業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年10月1日から2022年9月30日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワクチン接種の促進や、政府による段階的な経済活動の再開などにより、景気に持ち直しの兆しが見えたものの、資源価格の上昇やロシアによるウクライナへの侵攻などの社会情勢不安に加え、急激な円安やインフレ懸念の高まりなどから、国内外における経済の見通しは一層不安定かつ不透明な状況が続いております。

 当社グループの属する情報サービス産業におきましては、クラウドサービスの活用や、AI(人工知能)・ロボット技術を活用したリモート作業、EC(電子商取引)ビジネス、リモートワーク環境の整備などの需要が増加傾向となりました。また、社会全体の変革を目的としたDX(デジタルトランスフォーメーション)が進展し、今後も企業競争力の強化・業務効率化のためのIT投資は中長期的に増加していくものと見込んでおります。そのような中で、当社グループにおいてもシステム開発及びインフラ構築に係る需要は、旺盛な状況を維持しております。

 一方で、未だ収束が見えない新型コロナウイルス感染症の影響や、急激な円安、資源価格上昇の影響から、顧客企業の業種によってはIT投資を抑制する可能性があり、依然として予断を許さない状況が続くと見込まれますが、当社グループにおいては様々な業界のお客様にサービスを提供しており、特定の業種業態に依存した構造ではないため、業績への影響は限定的なものと見込んでおります。

 このような環境の中、当社グループにおきましては、「コンピュータ関連業務を通じて無限の夢を創造する、無限の夢を実現する組織」を基本理念とした中期経営計画(2021年9月期~2023年9月期)の達成に向けて、「人材の確保及び育成」、「キーワード(巣ごもり需要、脱ハンコ、リモートワーク等)に応じたIT技術の提供」、「内部管理体制の強化」等を経営方針とした、ポストコロナを見据えた市場ニーズを享受できる体制づくりを積極的に行ってまいりました。2021年10月には、新たな組織として、顧客企業のDX推進のためのシステム開発からインフラ構築、保守運用までをワンストップでスピーディーに対応することを目的とした「DXソリューション事業部」を設立し、DX関連サービスの提供体制を更に強化いたしました。また、各企業においては、DX推進のためのIT人材の確保や育成が重要となってきており、当社グループが提供するIT教育サービスの需要は、今後ますます増加していくものと見込んでおります。

 この結果、当連結会計年度における売上高は5,498百万円(前期は4,656百万円)、営業利益286百万円(同204百万円)、経常利益285百万円(同207百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は194百万円(同149百万円)となりました。

 

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の金額となっており、対前期増減率は記載しておりません。

 

 セグメント別の業績は、次のとおりです。

 なお、当社グループは2022年7月1日付のウイーズ・システムズ株式会社の連結子会社化に伴い、当連結会計年度より、報告セグメントのうち「教育サービス事業」について、名称を「教育サービス・セキュリティソリューション事業」に変更しております。

 また、各セグメントの業績数値には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。

 

(システムインテグレーション事業)

 業務用システムの設計、開発及び構築、運用保守の各工程を、当社グループにて提供できる体制(ワンストップ体制)を構築しており、顧客の要望に応じて、全工程の業務サービス、または、工程別の業務サービス提供を行っております。IT通信業・金融業・流通業・医療・官公庁等の幅広い業種に対応しており、業務用アプリケーションの設計開発業務、インフラシステムの設計構築業務、業務用アプリケーション・インフラシステムの運用保守業務等を行っております。

 

 当連結会計年度においては、ウィズコロナ/アフターコロナ時代における生活様式の変化や企業のDX化により、クラウド管理ソリューションやワークフロー(決裁システム)、ECサイト構築案件に加え、標的型メール訓練サービスや情報漏洩対策システムなどのセキュリティ案件の引き合いが増加傾向となりました。昨年から続いている世界的な半導体不足については明確に改善したとは言えず、引き続き、一部のIT機器については納期遅延が発生している状況ですが、対策を講じながらサービス提供を遂行してまいりました。

 また、一方で、前連結会計年度から引き続き、当社ホームページへの問い合わせ件数は増加傾向にあり、元請け案件の獲得にも繋がっております。特に、楽々Framework開発やAD(Active Directory)移行、COMPANY(統合人事システム)、CRMシステム(Customer Relationship Management 顧客管理システム)などの問い合わせが増加傾向となりました。

 これらの結果、システムインテグレーション事業の売上高は5,102百万円(前期は4,408百万円)、セグメント利益につきましては995百万円(同857百万円)となりました。

 

(教育サービス・セキュリティソリューション事業)

 当該事業は、自社で開発した商材を基に、IT研修の企画及びコンサルティング、研修プログラムの開発、研修業務を行う教育サービス分野と、セキュリティ製品の開発、販売、導入、保守を行うセキュリティソリューション分野をサービスの領域として提供しております。

 

 教育サービス分野については、IT研修の企画及びコンサルティング、研修プログラムの開発、研修実施の各工程を当社グループにて提供できる体制を構築しており、顧客の要望に応じて、全工程の業務サービス、または、工程別の業務サービス提供を行っております。

 当連結会計年度においては、「リモート研修サービス」の内容を更にブラッシュアップするとともに、講師の採用及び育成強化を図りました。未だ収束の見えない新型コロナウイルス感染症の影響や働き方改革の推進からテレワークが定着化してきており、受講場所にとらわれないリモート研修の需要は今後も増加していくものと見込んでおりますが、一方で新型コロナウイルス感染症が発生した当初と比較すると、人々の意識が経済活動へ向いてきている中で、昨今では、対面形式の研修を要望するお客様も多くなりました。当社グループでは、リモート研修と対面研修のどちらも開催することが可能であり、感染対策を充分に講じたうえで、顧客の要望に応じて柔軟に対応しております。

 また、2022年8月から新たに提供を開始した「メタバース体験研修」が好評をいただいております。今後はメタバース空間を構築する研修の実施も検討しております。メタバース市場はさらに拡大を続け、新しい付加価値を生み出すイノベーションが期待されます。

 

 セキュリティソリューション分野については、主に、金融機関やクレジットカード会社、保険会社など、監査やセキュリティ基準の厳しい業界を対象に、サーバやデータベースの操作したログを取得するセキュリティ製品の開発、販売、導入、保守を行っております。

 2022年7月に子会社化したウイーズ・システムズ株式会社が当該分野を担っており、2022年7月から、同社の売上及び利益が、教育サービス・セキュリティソリューション事業セグメントに反映されております。

 自社製品として、重要システムからの情報漏洩リスクを防ぐIT運用統制ソフトウェアツール群「WEEDS TRACE」を販売しており、さまざまな情報システムのログを収集する主要製品をベースに、顧客の目的に応じて、必要な機能やライセンスの提供を行っております。

 当連結会計年度につきましては、公共法人向け及び地方銀行向けのライセンス販売や、アクセスブロック・本人特定機能・操作ログ取得・操作ログ分析を兼ね備えた特権ID管理ソリューションの導入が好調となりました。

 これらの結果、教育サービス・セキュリティソリューション事業の売上高は422百万円(前期は278百万円)、セグメント利益につきましては、212百万円(同113百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ12百万円増加し、当連結会計年度末には900百万円となりました。

 なお、当連結会計年度末の資金には、2022年7月1日付で企業結合したウイーズ・システムズ株式会社の資金115百万円が含まれております。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は190百万円(前連結会計年度は191百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益285百万円、売上債権及び契約資産の増加122百万円、法人税等の支払額103百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は69百万円(前連結会計年度は19百万円の支出)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う関係会社株式の取得による支出64百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は107百万円(前連結会計年度は45百万円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入200百万円、自己株式の取得による支出134百万円、配当金の支払額38百万円及び連結の範囲の変更を伴わない関係会社株式の取得による支出110百万円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売実績

イ.生産実績

 当社グループの生産は、完成後ただちに顧客へ引渡しており、生産実績は販売実績とほぼ一致しているため、記載を省略しております。

 

ロ.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

システムインテグレーション事業

5,206,493

119.57

952,978

112.22

教育サービス・セキュリティソリューション事業

532,242

212.14

145,819

1,590.25

合計

5,738,735

124.61

1,098,797

128.01

 (注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

ハ.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

システムインテグレーション事業

5,102,648

教育サービス・セキュリティソリューション事業

395,592

合計

5,498,240

 (注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産及び負債、報告期間における収益及び費用に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。見積り及び判断・評価につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績等

(イ)財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べて394百万円増加し、2,458百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末と比べて141百万円増加し、1,701百万円となりました。これは主に、売掛金及び契約資産が127百万円増加したこと等によるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末と比べて253百万円増加し、757百万円となりました。これは主にのれんが227百万円、繰延税金資産が29百万円増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べて401百万円増加し、1,402百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末と比べて292百万円増加し、1,065百万円となりました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が66百万円、賞与引当金が45百万円及び「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用により契約負債が183百万円増加した一方、流動負債のその他が59百万円減少したこと等によるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末と比べて109百万円増加し、336百万円となりました。これは主に長期借入金が125百万円増加した一方、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用により固定負債のその他が25百万円減少したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べて6百万円減少し、1,055百万円となりました。これは主に利益剰余金が156百万円、自己株式が134百万円増加した一方、非支配株主持分が37百万円減少したこと等によるものであります。

 

(ロ)経営成績

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ842百万円増加し、5,498百万円となりました。

 これは、DXの進展を背景に、顧客企業の企業競争力の強化・業務効率化のためのIT投資が旺盛になり、リモート環境の整備に関する案件を中心とした新規顧客の獲得、及び、既存顧客の取引拡大に加え、M&A実施に伴う売上高の増加が主な理由となります。

 

(営業利益)

 売上原価は、システムエンジニア増員等により人件費が増加したことに加えて、協力会社への発注増加に伴い外注費の増加したこと等により4,317百万円となりました。販売費及び一般管理費は、社内管理業務強化のための増員等による人件費が増加したことに加えて、M&Aによる仲介手数料・のれん償却費、及び、コロナ禍で抑制していた出張等の再開による出張費・会議費の増加等があり、894百万円となりました。この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ81百万円増加し、286百万円となりました。

 

(経常利益)

 経常利益は、営業利益の増加により、前連結会計年度に比べ78百万円増加し、285百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 法人税等が前連結会計年度に比べ32百万円増加した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ45百万円増加し、194百万円となりました。

 

(ハ)キャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループのキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

ロ.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要の主なものは、製造原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を資金調達の基本としております。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は900百万円となっております。

 

ハ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、新卒及び中途社員の採用人数、経常利益率等を重要な経営指標としております。

 当連結会計年度の採用人数は、前年同期比より48人増加し、113人となりました。また、システムエンジニアの効率的な稼働により売上総利益が増加し、経常利益率は、前連結会計年度から0.7ポイント増加の5.2%となりました。

 

ニ.経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの将来の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

ホ.経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

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