課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末において当社が判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

 当社は2000年の創業当初よりサービス展開を続けているペイメント、2014年よりサービス展開を開始しているフィナンシャルクラウドの二事業を有しております。当社は、代金回収の仕組み、サブスクリプションビジネス向けの機能や顧客管理データベースをコアバリューとし、それらを活かし、かつ世の中の課題を解決するソリューションをSaaS型で両事業において提供しております。

 当社のビジョンは「お金をつなぐクラウドで世の中を笑顔に」です。上述した当社のコアバリューを軸として既存サービスの拡張による周辺領域への進出や新サービスの開発を行ってまいります。特に、現在の顧客の大半がサブスクリプションビジネスを有する顧客であることから、サブスクリプションビジネスを中心とした顧客ビジネスをより多面的にサポートするサービス展開を進めてまいります。当社は、それらを通じて企業のお金をテクノロジーでつなぐサービスでお客様を成功に導き、日本を、そして世の中を幸せにし、皆を笑顔にすることを目指します。

 また、収益構造については、安定的な経営基盤を引き続き強化すべく、リカーリングビジネスを志向し、収益が地層構造のように着実に積み上がるビジネスモデルを今後も推し進めてまいります。

 

(2)経営環境

 当社の各事業を取り巻く経営環境については、以下の通りです。

① ペイメント

 ペイメントが立脚するネット決済代行サービス市場は国内EC市場の成長を背景に今後も堅調な伸びが予想されています。デロイトトーマツミック経済研究所株式会社「ECにおけるネット決済代行サービス市場の現状と展望2021年度版」(2021年8月)によれば、新たなEC利用者層の広まりや新しいオンラインビジネスの出現等を理由に、国内のネット決済代行サービス市場の市場規模は2024年度には約5,690億円になると予測されております。

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(出典:デロイトトーマツミック経済研究所株式会社 「ECにおけるネット決済代行サービス市場の現状と展望2021年度版」(2021年8月)より当社作成)

 

 また、「サブスクペイ」はサブスクリプションサービスを展開する事業者に多くご利用頂いておりますが、株式会社ICT総研「2020年 サブスクリプションサービスの市場動向調査」(2020年2月)によると、サブスクリプションサービス市場は今後も様々な業種の参入もあり、活性化、拡大が予測されており、その市場規模は2023年には約1.4兆円(2019年比126%)まで拡大するとのことです。

 以上の通り、EC市場、サブスクリプションサービス市場ともに、新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であり、むしろその好影響を受けつつ堅調な成長が見込まれます。ペイメントはネット決済代行サービス市場に立脚し、同事業において提供している「サブスクペイ」はサブスクリプション向けの機能の強みを持つことから、その重要性はより高まっていくものと考えております。

 

② フィナンシャルクラウド

 総務省が発行した「情報通信白書平成30年版」(2018年7月)によると、急速に進む少子高齢化の結果、我が国の15歳から64歳の生産年齢人口は既に減少の一途をたどっており、2017年の7,596万人が2040年には5,978万人まで減少することが推計されており、社会的・経済的な課題として労働力不足は深刻化していくことが見込まれます。一方、フィナンシャルクラウドが立脚しているSaaS市場はソフトウエア投資において、その占有率を徐々に増やしており、そのトレンドは今後も継続されることが見込まれております。また、総務省公表の「我が国のICT現状に関する調査研究」(2018年3月)によると、2017年の日本のSaaS導入率は41%に対して米国の導入率は79%であり、国内のSaaS市場は米国と比較するとまだまだ拡大する余地があることが推察されます。さらに、総務省が発行した「令和2年版 情報通信白書」(2020年12月)では、企業のクラウドサービス利用率が2019年には64.7%(前年比+6.0%)となっており、様々な企業でクラウドサービスが活用されてきていることが窺えます。その利用状況の回答内容においても、「全社的に利用している」「一部の事業所または部門で利用している」ともに割合が増えております。同白書によれば、クラウドサービスを利用している企業の85%を超える企業が非常に、もしくはある程度効果があったと回答しており、効果を実感しているとのことです。クラウドサービスを利用する企業は毎年堅調に増え続けており、顧客満足度も追い風として、今後さらにクラウドサービス市場は成長が見込まれると言えると考えております。それらを背景に、ソフトウエア投資における提供形態別の市場規模の推移では、今後SaaS型での提供のシェアが益々上がるものと予測されております。株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2020年版」(2020年9月)によれば、ソフトウエア投資におけるSaaS比率は2024年度には56%に達すると見込まれております。

 

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(出典:株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2020年版」(2020年9月)より当社作成)

 

 加えて、株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2020年版」(2020年9月)によると、2020年4~6月のソフトウエア投資は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で日本企業の売上が減収になる中でも、前年比でプラスを維持しています。

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(出典:株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2020年版」(2020年9月)より当社作成)

 

 また、経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート」で謳われている「2025年の崖」、電子帳簿保存法や2023年10月に始まる電子インボイス制度などにより、請求業務を含む様々な業務改善やデータ活用といった切り口でソフトウエア投資が国内において広まっていくものと考えております。

 以上の通り、人口減少が我が国の経済成長の大きな壁となりうると考えられる中で、我が国経済の発展のために、人手不足を補い、労働生産性を向上させるために、ソフトウエア投資、特にその中でもSaaSの利活用がその利便性などから今後さらに注目されることが見込まれます。

 さらに、経済産業省が2020年7月に発表した「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」報告書では、2019年における企業間電子商取引は約353兆円となったと報告されております。一方、請求管理ロボが処理した取引金額は2021年には約3,424億円(前年比140%)へ成長したものの、上記約353兆円と比較すると相対的にはまだごくわずかの取引金額であります。

 以上より、フィナンシャルクラウドの大きな成長機会が存在していると考えております。

 

(3)経営上の目標の達成状況を客観的に判断するための指標等

 当社の事業はこれまでのご説明の通り、既存顧客から継続的に上がるリカーリング収益が売上の大半を占め、安定的かつ主要な収益基盤となっております。そのため、両事業におけるリカーリング収益比率、さらにそのリカーリング収益を生み出している既存のアカウント数やアカウント毎の平均単価であるARPAを当社の経営上重要な指標として定めております。

 

(4)経営戦略

 当社は上記の通り、経営上重要な指標を定めております。各指標を着実かつ持続的に向上させる取り組みを行い、企業価値の最大化を目指してまいります。具体的な取り組みについては、下記「(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご覧ください。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 新規契約アカウントの増加

・当社及び当社が提供するサービス「サブスクペイ」・「請求管理ロボ」の認知度はまだ改善の余地が多いと考えており、webマーケティングを中心に投資対効果に留意しつつマーケティングを強化し、認知向上・お問い合わせの増加を目指してまいります。

・マーケティングの強化に伴い増加するお問い合わせに適時適切に対応し、新規契約に結び付けるために、営業人員の増員や教育にさらに注力してまいります。

・全国各地に販売網を有する大手販売パートナー等との連携を強化し、当社のみではアプローチが難しい企業への拡販も強化してまいります。

 

② ARPAの向上

 現在提供しているサービス機能強化・新規プロダクト開発、エンタープライズ顧客向け営業組織の構築を通じてエンタープライズ顧客へのアプローチを開始し、ARPAの向上を実現することが収益性の向上には必要と考えております。また、それを可能とする体制の整備・強化、外部パートナー等との連携が必要不可欠と考えております。

 

 

③ 解約率の低減

 当社が提供している「サブスクペイ」・「請求管理ロボ」は、ビジネスモデルの特性上、顧客の事業成長に比例して、1顧客あたりの収益が増加していく特徴があります。そのため、事業が成長している既存顧客の解約率を低減させることは当社の収益力の向上に必要不可欠と考えております。サービスの機能強化を継続的に実行するとともに、カスタマーサクセス部隊を中心に顧客満足度向上を目指し、解約率の低減を引き続き目指してまいります。

 

④ 優秀な人材の確保

 当社は、今後、上述したようなミッションを達成し、中長期的に事業拡大を継続していくためには、営業、カスタマーサクセス、エンジニア等において優秀な人材の確保が不可欠であると考えております。当社のミッション、ビジョンに共感してもらえる優秀な人材を獲得し、合わせて、教育プラン、評価制度、働きやすい環境を整備することで、個人のスキルアップを促しつつ、当社への定着率の向上に努めてまいります。

 

⑤ 利益およびキャッシュ・フローの創出

 当社の収益構造については、リカーリング収益が収益の大半であり、顧客のサービス利用が継続すればするほど収益が地層のように積み上がるモデルとなっております。特に「請求管理ロボ」においては、ITサービス業界における伝統的なシステムの一括売り切り型のモデルと比較すると、サービス開始直後において、売上高に対する開発費用や顧客獲得費用の割合が相対的に大きくなる傾向があり、収支的には赤字が先行するという特徴があります。

 一方で、当社が創業以来サービスを継続している「サブスクペイ」は、ネット決済代行サービス市場の堅調な成長にも支えられ、当社のキャッシュカウビジネスとして売上、利益ともに安定的に成長をしております。そのため全社で見るとキャッシュ・フローが安定しており、外部からの資金調達に大きくは依存しない体制となっております。

 当社としては、高い成長率を実現している「請求管理ロボ」における中期的かつ持続的な成長を実現するため、引き続き積極的に投資は継続しながらも、同事業の営業利益率の改善を目指すとともに、「サブスクペイ」の成長も引き続き発展させることで、全社的な利益やキャッシュ・フローの最大化に努めてまいります。

 

⑥ 内部管理体制とコーポレート・ガバナンスの強化

 当社が持続的な成長を維持していくためには、内部管理体制の強化を通じた業務の標準化・効率化が重要であると考えております。それらの実効性を高めるための環境を整備し、組織的な統制・管理活動を通じてリスク管理を徹底するとともに、業務の標準化と効率化を目指しております。また、コーポレートガバナンス・コードの基本原則に従い、株主の皆様をはじめとする全てのステークホルダーからの社会的信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命とし、コンプライアンス体制の強化、迅速かつ正確な情報開示の充実に努め、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでまいります。2020年10月には取締役会の諮問機関として指名・報酬諮問委員会を設置いたしました。同委員会は委員の過半数が社外役員によって構成されており、取締役の指名、報酬体系の決定プロセス等について、より透明性と客観性を確保してまいります。

 

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