課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下のとおりです。また、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本書提出日現在において判断したものです。

 

(1) 経営方針

当社は、「Empower the Patients」を事業ミッションとして掲げております。この事業ミッションに基づき、患者、医師をはじめとする医療従事者、医療業界を取り巻くプレーヤー(製薬企業、医療機器メーカー、自治体等)の方々とともに共同でサービスの開発・運営を行っており、今後も同分野における新規事業の開発等に積極的に取り組んでいく方針であります。

 

(2) 経営戦略等

当社は、PHRプラットフォームサービス事業に引き続き経営資源を集中してまいります。

創業以来取り組んでいるPHRプラットフォームサービスは、各疾患領域でのサービスメニューを拡充しており、臨床現場におけるユーザー(患者)の行動変容による様々な効果が報告されつつあります。患者の行動変容が起こりやすい傾向がある疾患領域は多く存在しており、当社が未だアプローチできていない領域については、より効果的な提案活動を推進するための施策を講じております。

また、当社はPHRプラットフォームを他社のサービス等と連携させることで、双方のサービスの相乗効果を高め、医療者や患者により利便性の高いサービスを提供していく方針であります。各医療関連事業者との共同プラットフォーム開発など、各方面におけるサービス基盤の構築を引き続き進めてまいります。

これらの取り組みにより、「医療×デジタル」の価値を高め、持続的な成長と安定的な収益を実現してまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、高い成長性及び生産性をもって収益に結びつけ、継続的に成長していくことを経営上の目標としております。収益性及び成長性などの各経営指標のバランスを重視し、外部環境やトレンドに左右されることのない財務基盤を構築することで、企業価値の向上を図ってまいります。具体的には、売上高、営業利益、経常利益を重要な指標と考えております。

 

(4) 経営環境

経営環境につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績」に記載しております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題

当社は、「Empower the Patients」を事業ミッションに掲げ、PHRプラットフォームサービスを提供しております。経営安定化及び業容拡大を図っていくうえで、以下の課題に積極的に取り組む方針であります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① サービス強化

患者及び医療者が治療プロセスの中で、より良いサービスを使用して頂くために、当社は、患者及び医療者のニーズに基づく、機能改修、UX※/UI※の改修、疾患領域のカバレッジの拡大、データ連携計測機器の追加、及び検査値・薬剤処方データ等各種医療データとの連携について、強化し続けていきたいと考えております。

※「UX」とは、ユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略で、「 ユーザーが製品・サービスを通じて得られる体験」を指します。

※「UI」とは、ユーザーインターフェイス(User Interface)の略で、「ユーザーの目に触れる部分又は使用する部分」を指します。

 

 

② サービスの普及

当社の提供する各サービスの利用拡大と継続的な企業価値の向上を実現していくためには、ユーザー(医療者及び患者)にとって魅力あるサービスを継続的に提供することに加え、各サービスの知名度や当社のコーポレートブランド価値、顧客ベースを持つ企業との連携などによるサービス普及が不可欠であると考えております。そのために各主要学会でのクリニカル・エビデンスの発表、広報、広告宣伝、各種企業との営業連携、サービス連携の推進などを通じてサービス普及活動に積極的に取り組んでまいります。

 

③ データの適正な取り扱い

 当社が提供する患者向けPHRプラットフォームサービスにおいては、患者の様々なPROデータが蓄積されておりますが、要配慮情報を含む医療情報であるため、事業推進に当たっては適正な利用を図る必要があります。

 疾患ソリューションサービスにおいては、患者のPROデータは、患者と医療従事者間の臨床上の情報共有のため当該患者の個別同意を前提に医療従事者へ提供しております。製薬企業向けには、共同開発した対象サービスの利用患者数等の統計情報をマーケティング目的で提供しており、同意を得ない各患者個別データ(個人情報含む)については提供しておりません。

 Welbyマイカルテサービスにおいては、患者と医療従事者間の臨床上の情報共有のために当該患者の個別同意を前提に医療従事者へ提供しているほか、自治体・一般企業向けには生活習慣病重症化予防の効果検証としての利用患者数、記録データ(血圧、体重の平均値等)の統計情報の提供をしています。学術利用目的のために学会、大学病院、医療機関、研究機関等向けに情報を提供する際には、患者の個別同意を取得したうえで実施しています。

 学術利用目的に限定した臨床研究専用のPHRプラットフォームサービスにおいては、患者の個別同意を取得したうえで、患者PROデータを学会、大学病院、医療機関、研究機関等向けに情報を提供しております。

 上記のように要配慮情報含む個人情報の適正利用を担保することにより患者及び医療従事者からの信頼を維持すると同時に、情報セキュリティの観点から安心してプラットフォームを活用いただけるよう、個人情報保護法、「3省2ガイドライン※」、「民間PHR事業者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針※」、アメリカの「HIPAA法※」(Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996)等により求められるデータセキュリティ課題にも引き続き対応してまいります。

※ 「3省2ガイドライン」とは、医療機関や医療情報を取り扱う情報処理事業者等が準拠すべき総務省、厚生労働省、経済産業省各省が策定したガイドラインの総称を指します。

※ 「民間PHR事業者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針」とは、民間PHR(Personal Health Record)サービスが適切に利活用されることを目的に、経済産業省、厚生労働省、総務省各省が民間PHR事業者のために策定したルールを指します。

※ 「HIPAA法」とは、アメリカにおける医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律。医療情報の電子化の推進とそれに関係するプライバシー保護やセキュリティ確保について定めた法律を指します。

 

④ 優秀な人材の確保及び育成

当社の業容拡大のためには、優秀な人材の確保及び当社の成長フェーズに応じた組織体制の強化が不可欠であると認識しております。社内外を問わず人材リソースの確保のため、採用チャネルの多様化、エージェント企業との協力関係の構築などを積極的に進める方針であります。人材育成については、各人の担当業務に関するOJTを実施し、且つ各種研修機会の提供を通じて自己の成長を推進するとともに、リーダー層においてはマネジメントスキル向上のための施策を講じてまいります。

 

⑤ コーポレート・ガバナンスの強化

当社が持続的成長を維持していくためには、内部管理体制の強化を通じた業務の標準化と効率化が重要であると考えております。それらの実効性を高めるための環境を整備し、組織的な統制・管理活動を通じてリスク管理の徹底とともに、業務の標準化と効率化を目指しております。また、コーポレートガバナンス・コードの基本原則に従い、株主の皆様をはじめとする全てのステークホルダーからの社会的信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命とし、コンプライアンス体制の強化、迅速かつ正確な情報開示の充実に努め、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでまいります。

 

⑥ 新型コロナウイルスの感染拡大について

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴う医療領域のDX(Digital Transformation)化の流れがPHRの活用に追い風になるなど現在商談進行中のプロジェクトは前期比で拡大しておりますが、意思決定の遅延などにより受注のリードタイムが長期化する傾向があります。新型コロナウイルス感染拡大が社会経済環境及び主要な顧客である製薬会社等の業績や意思決定に与える影響など現時点で不確定要素が極めて大きく、現時点で先行きが不透明な部分もあり、継続して注視してまいります。

 なお、当社では、従業員及び家族の健康と安全の確保を第一に考え、テレワークの推奨、オンラインツールを活用した打合せの推進及び時差出勤の推奨等、感染リスク低減のための措置を実施しております。

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