(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)におけるわが国経済は、変異株の出現により新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言実施期間が長期間におよび、経済活動が制限される状況が継続しましたが、ワクチン接種が進み個人消費の改善など持ち直しの動きが見られました。また、世界各国の経済は新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだ事などから持ち直しの動きがみられた地域がある一方、コロナ禍が再拡大した地域もあり、年末には新たな変異株の感染が確認されるなど国内外ともに依然先行きは不透明な状況が続いております。
このような中、当社グループは、永続的成長に向けて2025年までの全社基本ビジョンを「世界中のお客様から最も信頼されるイノベーション・カンパニー」と掲げ、3つの経営軸(「Innovation」「Efficiency」「Sustainability」)のもと、激変する経営環境をビジネスチャンスへと昇華し、社会からますます必要とされる価値を提供する事業に注力することで、着実に成長を遂げる真に強い企業集団へと生まれ変わるため、新たな5か年中期経営計画『INNOVATION25』(2021-2025)を掲げ、5つの全社基本戦略(「事業構造の大転換」「生産性改革」「財務基盤の強化」「サステナブル経営の推進」「大家族主義の進化」)に取り組んでおります。
この結果、売上高48,474百万円(前連結会計年度比17.7%増)、営業利益2,453百万円(同73.2%増)、経常利益2,706百万円(同64.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,595百万円(同148.5%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、文中の各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおりません。
(化学品事業)
化学品事業には、当社グループの主力となる繊維化学品の他に特殊化学品、クリーニング・メディカル用薬剤、機能化学品、先端材料が含まれております。
売上高は33,773百万円(前連結会計年度比18.5%増)、セグメント利益は1,460百万円(同73.4%増)となりました。
コロナ禍の影響が継続しているものの、全般的に流通在庫の積み上げ等による需要回復が見られるとともに、特殊樹脂モノマー、環境衛生関連薬剤やフッ素化成品が堅調に推移しました。また、円安の影響もあり売上高は増加しました。
一方、経済活動の回復、需給バランスの影響により下期に原料価格が大きく上昇しましたが、昨年から実施している経費抑制の継続、一昨年実施した設備投資の減価償却費減少により、セグメント利益は増加しました。
(化粧品事業)
化粧品事業はヘアケア剤、ヘアカラー剤、パーマ剤、スキャルプケア剤及びスタイリング剤が主な取扱品であります。
売上高は14,087百万円(前連結会計年度比15.7%増)、セグメント利益は2,794百万円(同24.2%増)となりました。
当社デミ コスメティクスにおいては、長期にわたる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の実施による市況悪化の影響を受けたものの、主力ヘアケアブランドの拡販等により堅調に推移いたしました。また連結子会社においては、山田製薬株式会社は大口受託案件の受注増に加えて新規顧客の獲得増により続伸し、DEMI KOREA CO.,LTD.における販売も好調に推移いたしました。その結果、化粧品セグメント全体では売上高及びセグメント利益ともに増加しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フロー4,722百万円の獲得、投資活動によるキャッシュ・フロー994百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フロー5,024百万円の支出により、前連結会計年度に比べ、816百万円減少し、6,373百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られたキャッシュ・フローは4,722百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益3,461百万円、減価償却費2,500百万円、仕入債務の増加額998百万円等の収入と、たな卸資産の増加額977百万円及び法人税等の支払額724百万円等の支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用したキャッシュ・フローは994百万円となりました。
これは主に、定期預金の払戻による収入989百万円、有形固定資産の売却による収入818百万円及び投資有価証券の売却による収入212百万円等の収入と、定期預金の預入による支出1,466百万円、有形固定資産の取得による支出1,443百万円等の支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用したキャッシュ・フローは5,024百万円となりました。
これは主に、借入の返済による支出(純額)4,575百万円、配当金の支払418百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
化学品(百万円) |
35,905 |
136.7 |
化粧品(百万円) |
4,036 |
109.6 |
報告セグメント計(百万円) |
39,942 |
133.3 |
合計(百万円) |
39,942 |
133.3 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.報告セグメント以外のその他については、生産活動になじまないため記載しておりません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.製商品仕入実績
当連結会計年度の製商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
化学品(百万円) |
2,973 |
128.8 |
化粧品(百万円) |
923 |
158.9 |
報告セグメント計(百万円) |
3,897 |
134.8 |
合計(百万円) |
3,897 |
134.8 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.報告セグメント以外のその他については、仕入実績はありませんので記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは、主として、販売計画、生産状況を基礎とした見込生産を行っており、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
化学品(百万円) |
33,773 |
118.5 |
化粧品(百万円) |
14,087 |
115.7 |
報告セグメント計(百万円) |
47,861 |
117.7 |
その他 |
612 |
121.0 |
合計(百万円) |
48,474 |
117.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産合計)
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、1,358百万円増加し54,533百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産が448百万円減少した一方、受取手形及び売掛金が591百万円、商品及び製品が671百万円及び原材料及び貯蔵品が700百万円増加したことによるものであります。
(負債合計)
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ、2,799百万円減少し27,209百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金が1,293百万円増加した一方、借入金が4,600百万円減少したことによるものであります。
(純資産合計)
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、4,157百万円増加し27,323百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が2,375百万円及び為替換算調整勘定が1,310百万円増加したことによるものであります。
b.経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ7,294百万円(前連結会計年度比17.7%増)増加し、48,474百万円となりました。
国内販売は、主に化学品事業において需要回復が見られた他、特殊樹脂モノマー、環境衛生関連薬剤やフッ素化成品が堅調に推移し、また化粧品事業のODM事業において大口受託案件の受注増に加えて新規顧客の獲得増や主力ヘアケアブランドの拡販等により、前連結会計年度と比較して3,786百万円(同16.8%増)増加し、26,296百万円となりました。
海外販売は、主力である繊維加工用薬剤分野において同様に需要回復が見られ、環境衛生関連薬剤やフッ素化成品が堅調に推移したことや、化粧品事業の韓国内での販売増などにより、前連結会計年度と比較して3,508百万円(同18.8%増)増加し、22,177百万円となりました。
なお、セグメントの概況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
営業利益は、下期に原料高騰の影響を受けた一方、売上高の増加に加え経費抑制の継続及び減価償却費が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ1,037百万円(同73.2%増)増益し、2,453百万円となりました。
経常利益は、営業利益が増加したことにより、前連結会計年度に比べ1,061百万円(同64.5%増)増益し、2,706百万円となりました。
税金等調整前当期純利益は、経常利益が増加したことに加え、特別利益に固定資産売却益607百万円を計上したこと等から、前連結会計年度に比べ1,690百万円(同95.5%増)増益の3,461百万円となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1,551百万円(同148.5%増)増益の、2,595百万円となりました。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析内容・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績等の状況」に記載のとおりであります。
e.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度における売上高は48,474百万円、営業利益は2,453百万円、EBITDAは4,953百万円、ROSは5.1%、ROEは11.3%、ROAは4.6%であります。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。
各指標の推移は以下のとおりです。
|
第104期 |
第105期 |
第106期 |
第107期 |
第108期 |
売上高(百万円) |
48,493 |
50,188 |
46,191 |
41,179 |
48,474 |
営業利益(百万円) |
2,116 |
2,301 |
1,395 |
1,416 |
2,453 |
EBITDA(百万円) |
4,058 |
4,293 |
3,637 |
4,187 |
4,953 |
ROS(%) |
4.4 |
4.6 |
3.0 |
3.4 |
5.1 |
ROE(%) |
7.8 |
12.6 |
4.5 |
5.1 |
11.3 |
ROA(%) |
4.0 |
4.1 |
2.5 |
2.6 |
4.6 |
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの運転資金・設備投資資金については、営業活動から獲得する自己資金及び金融機関からの借入による調達を基本としております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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