM)を拡充いたしました。この結果、当連結会計年度末における受託資産残高(AUM)の総額は2兆3,922億円となり、前連結会計年度末比では、2,938億円(14.0%)の純増となりました。
当連結会計年度における代表的な取組みとして、国内機関投資家に対するホテル特化型のコアファンドを新たに組成し、また、海外機関投資家に対する賃貸住宅特化型のコアファンドへ物件の追加供給を行うなど、日本の不動産市場に対して長期的な投資意欲を持つ国内外の投資家の需要に応えてまいりました。新たにサービス提供を開始したクラウドファンディング事業では、当連結会計年度末までに7本のファンドを組成し、主に個人投資家向けに新しい不動産投資商品を提供しております。海外においては、米国の不動産テック企業を対象とした投資ファンドに新規出資を行い、新たな成長分野の開拓を進めております。
これらの取組みにより、当連結会計年度の業績は、営業収益が70,326百万円(前期比11.0%増)、営業利益は15,931百万円(同9.7%増)、経常利益は15,841百万円(同15.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,673百万円(同13.5%減)となりました。
財務面につきましては、約25億円の自己株式の取得及び消却を行い、株主還元水準の向上及び資本効率の改善を図りました。
この結果、2018年2月に公表した中期経営計画「Partners in Growth, Next 2020」において定量目標として掲げた3年平均ROE10.0%以上、3年平均総還元性向50.0%以上に対して、当連結会計年度ではROE11.2%、総還元性向56.5%となりました。
(セグメント別業績)
<アセットマネジメント事業>
私募ファンドを中心に受託資産残高(AUM)が拡充した結果、安定収益であるアセットマネジメントフィー及び資産取得時に受領するアクイジションフィーが増加したことから、営業収益は11,325百万円(前期比9.1%増)、営業利益は7,709百万円(同23.8%増)となりました。
<不動産管理事業>
受託物件の増加に加えテナント誘致が進展したことにより、リーシング業務、テナント入居関連工事が拡大し、営業収益は3,823百万円(前期比22.5%増)、営業利益は1,251百万円(同36.9%増)となりました。
<不動産運営事業>
ホテルの新規開業効果に加え、サービスアパートメント、サービスオフィス共に稼働率・賃料水準が向上したことから、営業収益は4,356百万円(前期比22.9%増)、営業利益は333百万円(前期比736.4%増)となりました。
<不動産投資事業>
堅調な不動産市況を背景にたな卸資産の売却を進めた結果、営業収益は51,482百万円(前期比9.6%増)、営業利益は7,959百万円(同9.3%減)となりました。
(経営成績の分析)
当連結会計年度における営業収益は70,326百万円となり、前連結会計年度に比べ6,954百万円増加しております。これをセグメント及びその内訳別でみると次のとおりであります。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて16,213百万円減少し、171,922百万円となりました。これは主に、物件売却によりたな卸資産が減少したことによるものであります。
負債合計につきましては、前連結会計年度末に比べて19,263百万円減少し、72,253百万円となりました。これは主に、物件売却に伴うノンリコースローンの返済、未払金等が減少したことによるものであります。
純資産合計につきましては、前連結会計年度末に比べて3,049百万円増加し、99,669百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を計上する一方、配当や自己株式の取得・消却により株主還元を行ったことの他、非支配株主持分が減少したことによるものであります。
なお、物件の取得にあたり連結子会社においてノンリコースローンによる資金調達を行う場合がありますが、当該ノンリコースローンは物件を保有している子会社を対象に融資され、返済原資はその子会社が保有する資産に係るキャッシュ・フローの範囲内に限定されます。
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により30,987百万円増加し、投資活動により6,564百万円減少し、また、財務活動により20,535百万円減少いたしました。この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,112百万円増加し、58,390百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、30,987百万円(前期比300.4%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が16,078百万円、たな卸資産の減少額が23,569百万円あった一方、法人税等の支払による支出額が6,087百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、6,564百万円(前期は4,247百万円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入額が7,075百万円あった一方、有形固定資産の取得による支出額が10,804百万円、投資有価証券の取得による支出額が5,010百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、20,535百万円(前期比314.2%増)となりました。これは主に、ノンリコ―ス長期借入れによる収入額が14,630百万円あった一方、ノンリコ―ス長期借入金の返済による支出額が25,801百万円、配当金の支払い及び自己株式の取得による株主還元に伴う支出額が5,738百万円あったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、アセットマネジメント事業、不動産管理事業、不動産運営事業、不動産投資事業を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主要な相手先別の販売実績および販売実績の総額に対する割合は、次のとおりであります。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4. 最近2連結会計年度における主要な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等に関する分析
当該事項につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照ください。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
c. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループのビジネスモデルに基づくアセットマネジメントサービスを推進するための一時的な不動産の取得及び開発を当社子会社SPCにおいて行う場合、これらに必要な資金は当社からの出資に加えて子会社SPCにおける金融機関からのノンリコースローンにより調達を行う方針を採用しております。これら子会社SPCへの出資や顧客投資家のために組成したファンドに共同投資を行う場合には、必要な資金については自己資本を再活用するほか、主要取引金融機関と締結しているシンジケートローン契約により調達した資金により対応しております。
なお、当連結会計年度末における財政状態に関しては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。
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