課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は「私たちの生活 私たちの世界を よりよい未来につなぐトビラになる」を理念として掲げております。この企業理念に基づき、「誰かがやらなければならないが、誰もが実現できていない社会的課題の解決を革新的なテクノロジーで実現する事」を事業展開方針の軸として、ITテクノロジーを活用した様々な事業の創出や展開に取り組むことで、企業としての持続的な成長を図ってまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社は持続的な成長に向けて、売上高、営業利益を重視しており、毎期その向上に努めることで、中長期的に成長させていくことを目指します。また、「迷惑情報フィルタ事業」に関しては、迷惑情報フィルタサービスの月間利用者数についても、中長期的に成長させていくことを重視しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

インターネットテクノロジーが急速に進化している現代社会において、インターネットテクノロジーはますます複雑化しており、これを逆手にとって悪用する犯罪や安心安全な生活を脅かす脅威はますます大きくなっております。私たちは、スマートフォンを始めとするデジタルデバイスが普及していく中で、データベーステクノロジーを活用し、利用者が特段意識することなくこれらの脅威から守られるセキュリティ商品・サービスを提供しております。近年は特に「オレオレ詐欺」、「架空請求詐欺」、「還付金等詐欺」等に代表される特殊詐欺だけでなく、Web広告において、過度な広告表示によるユーザー体験の悪化や誇大広告など、様々な問題提起がされています。これらの広告の手口は年々巧妙になっており、法の隙間をくぐり抜ける悪徳業者とのいたちごっこが続いているのが現状です。また、広告に加えて電話・SMSにおいても手口の巧妙化により、水面下では迷惑行為の被害者が多発しており、年間では4兆円(消費者庁調べ)の被害が発生しております。

特殊詐欺等の犯罪は時代と共に手法を変えるため、その根絶は困難であることや、高齢化社会がますます深刻化し、特殊詐欺の標的とされやすい高齢者が今後も増加していくことから、被害件数の拡大が懸念されております。

このような状況の中で、犯罪を含む迷惑な電話を防ぐサービスに関する社会的なニーズが高まると考え、迷惑電話を判定するための様々な情報を統合するデータベースについて研究開発を行ってまいりました。その結果、当社は迷惑電話を自動的に判定するスマートフォンアプリの開発に成功し、主要な携帯電話事業者を含む大手通信キャリアのオプション契約パックの一部として採用されたことで、利用者数が拡大しております。当社は、引き続き「迷惑情報フィルタ事業」に注力してまいります。

また、これまで培ってきたデータベーステクノロジーのノウハウを活かし、2022年1月にはAI搭載型営業ツール「Talk Book」の販売を開始いたします。「Talk Book」を用いることで、音声の可視化、解析を行い、効果的な話し方の学習、トークスクリプトの改善、その他報告業務の効率化等が可能です。データベーステクノロジーを活用し、業務DX化に貢献してまいります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

当社は以下の点を対処すべき課題と認識しており、解決に向けて重点的に取り組んでまいります。

 

① 新型コロナウイルス感染症対応

当社は、主に通信キャリアやIP電話に関する通信回線事業者のオプション契約を通じて、迷惑電話情報等のフィルタサービスを提供しており、2021年10月末現在、モバイルと固定電話を合計して1,400万人の月間利用者が存在します。

 

当社のビジネスモデルは、利用者からのストック収益を積上げるモデルのため、新型コロナウイルス感染症が急速に拡大した場合でも、当社収益にただちに影響を及ぼす可能性は低いと考えています。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う長期的な経済活動の停滞や、外出制限の長期化等により、通信キャリアでのオプション契約新規獲得数が伸び悩んだ場合、当社収益の停滞又は漸進的な減少の影響が生じる可能性があります。加えて、当社従業員に感染が拡大した場合、新商品の開発遅延や営業活動の制限が生じる可能性があります。

 当社は、通信キャリアからの収益に依存しない頑強な体質への成長を図ると共に、新型コロナウイルス感染症が長期的に蔓延した場合でも、様々な収益獲得手段を通じて収益の向上を目指してまいります。

 

②携帯電話料金の引き下げ

2021年3月より大手通信キャリア社は、現行の料金プランより割安なオンライン専用プランを開始し、その他通信事業者も相次いで値下げを実施いたしました。オンライン専用プランは主には通信サービスを対象としているものであり、当社が提供するサービスが含まれる携帯電話のオプションサービスを割安に販売することは含まれておりません。また、一部通信キャリアでは、オンライン専用プランにおいてもオプションサービスを付帯することが可能となっております。

しかしながら、携帯電話料金の引き下げに伴って通信キャリアの収益が悪化した場合等、通信キャリアから当社への契約単価の下方改定等の要請を受ける可能性があります。当社が提供する迷惑電話フィルタサービスは、事実上競合や代替サービスが存在せず、他社への代替、他社との価格競争が生じる可能性はないと考えていますが、当社は通信キャリアに売上高の80%以上(当事業年度)を依存していることから、契約単価の下方改定が行われた場合は将来の収益に影響を与える可能性があります。

当社は、アライアンスパートナー網の拡大、新規・周辺ビジネスの立上げ等を通じ、通信キャリアからの売上に依存しない頑強な体質へ成長を遂げることで、特定の取引先に売上を依存するリスクの低減化を図ってまいります。

 

③ アライアンスパートナー網の拡大及び協力関係の深耕

当社はこれまで、通信キャリアやIP電話に関する通信事業者、あるいは事務機器等商社の代理店との間で、当社の迷惑情報データベースを活用したサービスを提供するアライアンスパートナーの開拓に注力して参りました。その結果、一定程度のアライアンスパートナー網を構築することができております。

今後、当社が中長期的な成長を持続し、当社事業の更なる発展・拡大をしていくためには、①未開拓となっている通信キャリアや通信回線事業者等に対する提案活動を通じ、固定電話向けフィルタサービスの提供に係るアライアンスパートナー網の拡大を図ること、②既存のアライアンスパートナーへの販売活動支援等による協力関係の深耕により、ビジネスフォンの販売拡大を図ることが重要と考えております。 

今後も、アライアンスパートナー網の拡大及び協力関係の深耕への注力を継続していくことで、より一層の事業拡大を図ってまいります。

 

④ 利用者数の増加及び新機能の提供による収益拡大

当社は、主に通信キャリアやIP電話に関する通信回線事業者のオプション契約を通じて、迷惑電話情報等のフィルタサービスを提供しており、今後、当社が更なる収益拡大を目指す上では、当社サービスの利用者数の増加、及び新機能の提供による更なる利用料収入の拡大が重要と考えております。

総務省が2021年9月17日に発表した「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表」によると、2021年6月末時点における携帯電話の契約数合計は、約1億9,610万契約であり、又、インターネット回線を利用したIP電話の利用番号数は約4,480万件とされております。

当社の見立てでは、携帯電話の契約者数は、緩やかに伸長し、引き続き安定的に推移するものと見込んでおります。IP電話も、2025年頃に東日本電信電話株式会社(NTT東日本)及び西日本電信電話株式会社(NTT西日本)の固定電話用信号交換機が維持限界を迎えるとされており、IP電話への移行が一層進むものと想定されます。

 

月間利用者数の拡大する余地は大きく残っております。これに対し、当社サービスの月間利用者数は、2021年10月末現在、モバイルと固定電話を合計して約1,400万人に留まっており、月間利用者数の増加は、売上高の拡大及び利益率の向上に直接的に影響するため、当社では、警察組織との連携により当社サービスの社会的信頼性を向上させていくほか、システムやデータベースの精度向上による利便性の向上等を推進することで、月間利用者数の増加を図り、より一層の収益力の強化を図ってまいります。

 また、現状は一部の通信キャリアにのみ提供している新機能「詐欺メール遮断サービス」を他の通信キャリアにも展開できるよう提案を進めることで、収益獲得手段を拡充し、一層の収益力の強化を図ってまいります。

 

⑤ 新規・周辺ビジネスの立上げ

 当社の迷惑情報フィルタ事業は、通信キャリアのオプション契約に組み込まれるサービス運営を中心とするビジネスモデルに依存している状況にあります。
 そのため、複数のビジネスモデルを持ち、より頑強な組織へと成長していくことが、今後の発展において重要であると考えております。2021年8月には合同会社280blockerを買収し、同年10月には吸収合併いたしました。これにより、迷惑電話・SMS対策だけでなく、迷惑Web広告対策までカバーすることが可能となりました。引き続き、迷惑情報フィルタ事業で培ったデータベースのノウハウを活用し、新たな事業領域への拡張のみならず、新しいビジネスモデルの展開も積極的に検討してまいります。

 

⑥ 企業買収(M&A)

当社は、成長戦略の一環としてM&Aを推進しております。M&Aを検討する際には、対象となる企業について詳細なデューディリジェンスを実施し、リスク回避に努めていますが、買収後に偶発債務等の発生が判明した場合、対象会社の当初想定した収益計画を達成できない場合、対象会社の事業運営に支障をきたすような事態が発生した場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社は、M&Aを検討する際には、当社事業とのシナジー、事業戦略との整合性、買収後の収益性、買収プロセスの透明性、買収後の統合効果を最大化するプロセス(PMI)等に留意しております。今後も、M&Aを推進し、より一層の事業拡大を図ってまいります。

 

⑦ 優秀な人材の確保と組織体制の強化

優秀な人材の確保と適切な配置、育成システムの構築は、当社の成長にとって最も重要な経営課題と認識しております。そのため、当社は継続的に採用活動を行うとともに適正な人事評価を行い、当社の企業理念、組織風土にあった優秀な人材の確保に努めてまいります。また、社員の職位、職務に応じた適切な研修を行い、人材の教育・育成を進めていく方針であります。

 

⑧ 当社及び当社サービスの認知度向上

当社は、迷惑情報フィルタサービスを提供しており、今後の更なる事業展開、拡大のためには、当社及び当社サービスに対する知名度や信頼を一層向上させることが重要であると認識しております。各種新聞、雑誌において当社製品を掲載していただくことや、デジタルマーケティング等の広告宣伝活動及びプロモーション活動の強化に努め、認知度向上を図ってまいります。

 

⑧ 内部管理体制の強化

当社は、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置づけ、多様な施策を実施しております。業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する様、一層の体制整備、運用の強化を図ってまいります。 

 

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