業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴う影響により、国内景気は依然として厳しい状況にあり、一部に持ち直しの動きもあるものの、経済の回復は道半ばの状況にあります。加えて、ロシア・ウクライナ情勢に起因した経済制裁や資源高騰などにより、国内外の経済状況や企業の事業活動に影響が出ております。

一方、当社グループを取り巻く事業環境としては、近年消費者の価値観が「所有」から「利用」、「モノ」から「コト」へ変化する中で、「サブスクリプションビジネス」がBtoCの分野で先行的に拡大しており、すでに「サブスクリプション」はビジネスモデル変革の一つのキーワードとして広く業界に認知されるに至っております。こうした中で、トヨタ自動車の「KINTO」のように、日本企業、製造業においても「モノ」を中心とした売り切り型のビジネスモデルから、顧客に新たな体験価値を提供し継続的に対価を得る「コト」を中心としたビジネスモデルへと軸足を移そうという動きが具体的に始まっていると思料しております。また、近年は、技術革新に加え、社会生活の態様の変化を踏まえ、日本企業によるデジタル・トランスフォーメーション(DX)への取り組みが一層進んでいく環境が出来上がりつつあるものと思料しておりますが、加えて、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を契機に、コンタクトレス・エコノミーへの対応が求められる時代にもなりました。

このような環境において、当社グループは創業以来「情報基盤の創造によって、より豊かな社会の実現に貢献する」ことを理念とし、「サブスクリプションをすべてのビジネスに」をテーマに、サブスクリプション統合プラットフォーム「Bplats®」の開発・提供を一貫して行っております。サブスクリプション型ビジネスへの転換・事業創出のニーズは各産業に通底するものであり、当社プラットフォームを展開しうる業域は広いため、今後も事業機会は増加していくものと想定しております。なお、新型コロナウイルスの感染拡大により社会経済活動が制約を受けておりますが、一方で、中長期的には、社会生活の態様の変化から日本企業によるデジタル・トランスフォーメーション(DX)への取り組みが一層進み、日本企業のビジネスモデルのサブスクリプション型ビジネスへの転換が従来よりも加速していく可能性もあり、その場合には、当社の主力製品である汎用型サブスクリプション統合プラットフォーム「Bplats® Platform Edition」は、より一層の支持を受けるものと期待されます。

当社グループでは、全てのサブスクリプションビジネスを取り込み得る将来的な拡販の可能性とそれに伴う企業成長を目指し、2017年半ばより汎用製品である「Bplats® Platform Edition」を主力製品として、当期においても引き続きその拡販に注力しております。

この主力製品につきましては、株式会社KINTO、NTTコミュニケーションズ株式会社、コニカミノルタジャパン株式会社、株式会社NTTデータなどの有力企業に採用されるなど実績を着実に積み重ねております。このように、当社製品はサブスクリプションビジネス事業者の業態・業界を選ばず支持を受けており、日本企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を支援するプラットフォームシステムとして着実な事業進捗を重ねているものと判断しております。

また、「Bplats® Platform Edition」で実現する「エコシステムがつながる」という当社の強みの機能向上を推進し、多様なニーズに対応すべく、新たなオプション機能の開発を継続的に進めており、前連結会計年度においては、「パートナー機能」「二要素認証」「API刷新」「Subscription Analytics(経営指標分析ツール)」などの開発に取り組みましたが、当連結会計年度におきましても、サブスクリプションサービスの“オンライン”と“オフライン実店舗”による顧客接点をサポートする「会員証機能」、アドビ株式会社と提携しサブスクリプション契約の真正性を担保し履歴の追跡を可能とする「電子サイン機能」、自社のサブスクリプションサービスを他事業者のサブスクリプションマーケットプレイスを通じて提供できる新サービス「Bplats Connect」の開発を行っております。

新サービス「Bplats Connect」を活用すると、大手のサブスクリプションマーケットプレイスを展開する事業者に自社のサブスクリプションサービスを登録し新しい顧客層にサービスや商品を提供することや、複数の「Bplats」の利用者が集まって一つのマーケットプレイス型サイトを新たに開設することによりスマートシティやスマートビルディングといった個々の目的にあった新たなマーケットプレイスに参加する各企業のサブスクリプションを簡単に取りまとめ新規のビジネスを立ち上げることが可能になります。当連結会計年度においては、トヨタファイナンス株式会社の「TFC SubscMall」において、「Bplats® Platform Edition」が採択されました。サブスクリプションのマーケットプレイスの開設、全国のトヨタの販売店などが参加しての店舗とオンラインを融合した顧客接点の創出などによる、サブスクリプションの新しいビジネスモデルの実現に「Bplats®」をご活用いただきます。また、サブスクリプションビジネスを展開する外部事業者の商材を新機能「Bplats® Connect」の活用により品揃えすることなどにより、お客さまの多様なニーズにお応えする様々な企業が参加できる仕組みが創出されます。ビープラッツは、新しい顧客体験をサブスクリプションモデルで提供する“新しいつながり、新しいデジタル共創”を支援してまいります。

目下、現代社会のテーマになっているサスティナブル(持続可能)を実現するための要素として、「環境エネルギー問題への取組み」、「大量生産・廃棄からの脱却」、「社会課題解決のための先端技術の活用」などに、大変注目が集まっています。このような時代が求める背景に適応するためには、メーカーやサービス提供事業者単体の技術や商品、サービスだけで実現することは困難となりつつあり、また、顧客側が商品、サービスを組み合わせて活用するためには、サービス提供元の多くが「連携」・「共創」してサービスをワンストップで提供するような取り組みが不可欠となると考えます。これからさらに進化を続ける世の中のニーズに合わせ、サブスクリプションをつくる、管理するという時代から、サブスクリプションを使いこなして、“新しいつながり、新しいデジタル共創”を行う時代に向けたサービスの提供をしていくことで、サスティナブルな社会へと貢献してまいります。このような背景から「Bplats Connect」の開発を行っており、サスティナブルな時代の要請に的確に応えていくサービスになるものと考えております。

当社といたしましては、このように主力製品「Bplats® Platform Edition」の機能向上を進めつつ、直販営業の強化に加え、販売パートナーの拡充と販売パートナーへの営業支援を強化し新規契約社数の拡大に注力しております。

直販営業に関しましては、当連結会計年度においては、NTTコミュニケーションズ株式会社、株式会社ベイカレント・コンサルティングとの共催によるオンラインセミナー「DXサブスクリプション2021」、アドビ株式会社との共催によるオンラインセミナー「サブスクリプションセミナー2021」、トヨタファイナンス株式会社との共催によるオンラインセミナー「[Offline to Online]トヨタ販売店とはじめる新しいサブスクリプション」の開催、「Japan IT Week」への出展等、各種セミナー・講演、メルマガ配信、各種媒体へのプレゼンスなど、マーケティング活動の強化を進め、リード獲得、商談化へとつなげてまいりました。販売パートナー経由の販売に関しましては、継続的な販売契約に基づく販売パートナーが、2018年3月期末はファイナンス系2社であったものが、2021年3月期末にはSI系企業へのOEM(相手先ブランドによる提供)やコンサルティングファーム等も含め11社となっておりますが、当連結会計年度において新たに販売パートナーとなったBIPROGY株式会社(旧日本ユニシス株式会社)、NECソリューションイノベータ株式会社を加え、現在13社となったパートナーと連携し再販等の営業強化を進めております。それらの結果、当連結会計年度における受注件数は122件(前期比107.0%)、当連結会計年度末における契約社数(無償版契約者数を含む)は169社(前期末比+23社)と着実に契約は伸長しております。また、当連結会計年度におけるSPOT件数に占める販売パートナー経由のSPOT件数の比率は42.6%(前期18.4%比+24.2pt)と、新規契約獲得における販売パートナーによる営業の成果も着実に進捗しているところであります。

当社といたしましては、こうした販売戦略を通じ新規契約社数の拡大に注力することで、引き続き中長期的な成長を目指して当社グループの顧客基盤及びサブスクリプション収益(ストック型の月額収益、オプション追加収益)の拡大に努めてまいります。なお、当連結会計年度において、売上高に占めるストック収入の割合は、約7割に迫る67.6%(前期59.3%比+8.3pt)、スポット収入に占めるオプション機能の提供を含む初期費用等の割合は、8割を超える85.4%(前期81.8%比+3.6pt)、とそれぞれ着実に進捗しております。

市場の拡大に向けた新たな取り組みとしては、2020年10月にはリモートワークや新しい働き方で求められる「B2E(Business to Employee)サブスクリプション」のための「サブかん®」の提供を開始しました。「サブかん®」は、昨今急速に対応を迫られる企業内のデジタル・トランスフォーメーション(DX)や働き方改革を支援するツールとして開発したあらゆる業種・業態の企業の課題解決に寄与しうる新製品となります。当社は「サブかん®」の提供を通じ企業内サブスク管理の新たな市場の開拓に努めております。

また、当社は地域の中堅・中小企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の支援を目的に「地域DXプロジェクト」を開始しております。その第一弾として北九州システムインテグレータネットワークとの「Kitakyushu SIerNet DX Marketplace」の取り組みが決定し、システムプラットフォームとして「Bplats®」が採用されました。 ロボットやAIツール等DX関連のサービスを中心とした北九州システムインテグレータネットワークの会員企業各社のサービスをサブスクリプションモデルで提供するマーケットプレイス機能を持つWebサイトとして2021年1月にサイトオープンをしております。

 

以上の結果、当連結会計年度における売上高は808,721千円(前年同期比7.1%増)、営業利益は18,568千円(同47.9%減)、経常利益は14,582千円(同58.3%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は10,881千円(同64.8%減)となりました。

 

また、当連結会計年度末における当社グループの財政状態については下記のとおりとなっております。

(資産)

当連結会計年度末の総資産は964,468千円となり、前連結会計年度末に比べ23,659千円の増加となりました。

流動資産は408,693千円となり、前連結会計年度末に比べ51,371千円の減少となりました。これは主に、現金及び預金が37,554千円減少したこと、売掛金が15,555千円減少したこと等によります。

固定資産は555,774千円となり、前連結会計年度末に比べ75,030千円の増加となりました。これは主に、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定の無形固定資産が64,376千円増加したこと等によります。

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は523,825千円となり、前連結会計年度末に比べ12,483千円の減少となりました。

流動負債は272,627千円となり、前連結会計年度末に比べ165,434千円の減少となりました。これは主に、短期借入金が200,000千円減少したこと、1年内返済予定の長期借入金が100,004千円増加したこと等によります。

固定負債は251,198千円となり、前連結会計年度末に比べ152,950千円の増加となりました。これは主に、長期借入金が153,047千円増加したこと等によります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は440,642千円となり、前連結会計年度末に比べ36,143千円の増加となりました。これは主に、株式報酬及び新株予約権行使の払込みにより、資本金、資本剰余金がそれぞれ13,049千円増加したこと、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が10,881千円増加したこと等によります。

株主資本は435,440千円となり、前連結会計年度末に比べ36,777千円の増加となりました。自己資本比率につきましては、45.1%(前連結会計年度末は42.4%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ37,554千円減少し、246,112千円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、202,966千円(前年同期は266,238千円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費235,044千円、株式報酬費用17,668千円、売上債権の減少額15,555千円、税金等調整前当期純利益14,582千円等で資金が増加したことに対し、法人税等の支払額32,935千円、未払金の減少額23,233千円等で資金が減少したことによるものであります

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、300,542千円(前年同期は220,241千円の支出)となりました。これは主にシステム開発に伴う無形固定資産の取得による支出293,170千円等で資金が減少したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、60,021千円(前年同期は51,857千円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入400,000千円、短期借入れによる収入150,000千円等で資金が増加したことに対し、短期借入金の返済による支出350,000千円、長期借入金の返済による支出146,949千円で資金が減少したことによるものであります

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループのサービス提供の実績は販売実績と一致しておりますので、受注実績に関しては販売実績の項をご参照ください。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績を事業別及びサービス別に示すと、次のとおりであります。

事業及びサービスの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

サブスクリプション事業

788,985

107.3

 

初期費用・初期開発等

241,757

83.6

 

月額利用料等

547,228

122.7

その他の事業

19,735

100.4

合計

808,721

107.1

 

(注) 当連結会計年度の主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

2021年3月31日)

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社

36,542

4.8

122,471

15.1

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び重要な会計上の見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。

なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り、2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

その他重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等について、当社グループの中長期的な事業戦略に基づき当連結会計年度に実施しました諸施策に関係づけて分析すると、以下のとおりであります。

a.売上高

市場で高まりはじめたサブスクリプション型ビジネスへの転換ニーズ、その先行ニーズを捉え、各業界を代表する企業を中心に主力製品「Bplats® Platform Edition」の導入社数が伸長したことに加え、既存顧客の安定的な売上によるストック収益が増加した結果、808,721千円となりました。

b.売上原価、売上総利益

当連結会計年度においては、前連結会計年度に引き続き製品力の向上を目指した積極的な開発投資に引き続き取り組んだこと等により、売上原価が377,686千円となり、売上総利益は431,034千円となりました。

c.販売費及び一般管理費、営業利益

人件費含め適切なコントロールにより、販売費及び一般管理費は412,465千円となり、営業利益は18,568千円となりました。

d.営業外損益、経常利益

営業外収益は565千円、営業外費用は4,551千円となり、その結果、経常利益は14,582千円となりました。

e.親会社株主に帰属する当期純利益

法人税、住民税及び事業税、また法人税等調整額等の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は10,881千円となりました。

 

当社グループの将来の経営成績に重要な影響を与える要因のうち、投資者の判断に重大な影響を与える可能性の事項については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 

 

資本の財源及び資金の流動性については下記のとおりと考えております。

資本の財源については、当連結会計年度末においては親会社株主に帰属する当期純利益10,881千円を計上したことから自己資本比率は45.1%となりました。

また、資金の流動性については、当連結会計年度末における流動比率は149.9%となりました。

 

経営者の問題意識と今後の方針については次のとおりと考えております。

当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後更に成長と発展を遂げるためには、様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社の経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。

 

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