課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針

当社グループは、ITセグメント及び暮らしTechセグメントが各々エンドユーザーである入居者や消費者と密につながるとともにセグメント間で連携することで更に大きな付加価値を生み出すことを目指しています。

暮らしTechセグメントのリノベーションブランド「TOMOS」、メディアブランド「goodroom」を育てるとともに、ブランドを活かした新たなサービスを提供していきます。サービス提供のためのプラットフォーム(仕組みやIT基盤)はITセグメントが担当・推進します。また当プラットフォームのノウハウ自体をITセグメントのビジネスに活かすことでシナジー効果をあげることも想定しています。

 

(2) 経営戦略等

当社の中期経営戦略として、暮らしTechセグメントの事業環境の大きな変化の中で、当社グループ全体として、関連するビジネスをプラットフォームを含め開発するとともにタイムリーな市場投入を目指していきます。

 

ITセグメントでは、ユーザー主導でのDX推進をコンセプトに掲げ、プラグインと呼ばれる標準ソフトウェアを用意した「Redx」の販売を開始し、導入コスト及び維持コストのローコスト化を実現し、合わせて機能追加などの開発スピードアップを目指します。また、標準インターフェースを使うことによって、必要な業務システムを追加(モダナイズ)することで、既存の基幹システムの改修を最小限にとどめ、周辺のクラウドサービス等との連携を実現し、更に新しいDXの取り組みをしやすくします。今後も継続して、Redxを中心とした流通小売のDX推進サービスの提供を目指します。

 

暮らしTechセグメントでは「新しい暮らし方」と「新しい働き方」の実現を目指しています。その為にメディアブランド「goodroom」を成長させることがビジネスの基盤であり、リノベーションブランド「TOMOS」による住居及びオフィスにおけるリノベーションを拡大させること、さらに「goodroom」と「TOMOS」のブランド連携に基づく新しいビジネス創造がビジネス戦略です。

新しいサービスとして従来より推進してきたオペレーションビジネス(サブリース化した上での運営)に新しくホテルを住居とすることを目指す「hotelpass」を追加し、「新しい暮らし方」の実現に向けて事業を推進してまいります。

 

(3) 経営環境

  長期化する新型コロナ問題は、ワクチン接種の進捗や治療薬の普及により徐々に収束に向かうことが期待され

 ますが、その収束については、見通しが不透明な状況です。また、ロシア・ウクライナ情勢など地政学リスクの高

 まりは、グローバルなサプライチェーンでの製造や輸送遅延の問題、エネルギー価格及び原材料価格の上昇など、

 経済活動に大きな影響を及ぼしており、将来の見通しが不透明な状況が続いております。

 

ITセグメントにおける市場の状況としては、システム全般の導入におけるベンダーへの依存性の高さという構造の問題と、老朽化したシステムの運用保守を行う人材の枯渇及び導入企業内部でITシステムをリードできる人材の不足という人材の問題が指摘されています。また、企業の基幹システムは、2025年において21年以上経過している割合が60%、IT人材不足が約43万人といったことからも、その問題の大きさ(2025年問題)が示されます(注)1。

 

暮らしTechセグメントが注力する不動産市場においては、新型コロナ問題により喚起されたリモートワークが継続・定着しており、「新しい暮らし方」や「新しい働き方」の動きが起こっています。東京都区部における人口の増加幅は引き続き減少傾向にあり、特に23区の単身者向けの物件は低調な傾向が続いております。またリモートワークの定着に伴う縮小移転のトレンドの影響が継続しており、2022年3月現在オフィスの空室率は6.37%と高止まりで推移しております(注)2。

(注)1.出典:2018年9月経済産業省 DXレポート

   2.出典:三鬼商事「オフィスマーケットデータ」2022年3月時点

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 事業上の課題

a ITセグメント

・既存ビジネスの拡充のために

継続ビジネスを拡大することが重要です。請負ビジネスにおいては、顧客と業務提携につながるビジネス推進が課題です。その上でソフトウェアだけでなく標準的なハードウェア、クラウドサービスなどシステム全般にわたるソリューションを提供することも重要です。継続ビジネスにつなげるために「アプリケーション保守・運用」ビジネスにも注力しております。ビジネスをモデル化することで新しい顧客拡大を目指します。

 SEサービスビジネスでは、顧客と開発・維持の範囲及び達成条件を事前に決め、長期契約を結んだ上で提供するサービスの顧客数を拡大することが課題です。

 

・ビジネスの在り方を変化させるために

継続ビジネスを拡大するために、従来ビジネスに加えて、realとnetの融合の推進と顧客における維持コストの大幅削減をめざす「Redx」を顧客に向けて提供すること、合わせてDXソリューションの提供を行うことが課題です。この延長でRedxクラウドPOS、クラウド店舗DXを更に標準化し、サブスクリプションビジネスの確立、拡大を目指します。また2020年4月に事業譲渡を受けた「AR/VRクラウドサービス」について、従来のビジネスとシナジー効果を上げ、「新しいビジネスモデル」を創出することも課題です。

 

b 暮らしTechセグメント

・ビジネス確保及びビジネスの在り方を変化させるために

自社のリノベーションブランド「TOMOS」を拡大するために必要なことの1つに、自前の、特に法人向けの営業力強化があり、業務提携につながるビジネス推進が課題です。一方、オーナーを開拓しリピート需要を喚起する必要があります。また各資本業務提携先との業務提携(2017年より開始)に基づき、継続的にリノベーション案件を増加させることも想定しております。さらに、事業の領域を住宅からオフィスに広げることで、取扱件数や取扱高を増やすことも実行中です。

中長期の視点から最も重視すべきことは「新型コロナ問題」により「新しい暮らし方」「新しい働き方」へと取り巻く環境が大きく変化するなか、real からnet への大きなニーズの変化に応えることができるプラットフォーマーを目指すことです。特にサービスアパートメントから現状のTOMOS賃貸住宅まで、物件紹介~申込~契約~決済まで全てをオンラインで完結させるOne Cycleオペレーションを実現し、さらにホテルやTOMOSマンスリーなどを住居とするサブスクリプション型の「hotelpass」サービスも提供可能とするliving passプラットフォームを投入することによって、当エリアにおけるプラットフォーマーを目指します。なお、当該プラットフォームはITセグメントが研究及び開発活動を行っています。

 

・リノベーションのコスト削減とスピードアップのために

「TOMOS」の材料費等値上げ問題もあり、抜本的コスト削減(仕様、材料、施工、プロセス改善)が第一の課題です。デザイン性、質感を維持した上でコスト削減を目指します。合わせてプランナーのマネジメント力の向上についても今後の課題です。課題改善については、取り組みの成果が出てきており、最近の現場技術者の人手不足対策のためには自社で大工を育成し、多能工を生み出すことも総合的コスト削減につながります。また外注業者の組織化、工事の工程管理や規格の標準化も上記に合わせてコスト削減と品質の向上の両面から推進中です。

 

② 「新型コロナ問題」の収束に時間がかかった場合の対応について

依然として「新型コロナ問題」の収束時期が見通せない極めて不透明かつ不確定な状況が続くものと思われます。再度の感染拡大等、収束時期に影響する大きな変動があった場合、状況に応じ連結業績予想等を見直しするものとします。またその場合は速やかに開示いたします。

 

③ 人材の確保及び育成
・人材の確保について

グループとしての持続的な成長のために、優秀な新入社員の採用に力を入れています。また「新型コロナ問題」の先を見据えたキャリア採用につきましても引続き強化していきます。このためグループ人事総務部をグループ人事採用部に呼称変更し、ここに揚げる人材強化を図っております。採用方法を工夫し、高度なスキルを持つ人材を含めたキャリア採用を増やしていくことが今後の課題です。

・人材の育成について

教育は最重要経営課題の一つと捉え力を入れております。基本はHR領域における、新たにロールモデルを確立することを通じた人材育成の推進です。具体的には、新入社員教育、中堅社員教育(リーダーエントリー研修)、技術者教育(ITセグメント)、資格取得支援プログラム等を実施して参ります。また評価基準(責任等級格付け)の中でミッションを定義し、1on1ミーティングを活用したOJTも実施します。

 

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