業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

 

 (1) 経営成績の状況

新型コロナウイルス感染症の影響により様々な活動制限を受け、依然として厳しい環境にありました。ワクチン接種が促進されてきたことに伴い、景気の持ち直しが期待されておりますが、いまだ先行き不透明な状況が続いております。

2021年7月に東京オリンピックが開幕した際には、オリンピックのライブ配信を装い、クレジットカード情報を入力させようとするフィッシング詐欺が発生いたしました。また、今秋には、スマートフォンにショートメッセージサービスが届き、不正にギフトカードなどが購入されるフィッシング詐欺により多額の被害がでました。このように特殊詐欺事案は世相を反映し、手口も巧妙化しております。

これらの特殊詐欺犯罪から、自分だけでなく大切な家族や友人を守りたいというニーズは高まっており、当社は犯罪抑止に効果的な迷惑情報フィルタ事業に注力してまいりました。具体的には、迷惑情報フィルタ機能の向上及びユーザーへの提供価値を高めるため、広告コンテンツをブロックするアプリ「280blocker」を提供していた合同会社280blockerの全持分を取得し、同社を吸収合併いたしました。さらに、アライアンスパートナー網の拡大として、NTT東日本及びNTT西日本の代理店・特約店で「トビラフォンBiz」の取り扱いが開始されました。その他、アライアンスパートナーとの協力関係の深耕を継続して行っております。また、各種施策により、月間利用者数(※)の増加を図り、1,400万を超えるユーザーにご利用いただいております。

合わせて、クラウド型IP電話「トビラフォン Cloud」に関するマーケティング施策の多様化により販売増加を図り、「第15回ASPIC IOT・AI・クラウドアワード2021」において支援業務系ASP・SaaS部門の奨励賞を受賞いたしました。さらに株式会社ageetとの資本業務提携により、「トビラフォン Cloud」のサービス品質を向上させるとともに、継続的な新規サービス創出体制の強化をいたしました。

以上の結果、当事業年度における売上高は1,424,656千円(前期比15.4%増)、営業利益は579,911千円(前期比16.3%増)、経常利益は577,980千円(前期比22.7%増)、当期純利益は386,047千円(前期比19.8%増)となりました。

 

※ 月間利用者数は、当社製品・サービスを利用しているユーザーのうち、電話番号リストの自動更新又はアプリの起動等により、当月に1回以上、当社サーバへアクセスが行われたユーザー数です。なお、1ユーザーが複数の携帯端末等を所有しそれぞれで当社サービスの利用契約を行い、各端末等から当社サーバへのアクセスがなされた場合には、複数ユーザーとして重複カウントしております。

また、月間利用者数は、当社が事業を通じて特殊詐欺被害の撲滅に貢献する上で重要なKPIの一つとしておりますが、主要な取引先である通信キャリアとの契約条件は様々であり、必ずしも月間利用者数の増減が直接的に収益に影響を与えるものではありません。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

(迷惑情報フィルタ事業)

迷惑情報フィルタ事業におきましては、主力サービスであるモバイル向けフィルタサービス、固定電話向けフィルタサービス及び「トビラフォン Cloud」を含むビジネスフォン向けフィルタサービスにおいて、引き続きサービス基盤の強化・拡大に注力してまいりました。

その結果、当事業年度における迷惑情報フィルタ事業の売上高は1,346,431千円(前期比17.9%増)となり、セグメント利益は897,281千円(前期比19.2%増)となりました。

 

 

(その他)

ホームページの制作運営支援システム「HP4U」や受託開発事業等を「その他」に含めております。これらの事業については、積極的には展開しない方針であり、当事業年度におけるその他の売上高は78,225千円(前期比15.7%減)となり、セグメント利益は47,016千円(前期比9.1%減)となりました。

 

なお、全社営業利益は、各セグメント利益の合計から、報告セグメントに配賦していない全社費用を差し引いた数値となっております。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない販売費及び一般管理費であり、管理部門の人員増強や企業規模の拡大に伴う管理コストの増加等により、364,387千円(前期比19.2%増)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における総資産は2,170,016千円となり、前事業年度末に比べ522,052千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が72,626千円減少したこと、売掛金が30,847千円増加したこと、のれんが325,221千円増加したこと、ソフトウエアが72,291千円増加したこと及び投資有価証券が141,371千円増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債合計は681,007千円となり、前事業年度末に比べ380,152千円増加いたしました。これは主に、前受金が13,284千円増加したこと、未払法人税等が18,522千円増加したこと及び長期借入金(1年以内返済予定含む)が332,822千円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は1,489,008千円となり、前事業年度末に比べ141,899千円増加いたしました。これは、配当金の支払いによる利益剰余金112,161千円の減少及び自己株式195,240千円の取得に対し、当期純利益を386,047千円計上したこと及び自己株式を51,637千円処分したこと等によるものであります。

なお、自己資本比率は68.6%(前事業年度末は81.7%)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて72,626千円減少し、1,145,732千円となりました。各キャッシュ・フローの主な状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は491,922千円(前年同期は358,831千円の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払額が162,911千円及び売上債権の増加が20,758千円あったものの、税引前当期純利益を546,998千円、減価償却費を60,157千円及び投資有価証券評価損を25,561千円計上したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は652,300千円(前年同期は123,829千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産93,714千円の取得、関係会社株式376,209千円の取得及び投資有価証券166,933千円の取得等による支出であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は45,801千円(前年同期は15,117千円の使用)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出195,411千円及び配当金111,991千円の支払があったものの、長期借入金による350,000千円の収入があったこと等によるものであります。

 

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

② 受注実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

③ 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

迷惑情報フィルタ事業

1,346,431

117.9

その他

78,225

84.3

合計

1,424,656

115.4

 

 (注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2019年11月1日

  至 2020年10月31日)

当事業年度

(自 2020年11月1日

  至 2021年10月31日)

販売高

(千円)

割合

(%)

販売高

(千円)

割合

(%)

ソフトバンク株式会社

476,480

38.6

461,557

32.4

KDDI株式会社

318,700

25.8

448,972

31.5

株式会社NTTドコモ

167,130

13.5

248,366

17.4

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に見積り、計上しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費、通信費等の費用であります。投資を目的とした資金需要はサーバ等インフラ設備、機器や本社移転に伴う敷金の差入等によるものであります。

運転資金は自己資金を基本としており、投資資金は自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当事業年度末における借入金残高は357,714千円となっております。また、当事業年度末の現金及び現金同等物は1,145,732千円であり、流動性を確保しております。

 

③ 経営者の問題認識と今後の方針について

「第2 事業の状況 1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)」をご参照ください。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2(事業等のリスク)」をご参照ください。

 

 

⑤ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当事業年度の経営成績については、主力事業である迷惑情報フィルタ事業のモバイル向けフィルタサービスの安定的な成長や、金融機関へのフィッシングSMSに関する情報提供を開始したこと等により、売上高は1,424,656千円(前期比15.4%増)、営業利益は579,911千円(前期比16.3%増)、経常利益は577,980千円(前期比22.7%増)、当期純利益は386,047千円(前期比19.8%増)となりました。

一方で、「第2 事業の状況 1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)」に記載のとおり、当社の迷惑情報フィルタ事業は、通信キャリアのオプション契約に組み込まれるサービス運営を中心とするビジネスモデルに依存している状況にあり、新規・周辺ビジネスの立ち上げが課題であると認識しております。

そのため、中長期的な経営戦略において、当事業年度は通信キャリアに販路を依存しない、ビジネスフォン向けフィルタサービスの拡大を目指し、2020年3月末よりクラウド型ビジネスフォンサービスの「トビラフォン Cloud」の販売を開始しました。

当社は、「トビラフォン Cloud」による新たな顧客層への販売を通じた収益の源泉を獲得することで、一層の収益力強化を図ってまいります。

 

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