文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、私たちの技術や時代の先端をいく技術を広くお客様に届け、世の中を変えていく「テクノロジーの解放(Liberation of Technology)」を経営理念に掲げております。ITは急速なスピードで変化しています。ITはこれまでも、そしてこれからも世界を変え続けていきます。しかしながら、テクノロジーは時として人々の手に入りにくい形で出現します。ITの力を享受するためには、誰かが理想と現実のギャップを埋める必要があります。
当社グループは、テクノロジーにおけるこのギャップの橋渡し役として、お客様に新しい価値を提供し続け、世界の発展に貢献していきます。
当社グループは「テクノロジーの解放(Liberation of Technology)」を実現するための最適なビジネスモデルの1つとして、クラウドサービスを提供しております。クラウドサービスは、お客様ごとにカスタマイズし提供する受託開発型のソフトウエアサービスとは異なり、より多くのお客様に当社グループのサービスを届けることを可能にしております。
ITはめまぐるしい勢いで進化しており、日々新技術が世の中に生まれております。しかし、実際の世の中で活用される新技術は数少ないという現実があります。当社グループはこのような経営環境の中、日々生まれてくる新技術に向き合い、失敗と成功を繰り返すことで、最適なクラウドサービスをお客様に提供いたします。そのためにも、当社グループは新技術に対する挑戦を継続し、絶え間ない努力を重ねる体制を整え、日々新技術を活用した新サービスの開発を行っております。
当社グループは重要な経営指標として、現在の当社グループの成長ドライバーであるHENNGE One事業のLTV(注)を重視しております。LTVは、ARR、売上総利益率、平均契約年数で算出されますが、この3つの要素の中では、現在特にARRに着目し、今後の更なる成長に向けて積極的に将来ARRの最大化を目指し、日々の事業活動を行ってまいります。
①契約企業数の最大化
営業人員の更なる増員、広告宣伝活動によるブランド力や知名度の向上、販売代理店との関係強化等の施策を継続し、契約企業数の最大化を図ります。そして東京だけでなく、当社グループのブランチオフィスがある東海、関西、九州、そして子会社のある海外での販売を拡大し、先行者利益の獲得を目指します。
②ユーザあたり単価(ARPU)の向上
「HENNGE One」と連携可能なSaaSを増加させることでプラットフォームとしての価値を高めるほか、カスタマー・サクセス活動の活発化により顧客の要望に耳を傾け、新機能・新サービス等、ユーザに提供できる新しい付加価値の開発を継続することで、今後もユーザあたり単価の向上を目指します。
③平均ユーザ数の最大化
現在は、契約企業数の最大化を目指すべく、販売パートナーとの関係強化施策の中で、大企業だけでなく比較的小規模な企業へのアプローチも行っております。そのため、現在はアンコントローラブルな係数であると認識しております。しかしながら、カスタマー・サクセス活動を通し、顧客企業のクラウドアダプションやデジタルトランスフォーメーションをお手伝いすることで、顧客企業の成長の後押しをしつつ、顧客企業内での利用アカウント数の増加を穏やかに図ってまいります。
また同時に、当社グループは、提供サービスの基盤システムの効率化と、そこから生まれる利益の研究開発等への再投資が、提供サービスの価値向上の源泉であると考えております。そのため、研究開発部門を中心に、基盤システムの効率化や費用削減に積極的に取り組んでおります。
さらに、お客様にとっての当社グループのサービスの価値を継続的に向上すべく新機能・新サービスの研究開発に注力するとともに、当社グループのサービスの認知度向上のための広告宣伝や営業活動にも先行投資しております。そのため、財政状態についても、現金及び預金残高、契約負債残高及びそれらの推移を重視しております。「HENNGE One」は年単位で契約いただくサブスクリプション型のサービスです。年間費用は、原則としてサービス開始時に一括でお支払いいただいております。このビジネスモデルにより、営業や開発への先行投資ができる健全な財務状況となっております。
(注) LTV (Life Time Value)
顧客が顧客ライフサイクルの最初から最後までの間に当社の商品やサービスを購入した(する)金額の合計です。
当社グループが属するIT業界は技術進歩がめまぐるしく、新規企業の参入や新サービスの提供が頻繁に起こっております。このように業界における経営環境の変化が速いことが、探求心を持ち続ける当社グループにとって最大のビジネスチャンスであると捉え、新技術への挑戦を続け、新サービスを提供できる体制を構築しております。
当事業年度内においては、前事業年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響により、海外渡航制限や対面活動の制約がありましたが、2022年3月以降、入国制限が徐々に緩和されたことで長らく遅延していたグローバル人材の入社が進み、リアルイベントの開催、出展も再開しました。今後、パンデミックを経た新しい生活様式が定着していく中で、中長期的には、事業継続のための多様な働き方や生産性向上に関連する需要がより一層加速するとみております。
当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
① 技術革新への対応
IT業界における日進月歩の技術革新に留まらず、多くの企業においてデジタル変革(DX化)が進んでおり、当社グループが継続的に事業を拡大していくためには、様々な新技術をサービスに適切に取り入れていくこと及び市場やユーザのニーズを適時、的確に捉えることが重要であると認識しております。当社グループでは、2021年10月に「HENNGE One」に3つの新機能を追加し、さらに、2022年4月には上位プランでご利用いただける新機能「HENNGE Connect」を追加しました。このような社内開発活動に加え、「HENNGE One」に続く新規事業開発、事業投資や事業提携等も推進していくことで、市場のニーズに合致した技術力を向上させてまいります。
② 開発体制の効率化と強化
ITや先進技術分野への需要は拡大しており、IT技術者不足が、企業の開発力の維持、強化を阻む要因の一つとなっております。当社グループでは、優秀なIT技術者の採用と育成強化に取り組むとともに、国外も含めた幅広い層にアプローチすることで、より優秀な人材を確保するため、グローバルインターンシッププログラムの実施や英語の社内公用語化等の取り組みをしております。前事業年度に引き続き、当事業年度においても新型コロナウイルス感染症の影響により取り組みの一部が制限されておりましたが、2022年3月より入国制限が徐々に緩和され、グローバル人材の入社が再開しました。今後も国籍を問わない採用に注力するなど、体制の強化を図ってまいります。
③ 認知度の向上及び販売力の強化
「HENNGE One」のARRにつきまして、当連結会計年度は前連結会計年度末比18.2%増と堅調に伸長しておりますが、更なる収益拡大を図るためには、当該サービスの認知度向上と営業力の強化が重要であると認識しております。当事業年度は、「HENNGE Rocket Pitch」「HENNGE Meet Up!」など、より具体的にサービスの中身を理解していただくためのイベントを開催いたしました。また、2022年4月からウルトラマンをイメージキャラクターに起用したマーケティングキャンペーンを開始し、リアルイベントにも出展するなど、多層的な顧客アプローチを実施しております。今後も状況に応じた戦略的かつ効果的な広告宣伝活動を実施するとともに、優秀な営業人材の採用や育成、また、販売パートナーとの連携強化を図ってまいります。
④ 海外への展開
「HENNGE One」はクラウドサービスであるため、国境を越えた展開の可能性を有しております。当社グループでは、中長期的にSaaSの利用拡大が特に見込まれるアジア市場を引き続きターゲットとして捉え、販売拡大を図るとともに、アジア市場以外の海外市場への進出可能性につきましても、継続して検討してまいります。
⑤ 人材の採用・育成とダイバーシティの推進
変化の激しい環境において、常に変化と挑戦が必要だと考えており、そのために多種多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材の採用及び育成が重要であると認識しております。当社グループでは、英語を社内公用語とし、ダイバーシティを尊重するカルチャーを醸成するとともに、当社グループのカルチャーに共感した優秀な人材が中長期に渡って高い意欲を持って働ける環境の整備に取り組んでおります。また、リモートワーク環境下においても機能し、効果が期待できる研修プログラムを構築、改善するなど、人材の育成にも努めております。
⑥ 顧客満足度の向上
LTV最大化のためには顧客満足度の向上が必要であると考えております。当社グループでは、2021年10月以降、「HENNGE One」に顧客ニーズを捉えた新機能を順々に追加しておりますが、今後も積極的にユーザとのコミュニケーションを図り、当社グループのサービスに対する要望・意見を収集・分析し、既存サービスの改善及び新サービスの開発に反映させてまいります。
⑦ コーポレート・ガバナンスの強化
コーポレート・ガバナンスを企業経営の透明性・公正性を確保し、継続的な成長を図るために必要不可欠な機能と位置付けております。当社グループでは、株主をはじめ、ステークホルダーとの信頼関係に基づく経営を実現できるようガバナンスの強化に努めるとともに、企業経営のリスクに対応するための内部統制システムの運用についても、監督・監査を強化し、充実を図ってまいります。
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