業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度は連結財務諸表作成初年度であるため、前年同期との比較分析は行っておりません。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

資産、負債、純資産別の財政状態は以下のとおりです。

(資産)

当連結会計年度末の資産は、2,511,820千円となりました。主な内訳は、現金及び預金1,521,161千円、売掛金371,721千円、のれん415,866千円であります。

(負債)

当連結会計年度末の負債は、869,266千円となりました。主な内訳は、買掛金337,701千円、未払法人税等99,447千円、1年内返済予定の長期借入金及び長期借入金346,080千円であります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、1,642,554千円となりました。主な内訳は、資本金338,105千円、資本剰余金331,941千円、利益剰余金946,899千円であります。

 

b.経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあります。ワクチン接種の普及や各種政策の効果により回復の期待が高まってきたものの、感染力の強い変異株による感染再拡大もあり、依然として景気の先行き不透明な状態が続いております。

このような状況の中、当社グループは「デジタル社会に、リアルな絆を」というビジョンを掲げ、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションのもと、SMS配信サービスにおいては、国内の携帯電話事業者4社との直接回線接続、大量配信に耐えうるSMS配信システムなどから海外SMSアグリゲーター、IT企業、コールセンター、人材サービス会社等からの支持を受け、業界内でのポジションを確立し、さらなる事業拡大を目指しております。さらに、2021年10月には、国際網を主としたSMS配信サービスを展開する株式会社Xoxzoを子会社化し、一定の規模を有する国際網SMS配信市場において、さらなる顧客拡大や新たな顧客層へのリーチを実現し、SMS配信市場全体における当社グループのシェアを高めてまいります。また、メール配信サービスについては、2021年9月に「学校安心メール」や「自治体安心メール」を展開する株式会社テクノミックスを子会社化し、グループとして新たにメール配信サービスを有することで、当社の既存顧客に対し、より多角的なコミュニケーション・チャネルを提供することが可能となりました。

 

各サービスごとの概況は以下のとおりであります。

 

(a)SMS配信サービス

SMS配信サービス業界においては、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響を受け、ニューノーマルと呼ばれる、社会・経済活動が大きく変容するなかで、SMS配信サービスの認知度が向上し、SNSやスマートフォンアプリの利用時などの本人認証通知、公共料金・税金などの督促の通知、飲食業界のノー・ショウ(飲食店における無断キャンセル)対策としての予約確認など企業と個人の間でのコミュニケーション手段として高い到達率と開封率というSMSの有用性を再認識する企業の増加に伴い、SMS配信市場は急速な広がりをみせており、2025年の国内直収市場規模は配信数86億2,000万通と予想され(「ミックITレポート 2021年9月号」(デロイトトーマツミック経済研究所))、2021年度から2025年度までの年平均成長率は41.5%増で、引き続き安定高成長を続けると予想されております。

当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、緊急事態宣言等により臨時休業や営業時間短縮を余儀なくされた飲食店や娯楽施設など業績が大きく冷え込んだ業界の影響はあったものの、国内市場全体においては、SMS配信市場の拡大を受け配信数についても順調に推移しました。また、海外SMSアグリゲーター経由については、当社が提供する「国内正規配信ルート」の到達率や開封率の高さが見直された結果、海外売上についても順調に推移しました。

 

(b)メール配信サービス

安心メールシステムとして、学校・PTA・保護者間の連絡をスムーズに行うための手段として「学校安心メール」、住民と自治体間の防犯・防災危機管理緊急連絡システム「自治体安心メール」等を展開しており、県警察本部、自治体、教育委員会、小学校・中学校・高等学校、幼稚園・保育園など全国4,400を超える公的な団体や施設で採用されており、引き続き、取引施設数も順調に推移しております。

 

以上の結果、当社グループ全体の売上高は2,833,569千円、営業利益は465,869千円、経常利益は461,361千円、親会社株主に帰属する当期純利益は300,177千円となりました。

なお、セグメント毎の業績につきましては、「SMS配信サービス」と「メール配信サービス」を事業セグメントの集約基準に基づいてこれらを「メッセージングサービス事業」として集約し、単一の報告セグメントとしておりますので、記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、1,521,161千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、359,719千円の増加となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益446,287千円、仕入債務の増加105,829千円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加105,383千円、法人税等の支払126,326千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、464,188千円の減少となりました。支出の主な内訳は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出426,861千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、407,838千円の増加となりました。収入の主な内訳は、短期借入れによる収入400,000千円、長期借入れによる収入370,800千円、株式の発行による収入117,682千円、支出の主な内訳は、短期借入金の返済による支出400,000千円、配当金の支払55,923千円であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

メッセージングサービス事業

2,833,569

合計

2,833,569

(注)1.当社の事業セグメントは、メッセージングサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績は記載しておりません。

2.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度比については記載しておりません。

3.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

Telesign Corporation

593,044

20.9

Nexmo, Inc.

340,766

12.0

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」にも記載しておりますが、売上高は2,833,569千円となりました。これは主に、当社においては、認証用途を中心に国内SMS配信市場の拡大により国内市場向けのSMS配信数が増加したこと、また、海外SMSアグリゲーター経由については、当社が提供する「国内正規配信ルート」の到達率や開封率の高さが見直された結果によるものであります。あわせて、通年ではないためそれほど大きな影響ではなかったものの、第4四半期より、株式会社テクノミックス、株式会社Xoxzoの業績が連結対象になったことが増収要因となっております。

売上原価は、1,690,543千円となりました。これは主に、当社において、SMS配信数増加に伴う携帯電話事業者からの仕入高増加によるものであります。

販売費及び一般管理費は、677,156千円となりました。これは主に、事業拡大に伴う人員増による人件費の増加、広告及び販促費用の増加及び新事業領域へ進出するための研究開発費用及びM&Aなど事業開発に係る支払手数料によるものであります。

結果、営業利益は465,869千円となりました。

営業外損益は、新規借入による支払利息1,221千円及び為替差損3,196千円により、経常利益は461,361千円となり、税金等調整前当期純利益は446,287千円、親会社株主に帰属する当期純利益は300,177千円となりました。

 

c.新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、さらなる拡散の脅威や経済活動の停滞等が継続する可能性があります。当社グループにおきましては、顧客基盤が、IT関連サービス、コールセンター、通信販売、人材関連サービス、小売、飲食店、娯楽施設、学校などの公共サービスなど多岐にわたっており、SMSサービスにおいては、業績悪化で配信数が減少している業界がある一方で、業績好調により配信数が伸びている業界もあり、また、メール配信サービスにおいては、公共サービスのDX化が進んだ結果として、当社グループ全体としては堅調に成長することができており、新型コロナウイルスが当社の経営環境に与える影響は限定的であると考えております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、359,719千円の増加となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益446,287千円、仕入債務の増加105,829千円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加105,383千円、法人税等の支払126,326千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、464,188千円の減少となりました。支出の主な内訳は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出426,861千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、407,838千円の増加となりました。収入の主な内訳は、短期借入れによる収入400,000千円、長期借入れによる収入370,800千円、株式の発行による収入117,682千円、支出の主な内訳は、短期借入金の返済による支出400,000千円、配当金の支払55,923千円であります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ソフトウエアの開発による無形固定資産取得のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、事業開発に伴うM&Aによる株式取得費用や、新事業領域への進出を見据えた研究開発費用等であります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

今後のさらなる成長の為に、SMSを活用した付加価値の高いサービスの開発や、SMS配信サービスの営業体制強化のためのプロモーション、また、市場シェア拡大のためのM&A、新事業領域への進出を見据えた研究開発等に取り組む方針です。これらの事業活動に必要となる資金は、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債の残高は346,080千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,521,161千円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた重要な会計上の見積りはありません。なお、当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

また、新型コロナウイルス感染拡大における影響は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおり、限定的であると認識しております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載しておりますが、当社グループの売上高の49.6%(2021年12月期)を占める海外SMSアグリゲーターの動向、競合企業の動向及び携帯電話事業者との契約関係は、当社の経営成績に重要な影響を与える要因であると認識しております。

 

⑤ 経営戦略の現状と見通し

当社グループは、「デジタル社会に、リアルな絆を」というビジョンを掲げ、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションのもと、メッセージングサービス事業において、「安心」「安全」「信頼」につながる「リアルな絆」を創出し、セキュリティ×コミュニケーションを軸に社会課題の解決に取り組んでおります。

今後もさらなる収益拡大のため、SMS配信サービスにおいては、競合他社との価格競争による販売単価の低下や、海外SMSアグリゲーター経由でのSMS配信サービスへの競合他社の参入など市場環境がより一層厳しくなっているものの、国内市場は引き続き拡大が見込まれており、また、国際網でサービス展開している株式会社Xoxzoを子会社化したこと、さらにベトナムでSMS配信サービスを展開するVietGuys J.S.C.を子会社化することで、国内外ともに市場拡大とシェア獲得を推進してまいります。また、メール配信サービスにおいても、新たに「学校安心メール」や「自治体安心メール」を展開する株式会社テクノミックスを子会社化したことにより、グループとして新たにメール配信サービスを有することで、より多角的なコミュニケーション・チャネルを提供することが可能となり、メッセージングサービス事業の拡大を推進してまいります。

メッセージングサービス事業以外の分野においても、「セキュリティ×コミュニケーション」を軸に、電話番号にとらわれない新事業領域の研究開発に取り組んでおり、分散型アイデンティティを活用したサービスや、AIを活用したコミュニケーション最適化基盤の開発を進めており、実証実験を重ねて事業化に向けての具体的な検討を進めてまいります。

 

⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループは、「デジタル社会に、リアルな絆を」を会社のビジョンとして掲げ、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションのもと、メッセージングサービス事業を展開しております。

今後の方針としまして、SMS配信サービスにおいては、引き続き市場の拡大が見込まれる当該事業領域へ経営資源を投入すること、あわせて、SMS配信サービスに付加価値をつけた「SMS×α」の販売拡大、次世代メッセージサービスとして「+メッセージ」への取組み、メール配信サービスにおいては、引き続き顧客の新規獲得を推進しながら、並行してSMSサービスの既存顧客へのクロスセル、さらに、これまでの電話番号に捉われない新事業領域への展開等を進めることで中長期の持続的な成長を目指してまいります。

経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

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