(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症により経済活動が制約を受ける中、世界経済は先進国を中心にワクチン接種の進展や景気刺激策により個人消費が回復し、経済活動は持ち直しがみられました。
米国では、変異株による感染拡大により景気回復のスピードが鈍化したものの着実に持ち直しており、中国においても同様に緩やかな回復が継続しています。
国内経済は、製造業を中心に設備投資や生産活動は持ち直しの動きがみられ、輸出も増加傾向が続きました。しかしながら、中国における環境問題による生産規制、世界的な物流人材及びコンテナ不足が各産業の生産活動に影響を与えています。
当社グループに関係の深い自動車産業においては、世界的な半導体不足の影響により、中国では自動車生産台数が前年度を下回る状況となりました。日本国内おいても、半導体不足及びアジア新興国での感染症再拡大による部品供給不足が発生し、一部自動車生産工場の操業が停止し、自動車生産への影響が発生いたしました。
このような環境の中、当社グループにおきましては、市場における需要変動を注視し、既存事業拡大に注力、安定供給対応を積極的に進めるとともに、当社が得意とする合成技術を活用し、受託合成品の拡大、品質・技術に優位性を持つ医療用ゴム用途製品、医療用途脱水縮合剤の製造販売に注力、成長分野での市場拡大を積極的に進めました。
一方、生産においては、市場環境の変化による需要増や国内外の顧客要求に応えるため、経営資源の効率化を全社規模で進めコストダウンを図りました。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(a)財政状態
当連結会計年度の資産合計は78億94百万円(前期比9.8%増)、負債合計は56億41百万円(同8.1%増)、純資産合計は22億52百万円(同14.2%増)となりました。
(b)経営成績
当連結会計年度の売上高は79億39百万円(前期比19.8%増)、営業利益は3億80百万円(同370.8%増)、経常利益は3億85百万円(同365.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億81百万円(同374.0%増)となりました。
セグメント業績の概況は次のとおりであります。
Ⅰ.化学工業薬品事業
売上高は79億1百万円(前期比19.9%増)、セグメント利益(営業利益)は3億50百万円(同595.1%増)となりました。
Ⅱ.不動産賃貸事業
売上高は37百万円(前期比0.2%減)、セグメント利益(営業利益)は30百万円(同0.3%減)となりました。
(化学工業薬品事業の部門別の概況)
<ゴム薬品>
ゴム薬品の分野において、国内の工業用品向け製品は、自動車関連産業の世界的な半導体不足、感染症の再拡大による減産影響が懸念されましたが、大きな影響を受けることなく推移し加硫促進剤、老化防止剤共に売り上げが増加しました。また、品質・技術に優位性を持つ医療用ゴム用途の需要増に対応し、大幅に販売を伸ばしました。その結果、国内全体では前期を上回る売上となりました。タイヤ向け製品は、堅調な輸出向けタイヤ生産により顧客の稼働が好調に推移し、前期を上回る売上となりました。合成ゴム向け製品は、国内自動車生産、国内タイヤ生産の回復により売上が前期を上回りました。
海外向けは、中国市場における中国子会社の大幅な増販をはじめ、東南アジア諸国での市況回復に伴う顧客需要拡大に積極的に対応しました。また、海外においても品質・技術に優位性を持つ医療用ゴム用途製品に注力し販売を伸ばしました。
この結果、国内・輸出合わせてのゴム薬品部門合計の売上高は45億89百万円(前期比24.7%増)となりました。
<樹脂薬品>
樹脂薬品の分野は、国内向けについては、主要顧客であるアクリル酸・アクリル酸エステルの生産は回復基調となり、当社主要製品である重合防止剤の販売が増加しました。海外向けは、中国を中心に積極的な拡販活動を行った結果、新規顧客を獲得し販売を伸ばしました。更には電子材料関連への積極的な拡販活動を展開した結果、売上は前期を上回りました。
この結果、樹脂薬品部門合計の売上高は8億73百万円(前期比30.4%増)となりました。
<中間体>
中間体部門においては、界面活性剤中間体は、主要製品の需要が回復したことにより売上は前期を上回りました。染顔料中間体、農薬中間体は、主要製品の販売が低調で売上は前期を下回りました。医薬中間体は、品質・技術に優位性を持つ医療用途脱水縮合剤の製造販売に注力、顧客要望への積極的な対応の結果、国内、海外向け共に販売を増やし売上は前期を上回りました。
この結果、中間体部門合計の売上高は11億57百万円(前期比19.8%増)となりました。
<その他>
環境用薬剤においては、品目毎の増減はあるものの、全体的な需要が堅調に推移したことにより、売上は前年同期を上回りました。新規用途向けは、当社が得意とする合成技術を基盤とする製品の販売に注力し売上を伸ばしましたが、一部製品は当期における顧客での需要が低調に推移し、売上が前期を下回りました。
この結果、この部門合計の売上高は12億81百万円(前期比0.5%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益3億93百万円、減価償却費3億77百万円、仕入債務の増加4億13百万円による資金の増加等に対し、売上債権の増加3億25百万円、たな卸資産の増加59百万円による資金の減少等により7億85百万円の資金の増加(前期は6億54百万円の資金の増加)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得2億61百万円による資金の減少等により2億45百万円の資金の減少(前期は3億92百万円の資金の減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済73百万円、配当金の支払36百万円による資金の減少等により1億19百万円の資金の減少(前期は2億22百万円の資金の増加)となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて4億36百万円増加して13億19百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 生産金額は、販売価格で算定しております。
2 上記の金額は、消費税等は含まれておりません。
当社は、原則として見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1 括弧の数字(内書)は、輸出販売高及び輸出割合であります。
2 上記の金額は、消費税等は含まれておりません。
最近2連結会計年度における輸出高の総額に対する地域別の輸出の割合は、次の通りであります。
最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次の通りであります。
(注) 上記の金額は、消費税は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成に当たって、過去の実績や取引状況等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、その結果を資産・負債及び収益・費用の数値に反映しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。また、新型コロナウイルス感染症による影響は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」にて記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べて7億5百万円増加し、78億94百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金が4億36百万円、受取手形及び売掛金が3億25百万円、たな卸資産が59百万円増加したことに対し、有形固定資産が1億16百万円減少したことによります。
(負債)
総負債は、前連結会計年度と比べて4億24百万円増加し、56億41百万円となりました。その主な要因は、支払手形及び買掛金が4億13百万円増加したことによります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度と比べて2億80百万円増加し、22億52百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金が2億44百万円増加したことによります。
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載しております。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高が前連結会計年度のそれに比べ4億36百万円増加し、13億19百万円となりました。キャッシュ・フローの状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、運転資金、設備資金等の所要資金につきましては、自己資金及び金融機関からの借入金を基本としております。
なお、直近5事業年度におけるキャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式をベースに計算しております。
(注2)有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利息を支払っているすべての負債を対象としております。
(注3)利払いについてはキャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
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