(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当事業年度の我が国経済におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の発出と解除、ウイルス変異株による感染者の増加などの影響により経済活動の制限と緩和が繰り返され、また、世界的な半導体不足による生産調整が発生し、景気動向についてもいまだ予断を許さない状況が続いております。
当社を取り巻く業界におきましては、在宅勤務やオンライン授業など、新しいビジネススタイル、ライフスタイルの変化に対する需要の増加に伴い、引き続きインターネット環境が注目されており、需要は高まっております。また、賃貸マンションの空室問題は賃貸業界として大きな課題となっており、マンション設備の付加価値向上による差別化の需要はより大きくなってきております。
このような情勢の下、インターネットの各利用者が申込みを行い料金の支払いをする利用方法から、マンション全戸一括で申込みを行うインターネット設備への利用方法に移行が進んでおります。「全戸一括型マンションISPシェア調査」(出所:MM総研)によりますと、2021年3月末時点の提供戸数は365.6万戸となっており、毎年増加し5年でほぼ倍増しており、今後も引き続き増加傾向が続くものと考えられます。
加えて空室対策として、IoTマンションとしての付加価値増加に取り組む需要が旺盛であり、IoT設備については今後様々なデバイスが現れ、将来的には各デバイスがマンションの標準設備になっていくと想定しております。
当社においても、マンション付加価値であるインターネット設備の重要性の認知度が上がり、空室対策の一環としてインターネット設備を検討されるお客様からのお問い合わせが増加いたしました。その結果、当社商品であるマンション向け高速インターネット「B-CUBIC」の受注件数は順調に推移いたしました。なお、今後も引き続き提供戸数は順調に増加するものと考えております。
また、マンションの付加価値をあげるIoT設備へのお問い合わせも増加しており、IoTインターフォンシステム「BRO-LOCK」への受注件数も増えてきております。
これら多くの受注に対して支障なく工事を完了し、また、半導体不足による機器調達への影響も幸い回避し、売上は順調に推移しております。
具体的には、お客様の増加に加え、不動産会社とのOEM契約や包括契約の締結社数が増加いたしました。併せてIoTインターフォンシステム「BRO-LOCK」とマンション向け高速インターネット「B-CUBIC」の需要の相乗効果も出てきております。
一方で、新型コロナウイルス感染症への対策として、お客様及び当社従業員の安全も最優先に考え、お客様とのWEBを使った商談のご提案及び当社従業員のテレワーク実施等の対策を行い、お客様のニーズに応えるべくIoTインターフォンシステム「BRO-LOCK」の販売体制強化、回線品質の維持・向上にも取り組んでまいりました。
その結果、当事業年度における売上高は2,500,543千円(前事業年度比57.4%増)、営業利益は572,179千円(前事業年度比128.8%増)、経常利益は536,320千円(前事業年度比173.5%増)、当期純利益は346,700千円(前事業年度比155.8%増)となりました。
なお、当社はインターネットサービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしておりません。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は4,455,628千円となり、前事業年度末に比べ2,406,116千円(117.4%)増加いたしました。流動資産は、前事業年度末に比べ2,112,544千円(127.3%)増加し、3,772,436千円となりました。これは主に現金及び預金が961,304千円(133.5%)増加したこと、売上増加に伴い売掛金が1,134,014千円(125.8%)増加したことなどによるものです。固定資産は、前事業年度末に比べ293,572千円(75.3%)増加し、683,192千円となりました。これは、主に工具、器具及び備品が263,311千円(90.1%)増加したことなどによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は2,332,947千円となり、前事業年度末に比べ737,514千円(46.2%)増加いたしました。流動負債は、前事業年度末に比べ755,325千円(131.8%)増加し、1,328,290千円となりました。これは主に短期借入金が300,000千円(前事業年度は借入なし)及び1年内返済予定の長期借入金が74,660千円(23.0%)それぞれ増加したことなどによるものであります。固定負債は、前事業年度末に比べ17,810千円(1.7%)減少し、1,004,657千円となりました。これは主にアフターコスト引当金が13,465千円(45.1%)増加したものの、長期借入金が31,004千円(3.1%)減少したことなどによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は2,122,681千円となり、前事業年度末に比べ1,668,602千円(367.5%)増加いたしました。これは新規上場に伴う公募増資により資本金が660,951千円及び資本準備金が660,951千円それぞれ増加したことと当期純利益を計上したことにより利益剰余金が増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前事業年度末と比べ1,044,725千円増加し、1,639,940千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金は、427,727千円の支出(前事業年度は129,056千円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純利益533,074千円による収入(前事業年度は177,957千円の収入)、仕入債務の増加による収入74,898千円(前事業年度は37,786千円の支出)などの収入がありましたものの、売上債権の増加による支出1,134,014千円(前事業年度は282,575千円の支出)などがあったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金は、186,076千円の支出(前事業年度は260,300千円の支出)となりました。これは主に、定期預金の払戻しによる収入118,574千円(前事業年度は収入なし)などがありましたものの、有形固定資産(B-CUBICサービス導入に伴うインターネット環境構築工事のために使用する機器等)の取得による支出257,711千円(前事業年度は185,743千円の支出)などがあったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金は、1,658,529千円の収入(前事業年度は545,065千円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出466,344千円(前事業年度は274,099千円の支出)などがありましたものの、株式の発行による収入1,321,902千円(前事業年度は収入なし)、長期借入れによる収入510,000千円(前事業年度は820,000千円の収入)、短期借入金の純増加額300,000千円(前事業年度は収入なし)などがあったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は、インターネットサービス事業を行っており、提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社は、インターネットサービス事業を行っており、提供するサービスの性質上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
インターネットサービス事業 |
2,500,543 |
57.4 |
合計 |
2,500,543 |
57.4 |
1.当社のセグメントは、インターネットサービス事業の単一セグメントであります。
2.当事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載の通りであります。
また、新型コロナウイルス感染症による影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
② 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績等につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況、②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当事業年度のキャッシュ・フロー分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社における資金需要は、主として運転資金とインターネットサービス事業における設備投資であります。運転資金需要のうち主なものは売上原価であるインターネットサービス事業の外注費及び回線原価や販売費及び一般管理費である広告宣伝費や人件費であります。これらに加えインターネットサービス事業における設備投資につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入金による調達資金により充当することとしております。
自己資金及び上記の資金調達を併用することにより、当社の事業を継続していくうえで十分な手元流動性を確保するとともに、必要とされる運転資金及び設備投資資金を調達することは可能であると判断しております。
また、資金の流動性については、当事業年度末現在、現金及び預金が1,681,343千円あり、事業運営上、必要な資金は確保されていますが、より一層、十分な流動性を維持していく考えであります。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社は、経営上の目標の達成状況をマンション向け高速インターネット「B-CUBIC」及びIoTインターフォンシステム「BRO-LOCK」のサービス提供戸数を重視して判断しております。
当事業年度末におけるそれぞれのサービス提供戸数は「B-CUBIC」で135,725戸、「BRO-LOCK」で1,137戸、前事業年度末では「B-CUBIC」で98,233戸、「BRO-LOCK」で179戸となっており、「B-CUBIC」で38.2%、「BRO-LOCK」で535.2%とそれぞれ増加しております。
従いまして、それぞれ新規の案件獲得によって順調に推移しているものと認識しております。
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