業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進んだことなどによる行動制限の緩和に伴い経済活動の回復基調が見られていたものの、新たな変異株による感染の拡大や、ウクライナ情勢などの国際情勢に重大な影響を及ぼす事象の発生が続いており、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 当社グループが属する情報サービス業界は、デジタル庁を中心とした行政によるデジタル化推進やビジネス形態としてリモートワーク、クラウド環境の導入、IoT、AI、5G、メタバースなどのデジタルトランスフォーメーション(DX)に関連するIT投資を積極的に行う企業の増加などにより中長期的には市場規模の拡大が継続するものとみられます。

 このような状況の下、当社グループの主力サービスであるソフトウェアテストサービスにおきましては、潜在市場規模が大きくまた参入障壁の高いエンタープライズ系(注1)領域の開拓に注力し、売上規模と利益率の向上に努めてまいりました。一方で、顕在化するエンジニア不足に対しては、独自教育ノウハウによる業界未経験者の早期戦力化、高スキル人材の登用および社外人材の有効活用等の対策を行い、順調に受注案件を積み上げてまいりました。

 その結果、当連結会計年度の売上高は6,707,361千円(前期比27.5%増)と堅調に拡大いたしました。販売費及び一般管理費の増加はあったものの増収となった影響を受け、営業利益は570,292千円(同65.4%増)、経常利益は580,102千円(同66.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は413,839千円(同67.8%増)となりました。

 

(注1)エンタープライズ系

 企業の業務システムや情報システム、金融機関、病院、鉄道など大規模かつ社会基盤を支える情報システムなどに含まれ、それらの中心となる制御システムの総称。

 

 

 各セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。

[ソフトウェアテストサービス事業]

 当事業においては、専門の事業部を立ち上げて拡大に努めておりましたエンタープライズ系領域における業績が特に好調に推移いたしました。また大型マイグレーション(注2)案件及び新規大型再構築案件の上流工程・PMO(注3)・QMO(注4)としての参画が増加しました。これら新規高難易度案件の受注拡大は売上規模の向上、利益率の向上につながる一方で、特定業界のナレッジ・ノウハウの蓄積によって更なる受注拡大につながる事業内好循環を生み出しております。また継続的な人材採用及び外部人材の有効活用によってその他既存取引も順調に拡大し、外部顧客に対する売上高は5,998,789千円(前期比25.1%増)と堅調に推移し、セグメント利益は568,176千円(同56.8%増)となりました。

 収益認識に関する会計基準等の適用により当連結会計年度のソフトウェアテストサービスセグメントの外部顧客に対する売上高は5,698千円増加しておりますなお売上高の増加額と同額の売上原価が増加するためセグメント利益への影響はありません

 

(注2)マイグレーション

 ソフトウェアやシステム、データなどを別の環境に移動したり、新しい環境に切り替えたりすること

(注3)PMO(Project Management Office)

 組織内における個々のプロジェクトマネジメントの支援を横断的に行う部門や構造システム

(注4)QMO(Quality Management Office)

 組織内における個々の品質管理の支援を横断的に行う部門や構造システム

 

 [Web/モバイルアプリ開発サービス事業]

 当事業においては開発案件の大型化に伴う売上高増加に加え、セキュリティ・脆弱性診断に係る売上高が堅調に推移しました。また、株式会社アール・エス・アールを2020年9月より新規連結したことによる売上高増加もあり外部顧客に対する売上高は683,812千円(前期比52.5%増)となりました。一方で利益に関しては、上期に一部の請負案件で一過性の採算悪化が発生しましたが、下期以降の管理体制見直しによって大幅に改善し、セグメント利益は70,539千円(同42.3%増)となりました。

 収益認識に関する会計基準等の適用により当連結会計年度のWeb/モバイルアプリ開発サービスセグメントの外部顧客に対する売上高は16,592千円増加しておりますなお売上高の増加額と同額の売上原価が増加するためセグメント利益への影響はありません

 

 [オフショアサービス事業]

 当事業においては、フィリピンでロックダウンが当連結会計期間末時点においても継続されているなど、依然新型コロナウイルス感染症は事業運営に大きな影響を与えております。一方で在宅勤務環境の整備などにより、現状はほぼ通常通りの営業活動を行うまでにオペレーションを回復しております。その結果、当社を窓口とする日本企業との取引は堅調に拡大し、外部顧客に対する売上高は24,760千円(前期比34.4%増)となりました。一方受注を予定しておりましたプロジェクトが、ロックダウンにより順延した影響を受け、セグメント利益は10,393千円(同7.5%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末より166,096千円増加し1,336,533千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は505,343千円(前期比73.6%増)となりました。これは主に売上債権及び契約資産の増減額△176,657千円、法人税等の支払額125,978千円があった一方で、税金等調整前当期純利益を580,102千円、減価償却費を52,196千円計上したことや、仕入債務の増減額59,860千円、未払金の増減額51,507千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は104,258千円(同12.1%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出10,602千円、無形固定資産の取得による支出32,786千円、投資有価証券の取得による支出62,000千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は235,613千円(前期は4,956千円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出200,896千円、長期借入金の返済による支出21,948千円があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループが行う全ての事業は、受注から売上計上までの期間が短いため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度のセグメント別の販売実績は、以下のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェアテストサービス事業

5,998,789

25.1

Web/モバイルアプリ開発サービス事業

683,812

52.5

オフショアサービス事業

24,760

34.4

合計

6,707,361

27.5

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

楽天グループ株式会社

672,208

12.8

2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績については、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりであります。

 

経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ1,445,153千円増加し、6,707,361千円(前期比27.5%増)となりました。これは主に、ソフトウェアテストサービス事業にて専門の事業部を立ち上げて拡大に努めておりましたエンタープライズ系領域における業績が特に好調に推移したことによるものです。各報告セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、ソフトウェアテストサービス事業が89.4%、Web/モバイルアプリ開発サービス事業が10.2%、オフショアサービス事業が0.4%となりました。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ433,154千円増加し、1,865,756千円(同30.2%増)となり、売上総利益率は27.8%と前連結会計年度(27.2%)から0.6ポイントの上昇となりました。これは、主に増収となった影響によるものです。

 

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ225,572千円増加し、570,292千円(同65.4%増)となり、営業利益率は8.5%と前連結会計年度(6.6%)から1.9ポイントの上昇となりました。これは、販売費及び一般管理費の増加はあるものの、増収となった影響によるものです。

(経常利益)

 当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ232,610千円増加し、580,102千円(同66.9%増)となり、経常利益率は8.6%と前連結会計年度(6.6%)から2.0ポイントの上昇となりました。これは、営業利益の増加によるものであります。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における特別利益の計上はありません(前連結会計年度における特別利益の計上もありません。)。

 当連結会計年度における特別損失の計上はありません(前連結会計年度における特別損失の計上もありません。)。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ167,195千円増加し、413,839千円(同67.8%増)となりました。

 

財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は2,345,573千円となり、前連結会計年度末に比べ326,342千円増加いたしました。これは主に現金及び預金の増加166,036千円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加184,059千円によるものであります。固定資産は585,259千円となり、前連結会計年度末に比べ63,004千円増加いたしました。これは主に投資有価証券の増加62,000千円によるものであります。

 この結果、総資産は2,930,833千円となり、前連結会計年度末に比べ389,347千円増加いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は1,159,442千円となり、前連結会計年度末に比べ200,748千円増加いたしました。これは主に買掛金の増加59,883千円、未払法人税等の増加58,847千円、未払金の増加47,817千円によるものであります。固定負債は58,473千円となり、前連結会計年度末に比べ25,573千円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少21,948千円によるものであります。

 この結果、負債合計は1,217,916千円となり、前連結会計年度末に比べ175,175千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は1,712,917千円となり、前連結会計年度末に比べ214,172千円増加いたしました。これは主に自己株式が増加したことにより199,701千円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益413,839千円の計上に伴い利益剰余金が増加したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は58.4%(前連結会計年度末は58.8%)となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高増加率、売上総利益率、人材の確保を重要な経営課題と認識していることから営業利益率を重視しております。

 当連結会計年度における売上高増加率は27.5%と前連結会計年度(7.9%)から19.6ポイントの上昇、売上総利益率は27.8%と前連結会計年度(27.2%)から0.6ポイントの上昇、営業利益率は8.5%と前連結会計年度(6.6%)から1.9ポイントの上昇となりました。

 引き続きこれらの指標について上昇するように取り組んで参ります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、労務費及び外注費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、ソフトウェアの開発費用等によるものであります。

 

 資本の財源及び資金の流動性について、当社グループは、運転資金については自己資金及び金融機関からの借入金を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は204,020千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,336,533千円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に際しては、連結決算日における資産及び負債の計上、当連結会計年度における収益、費用の計上については、過去の実績や現況に基づいた合理的な基準による見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 また、重要な会計方針等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 及び 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

④経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループが高品質なサービスを継続的に提供していくために、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の経営課題に対処することが必要であると認識しております。また、当社グループを取り巻く外部環境及び内部環境を適宜適切に把握し、市場におけるニーズを識別して経営資源の最適化に努めて参ります。

 

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