本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ばす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済・市場環境変化による顧客のIT投資への影響について
当社グループは、一般企業のシステム受託開発を主要事業としておりますが、一般企業のIT投資の姿勢については経済情勢や市場環境の状況に影響を受ける傾向にあります。現状の経済情勢や市場環境は新型コロナウイルス感染症の影響により一時的にIT投資を含めた設備投資を控える動きがみられるものの、企業価値や競争力向上のためにはIT投資は不可欠なものであり、DX等のIT投資は堅調に推移すると認識しています。ただし、今後、経済情勢や市場環境の悪化等により一般企業のIT投資が減少した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(2)競合他社による影響について
当社グループでは、市場動向を捉え、技術力、サービス、品質、生産性の向上に努めておりますが、当社グループが属する情報サービス産業界には多数の事業者が存在しており、市場において当該事業者との競合が生じております。そのため、需要の減少や新規参入の増加等により競争が激化し、当社グループの競争力が相対的に低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(3)特定顧客との関係について
当社グループの主要顧客である富士通グループ、みずほ証券、野村総合研究所グループ、NTTデータグループの上位4グループに対する当社グループの売上高は、2021年12月期において約75%を占めております。当社グループでは、高い技術力の提供により相互の信頼関係を構築しており、これが当社グループの強みになっております。また、一部の主要顧客からは資本の受け入れも行っております。当社グループでは今後もこの緊密な関係を維持継続させるとともに、新規顧客の拡大を図るべく、SE連携による営業活動を推進し新たな主要顧客に繋げていくよう拡充に努めていますが、当該顧客の事業方針の大幅な見直し、業績及び財務状況の悪化等によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(4)不採算プロジェクトの発生について
プロジェクトを計画通りに仕上げることは、当社グループの業績向上にとって非常に重要です。
当社グループが行うシステム開発においては、工程別見積り等による見積り精度の向上策の実施とともに、プロジェクトごとの採算管理を徹底しております。また、個々のプロジェクトが円滑に遂行されるように支援する専門部署を設置しております。
しかしながら、このような施策を講じたにも関わらず、何らかの理由により想定を超える工数増加や納期遅延等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(5)人材の確保について
① 人材採用
当社グループでは、優秀な人材を安定的に確保することが極めて重要と考えており、積極的な採用活動及び育成を行っておりますが、日本は少子高齢化による労働人口の減少に伴い、業界全体において優秀な人材を安定的に確保することが困難な状況になりつつあります。
このような状況の下、当社グループでは、日本だけでなく中国においても優秀な人材を安定的に採用できる仕組みづくりに注力しており、過去からの実績に基づく関係を維持して中国の主要な大学から技術者として即戦力になり得る優秀な新卒を定期的に採用しております。また、日本企業の業務に従事したことのある経験者を中国で中途採用を行うことにより、即戦力となる優秀な人材を確保しています。
加えて、社内研修を充実させることにより人材の育成にも力を入れております。
しかしながら、人材の確保や育成が計画どおりに実施できない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
② 中国人社員の就労
当社グループでは、中国人社員と日本人社員の混成チームを編成することで、互いの長所を活かしたシナジー効果を発揮し、より質の高いサービスを提供することを強みとしております。中国人社員を含む外国人社員の雇用にあたっては就労可能な在留資格の取得が必要になります。現在までのところ、当社グループからの申請で在留資格が認められず、事業に影響を与える事象は発生しておりません。当社グループとしては、万一の場合でも日本国内における採用のみで事業の継続に支障がないよう体制を整備してまいりますが、日本政府及び中国政府の方針の変化や、日中関係に大きな変化が生じ、中国人社員の在留資格の認定・更新が認められなくなった場合等には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症を含めて、パンデミックや社会情勢の変化により渡航制限がされる可能性があります。渡航制限が行われた場合もリモートでの採用活動や、現地子会社を活用した採用活動を継続するとともに、状況を踏まえて日本国内における採用により事業の継続に支障がないよう体制を整備してまいりますが、渡航制限が長期に亘り、中国現地での採用活動の継続や内定後の来日が難しくなった場合等には、採用計画に影響し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(6)長時間労働の発生について
当社グループでは、法令に則り適切な労務管理を行っておりますが、プロジェクトにおいて想定外の事態が発生した場合には、品質や納期を遵守するために一時的な長時間労働が発生することがあります。
当社グループではこのような事態を発生させないようプロジェクト管理を徹底し、問題の早期発見及び解決に努めておりますが、やむを得ずこのような事態が発生した場合には、従業員の健康問題や労務問題の発生、労働生産性の低下や品質の低下等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(7)協力会社の確保について
当社グループでは、ノウハウの蓄積と品質確保を目的に当社及びグループ会社による開発を基本としておりますが、専門性の高いスキルを必要とするプロジェクトや大規模なプロジェクト及び多くのプロジェクトを並行して受注する際には、当社グループのリソースだけで体制を整えることが難しい場合があります。そのため当社グループでは、外部協力会社へ受託開発業務の一部を再委託しておりますが、当社の要求基準に合致する協力会社を十分に確保出来ない場合、外注単価が上昇してコストが増加する場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(8)情報漏洩について
当社グループでは、業務を遂行する上で顧客の機密情報を取り扱うことがあります。そのため当社グループでは、プライバシーマークの認定資格を取得するとともに情報セキュリティ関連の規程を整備し、周知と遵守の徹底を行っています。加えて、情報セキュリティ委員会主導で社員に対する教育も定期的に実施し、情報セキュリティに対する意識の定着を図っています。
しかしながら、このような対策を講じながらも何らかの理由により機密情報の漏洩が生じた場合には、顧客からの損害賠償請求や信用の失墜等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(9)M&A・業務提携について
当社グループは、事業基盤の強化・拡大のため、M&Aや他企業との業務提携を行う可能性があります。これらM&A等を行う際には事前にデューデリジェンス等を実施し、リスクの低減に努めますが、何らかの理由により当初想定した効果や収益が得られない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(10)自然災害・パンデミック等による影響について
地震等の自然災害やそれに伴う二次災害、又はパンデミック等の発生によって当社グループの事業継続が危ぶまれる事態に備えて、事業継続計画を策定しております。
自然災害等に対しては、当社が保有する情報資産・情報システムは、当社オフィス内のサーバルームで管理しており、システムごとに独立したサーバを用意し、電源やディスクの冗長化を行い、マスタファイルを含む機密データの保全、システムの可用性を担保しております。ただし、想定をはるかに超えた大規模な災害等が発生した場合には、業務の全部又は一部が停止し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
現在世界的に感染が拡大している新型コロナウイルス感染症に対しては、テレワーク環境で業務継続できる体制を整え、対応しております。
(11)法的規制等について
① 法的規制
当社グループでは、事業パートナーとなる協力会社との間で業務委託契約を締結し業務を委任する場合があり、相手先によっては「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)が適用される場合があります。また、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(労働者派遣法)に基づき、派遣契約を締結し労働者派遣を行う場合があります。更に、外国人社員の雇用にあたっては、「出入国管理及び難民認定法」(入管法)に基づき、在留資格の取得等を行う必要があります。
当社グループでは、コンプライアンス委員会を設置し、法令に則した社内規定の整備や定期的なコンプライアンス教育の実施・遵守に努めておりますが、法令変更に対応できなかった場合等により法令に抵触した場合には、当社グループの事業活動が制限されるとともに、社会的な信用の失墜により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
② 知的財産権の侵害
当社グループが行うソフトウェア開発においては、特許権や著作権等の知的財産権の確保が業務遂行上重要であり、独自の技術・ノウハウ等の保護・保全とともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な注意を払っております。
しかしながら、第三者より損害賠償及び使用差止め等の請求、並びに特許に関する対価(ロイヤリティ)の支払等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(12)中国事業について
当社グループは、中国に子会社を有し事業活動を行っておりますが、当該事業を行うにあたり、①法令の予期せぬ変更、②国交の悪化、③為替の急激な変動、④戦争や紛争、テロ、伝染病等によるリスクが内在しております。
当社グループでは中国の政治や経済の動向に注視し、未然にリスクの防止に努めておりますが、想定外の事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
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