課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「デジタル社会に、リアルな絆を」というビジョンを掲げ、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションのもと、メッセージングサービス事業において、「安心」「安全」「信頼」につながる「リアルな絆」を創出し、セキュリティ×コミュニケーションを軸に社会課題の解決に取り組んでまいります。

 

(2) 経営環境及び経営戦略

当社グループは、メッセージングサービス事業を営んでおり、さらにメッセージングサービス事業は、SMS配信サービスとメール配信サービスに区分されますので、それぞれのサービスに分けて説明いたします。

 

a.SMS配信サービス

SMS配信サービス市場は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響を受け、ニューノーマルと呼ばれる、社会・経済活動が大きく変容するなかで、SMS配信サービスの認知度は向上しておりますが、国内企業の普及率が依然として低く、今後の拡大余地は大きいものと見込まれております。

利用用途として、ICT(情報通信技術)の発展により個人認証によるセキュリティの重要性が高まるなかで、携帯電話番号は有効な個人認証手段として定着しつつあり、SNSやスマートフォンアプリの利用時などの本人認証通知、また、生活様式の変化により企業から個人へのコンタクト手段であった電話、郵便、Eメール、FAX等から、SMSの配信対象カバー率、閲覧率、即時性、大量一斉送信、変更頻度通知などの優位性が注目されつつあるなかで、公共料金・税金など督促の通知や、飲食業界のノー・ショウ(飲食店における無断キャンセル)対策としての予約確認など企業と個人の間でのコミュニケーション手段としてSMSが利用されるようになり、物流の再配達問題、仮想通貨のセキュリティ問題、IoTの普及、公共サービスのDX化など、社会課題を解決する手段として今後も様々な業界から注目され、利用用途はさらに広がっていくものと見込まれております。

上記のような高い到達率と開封率というSMSの有用性を再認識する企業の増加に伴い、SMS配信市場は急速な広がりをみせており、2025年の国内直収市場規模は配信数86億2,000万通と予想され(「ミックITレポート 2021年9月号」(デロイトトーマツミック経済研究所))、2021年度から2025年度までの年平均成長率は41.5%増で、引き続き安定高成長を続けると予想されております。

そのようなSMS配信サービス市場の拡大が予測される中、当社グループは、SMSマーケットのパイオニアとして永年の経験に裏打ちされたSMSに関するノウハウと、高い技術力を持つ自社エンジニアの開発したSMS配信プラットフォーム「SMSコネクト」を主力サービスとして、国内企業向けの直接販売及び販社・代理店販売とグローバルIT企業等海外企業向けの海外SMSアグリゲーター経由での配信に大別し、安定したSMS配信サービスを提供することで、事業を拡大してまいりました。

今後のさらなる収益拡大のため、国内企業向け販売につきましては、直接もしくは販社・代理店と連携し、各企業が抱える課題をSMS配信により解決することで、新たな用途開発を推進し、シェア拡大を目指してまいります。現在は個人認証、コールセンター、人材サービス、債権回収、ユーザーサポート、マーケティング等の分野でSMS配信サービスの利用が進んでおりますが、今後は、金融機関、流通・物流業界、行政機関、IoT、仮想通貨、C2C(注)取引等の市場拡大が期待される分野での用途開発を行い、市場拡大とシェア獲得を推進してまいります。また、2021年10月には、国際網を主としたSMS配信サービスを展開する株式会社Xoxzoを子会社化し、一定の規模を有する国際網SMS配信市場において、さらなる顧客拡大や新たな顧客層へのリーチを実現し、SMS配信市場全体における当社グループのシェアを高めてまいります。

海外SMSアグリゲーター向け販売につきましては、当社グループの提供するSMPP国際ゲートウェイサービスをできるだけ多くの海外SMSアグリゲーターと接続することで、グローバルIT企業等の日本国内へのSMS配信を集積することで、市場拡大とシェア獲得を推進してまいります。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大が引き続き人々の生活や経済活動に多大な影響を与えておりますが、当社グループの顧客基盤は、IT関連サービス、コールセンター、通信販売、人材関連サービス、小売、飲食店、娯楽施設など多岐にわたっており、業績悪化で配信数が減少している業界がある一方で、業績好調により配信数が伸びている業界もあり、結果として、当社グループ全体としては堅調に成長することができており、新型コロナウイルスが当社グループの経営環境に与える影響は限定的であると考えております。

(注)「Consumer to Consumer」の略で、一般消費者と一般消費者の間の取引を指します。インターネットの上ではネットオークションやネットショップなどの商取引が該当します。インターネット外においてはフリーマーケットなどが同様の商取引となります。

 

b.メール配信サービス

2021年9月に「学校安心メール」や「自治体安心メール」を展開する株式会社テクノミックスを子会社化し、グループとして新たにメール配信サービスを有することで、当社グループの既存顧客に対し、より多角的なコミュニケーション・チャネルを提供することが可能となりました。

「学校安心メール」は学校・PTA・保護者間の連絡をスムーズに行うための手段として、「自治体安心メール」は住民と自治体間の防犯・防災危機管理緊急連絡システムとして利用されており、県警察本部、自治体、教育委員会、小学校・中学校・高等学校、幼稚園・保育園など全国4,400を超える公的な団体や施設で採用されており、引き続き、取引施設数も順調に推移しております。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、以下の事項について今後の事業展開における重要な課題として認識し、取り組んでおります。

① SMS配信の用途開発及び新サービスの推進

SMS配信サービスは、さまざまな業種での多様な用途が想定され、グローバル市場では国内市場と比べてより多くの用途でのSMS配信が普及しております。最近では国内においても、SNSやスマートフォンアプリの利用時などの本人認証通知、公共料金・税金など督促の通知、飲食業界のノー・ショウ(飲食店における無断キャンセル)対策としての予約確認など企業と個人の間でのコミュニケーション手段として、サービスの認知度も向上しており、当社グループでは、各業界での利用用途を開拓し、事例を積み重ねることで、国内企業のさらなるSMS配信需要を喚起することを課題と考えております。

また、サービスのさらなる推進が重要であると認識しており、2021年9月に「学校安心メール」や「自治体安心メール」を展開する株式会社テクノミックスを子会社化し、グループとして新たにメール配信サービスを有することで、当社グループの既存顧客に対し、より多角的なコミュニケーション・チャネルを提供することが可能となりました。さらに、2021年10月には、国際網を主としたSMS配信サービスを展開する株式会社Xoxzoを子会社化し、一定の規模を有する国際網SMS配信市場において、さらなる顧客拡大や新たな顧客層へのリーチを実現し、これに伴い、既存顧客に対してもサービスの選択肢を提供することが可能となりました。

 

② 販社・代理店、海外SMSアグリゲーターとの連携強化

SMS配信サービスの活用により、顧客満足度を向上させることができる商圏を有する販社・代理店や、グローバルIT企業を中心とした有力な海外SMSのトランザクションを確保している海外SMSアグリゲーターとの連携を強化することにより、SMS配信サービスの営業体制を強化し、市場拡大とシェア獲得を図ることが重要な成長戦略であると認識しております。

 

③ 新事業領域への進出

今後の事業のさらなる成長・発展のためには、SMS配信サービス以外の電話番号にとらわれない(電話番号を使わない)事業分野への進出が重要であると認識しております。「安心・安全・信頼」をテーマに、多要素認証や新たな認証基盤技術に基づく認証やセキュリティにつながる基盤づくりや、多様なデータソースと連動させながら、デジタルと行動データを駆使し、最適なタイミングで最適なコミュニケーションがとれる基盤づくりなど、セキュリティ、コグニティブRPAや機械学習、AIに強い企業との積極的なテクノロジー・パートナーシップを築くことで、「セキュリティ×コミュニケーション」の軸で、新たな基盤づくりを目指してまいります。

 

④ 海外市場への展開

当社グループでは、日本市場で蓄積したノウハウを活用して海外市場での展開を図り、また、逆に日本より発展したマーケットからノウハウを吸収することで、当社グループの事業の一層の発展に貢献するものと考えております。

主に東南アジアを対象とした海外進出の機会を検討しており、ベトナムのSMS配信サービス会社VietGuys J.S.C.を子会社化する予定となっており、今後も引き続き、投資機会を検討してまいります。

 

⑤ 人員体制の強化

セールス部門については、新規顧客獲得や新サービスの開発・推進などセールスマーケティング体制の強化や、既存顧客や新規顧客予備軍に対するサポート体制の構築・強化、システム部門では、新サービスの開発や新事業領域への進出のための技術開発力の強化、事業開発部門では、事業拡大のためのM&Aや事業提携、新事業領域へ進出するための研究開発、経営管理部門では、企業規模の拡大の基礎となる経営管理体制とコーポレート・ガバナンスの強化など、各部門での課題を解決・対応するための人材の確保や育成が必要だと認識しております。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

成長性と収益性及び企業価値の向上が経営上の重点課題と認識しており、成長性につきましては売上高対前年比率、収益性につきましては売上高経常利益率等の経営指標を重視しております。

 

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