(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社グループは「Payment to the People,Power to the People.」をミッションとして掲げ、ネットショップ作成サービス「BASE」を提供するBASE事業、オンライン決済サービス「PAY.JP」を提供するPAY事業を展開しており、これらのサービスを通して、個人及びSMB(Small and Medium Business)層をエンパワーメントすること、スタートアップ企業を支援することに注力しております。
当連結会計年度では、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が長期化する中、全国のワクチン接種者数が増加したものの収束は未だ見通せず、依然先行きが不透明な状況が続いております。このような事業環境においてBASE事業では、中長期にわたる持続的な成長のため、引き続き個人及びSMB層をターゲットとした積極的なマーケティングや、ショップ運営の利便性を向上させる機能拡充に努めております。PAY事業では、スタートアップ企業やベンチャー企業をターゲットに、よりシンプルで導入や運用が簡単なオンライン決済機能を目指してプロダクトを強化し、加盟店数の拡大に努めております。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は9,931百万円(前年同期比19.8%増)、営業損失は977百万円(前年同期は営業利益803百万円)、経常損失は960百万円(前年同期は経常利益747百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,194百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益584百万円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
BASE事業では、サービス認知度向上と新規ショップ開設の促進を目的に、TVCMやWebマーケティング等を実施いたしました。その結果、月間売店数は引き続き増加いたしました。
プロダクト開発においては、ショップの販促活動のサポートを目的に、購入完了に至っていない商品がカートに残っていることを購入者にリマインドする「買い忘れ防止メール」の自動送信設定機能や、未購入者へのメルマガ配信が可能になる「メールマガジン App」のアップデート、ショップが訴求したい情報をショップページ上部で効果的にアピールできる「お知らせバナー App」を提供いたしました。また、購入者の購入体験を改善し、ショップの売上向上へと繋がる環境を提供することを目的に、ショッピングカートのリニューアルを実施いたしました。
前連結会計年度においては、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を機とした、ネットショップ開設への需要の増加及び消費者のEC移行により、流通総額が大きく成長いたしました。当連結会計年度においては、マスクや消毒液等の衛生品売上は減少し、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響は縮小いたしましたが、月間売店数の増加により、流通総額は成長いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における流通総額は113,773百万円(注文ベース)、106,607百万円(決済ベース)(前年同期比19.4%増(注文ベース)、21.5%増(決済ベース))となりました。
流通総額の成長により、売上高及び売上総利益は増加した一方で、主に購入者手数料の減少により、売上総利益率は減少いたしました。購入者手数料の減少は、決済手段の構成比の変化及び決済単価の増加が要因です。また、BASE事業の持続的な成長を目的としたプロモーションや人材採用の先行投資により、販売費及び一般管理費が前年同期比で大きく増加いたしました。
以上の結果、売上高は8,420百万円(前年同期比15.0%増)、セグメント損失は703百万円(前年同期はセグメント利益1,112百万円)となりました。
PAY事業では、オンライン決済サービス「PAY.JP」を提供しております。当連結会計年度における流通総額は55,271百万円(前年同期比53.2%増)と引き続き大きく成長いたしました。
以上の結果、売上高は1,448百万円(前年同期比54.2%増)、セグメント損失は38百万円(前年同期はセグメント損失92百万円)となりました。
その他事業では、「BASE」を利用するネットショップ運営者等に対して事業資金を提供するサービス「YELL BANK」等を提供しており、2018年12月のサービス提供開始以降、利用者数は堅調に推移しております。
以上の結果、売上高は62百万円(前年同期比127.3%増)、セグメント損失は 52 百万円(前年同期はセグメント損失45百万円)となりました。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は31,991百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,485百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が1,782百万円、未収入金が1,660百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は16,885百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,597百万円増加いたしました。これは主に、法人税等の支払によりその他に含まれる未払法人税等が253百万円減少した一方で、営業未払金が3,756百万円、営業預り金が1,118百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は15,105百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,112百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が1,194百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、24,053百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,782百万円増加いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,782百万円(前年同期は3,128百万円の獲得)となりました。主な増加要因は、営業未払金の増加3,756百万円、営業預り金の増加1,118百万円等であり、主な減少要因は、未収入金の増加1,645百万円、税金等調整前当期純損失の計上1,218百万円、法人税等の支払201百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は21百万円(前年同期は471百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出20百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は21百万円(前年同期は12,419百万円の獲得)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入21百万円によるものであります。
当社グループで行う事業は、インターネットを利用したサービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載を省略しております。
当社グループでは、概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用とともに、資産及び負債または損益の状況に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについては、過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。
当社の連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は9,931百万円(前年同期比19.8%増)となりました。主に、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載の要因により、BASE事業において、ショップ開設数が順調に推移し、売店数(売上が計上されたショップ数)が増加したことにより流通総額が増加したこと、PAY事業において、登録加盟店数が堅調に推移し、稼働加盟店数が増加したことにより流通総額が増加したことによるものであります。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は4,307百万円(前年同期比30.7%増)となりました。主な要因は、流通総額の増加により、決済代行業者等への支払手数料が増加したことによるものであります。
この結果、売上総利益は5,623百万円(前年同期比12.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は6,601百万円(前年同期比57.6%増)となりました。主な要因は、事業拡大のためにTVCMやオンライン広告等のプロモーションを行ったことにより広告宣伝費が増加したことによるものであります。
この結果、営業損失は977百万円(前年同期は営業利益803百万円)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は24百万円となりました。主な内容は、受取手数料20百万円であります。営業外費用は7百万円となりました。この結果、経常損失は960百万円(前年同期は経常利益747百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別損失は投資有価証券評価損258百万円の計上によるものであります。また、過年度法人税等戻入額の計上により法人税等合計は△24百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は1,194百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益584百万円)となりました。
当社グループの資金需要のうち主なものは、当社サービスを拡大していくための開発人員の人件費及び認知度拡大や顧客獲得のための広告宣伝費であります。これらの資金需要に対しては、自己資金及び銀行借入により調達することを基本方針としております。
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、市場動向、競合他社、人材確保・育成等様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保するとともに、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
当社グループが今後の事業内容を拡大し、より高品質なサービスを継続提供していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。
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