ミッション・ビジョン
当社グループのミッションは「個のエンパワーメント」であり、また当連結会計年度においては、ビジョンを「すべてのビジネスを『ランサーの力』で前進させる」、「誰もが自分らしく才能を発揮し、『誰かのプロ』になれる社会をつくる」というクライアント及びランサー向けの新ビジョンに刷新いたしました。インターネットの可能性を最大限に活かして、多くの人がもっと便利に、もっと自由に、もっと自分らしく、笑顔で生活し続けられる社会の実現と、雇用形態に依存しない「働き方の変革」を実現するべく事業活動を行っております。
当該ミッションを果たし、ビジョンを実現するために、当社グループは、仕事を依頼したいユーザー(クライアント)と仕事を受けたいユーザー(ランサー)(注1)をオンライン上でマッチングさせるフリーランスプラットフォームを運営しております。
事業概要
当社グループでは、主たる事業内容として、プラットフォーム事業を営んでおります。当社グループのプラットフォームにてクライアントがシステム開発・運用、デザイン・クリエイティブ制作等のDX推進、生産性向上に寄与する仕事等を依頼し、ランサーはそれらの仕事を受注します。クライアントに対しては、「人件費を変動費化できる」、「自社外の知見・スキルを獲得できる」、「迅速にランサーとマッチングできる」といった価値を提供しております。一方でランサーに対しては、「自分の能力を活かした仕事が選べる」、「複数の成長機会・報酬機会を得られる」、「好きな時間・場所で働ける」といった価値を提供しております。
当社グループはプラットフォーム事業の単一セグメントであり「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントと同一であります。
取り巻く環境
我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響により、極めて厳しい状況になりました。ワクチン接種が開始されたものの未だ収束が見通せない状況に加え、ロシア・ウクライナ情勢の影響も受け、国内外の経済収縮リスク等先行き不透明な状況が継続しております。
当社グループを取り巻く事業環境につきましても、新型コロナウイルス感染症の影響を受け大きく変容しております。2021年10月に当社グループが実施した「新・フリーランス実態調査2021‐2022年版」(注2)によると、広義のフリーランス(注3)人口は新型コロナウイルス感染症流行前の2020年2月に実施した調査と比較し49%増の1,577万人にのぼり、経済規模は約24兆円となりました。さらに、自身の仕事への「プロ意識を持つフリーランス」が約8割存在し、高いスキルを持った人材がフリーランスに転身している動きが顕著とも言えます。また、仕事をしながら新たなスキルを習得したいという「学ぶ意欲」を持った人材がフリーランスの6割以上を占め、20~40代を中心にデジタルスキルの習得の需要が高まっています。今後さらに深刻化していくIT人材不足の課題の解消に対して、デジタルスキルを習得したフリーランスが貢献していくことが期待されます。
(注1)「ランサー」とは、当社グループが提供しているサービスにおいて、クライアント企業の依頼(発注)に対し、役務提供を行うフリーランスを指します。こちらのフリーランスには、特定の会社に属さずに報酬を得ている「専業フリーランス」に加え、直近1年間にフリーランスとしての報酬を得たことがある人(副業をしている一般の会社員等)を含んだグループ(広義のフリーランス)を示します。
(注2)「新・フリーランス実態調査2021‐2022年版」は、当社グループが株式会社マクロミルに依頼した、過去12か月に仕事の対価として報酬を得た全国の20歳以上の成人男女を対象にして2021年9月から10月にかけて実施した調査であり、3,094人から回答を得てまとめたものです。
(注3)「広義のフリーランス」とは、特定の会社に属さずに報酬を得ている「専業フリーランス」に加え、専業フリーランスではないが直近1年間にフリーランスとしての報酬を得たことがある人(副業をしている一般の会社員等)を含んだグループを示します。「新・フリーランス実態調査2021‐2022年版」ではフリーランスを①副業系すきまワーカー、②複業系パラレルワーカー、③自由業系フリーワーカー、④自営業系独立オーナーの4つに分類しており、広義のフリーランスにはこの4タイプのフリーランスが含まれます。
当社グループが運営するサービス
当社グループはクライアントによる仕事の依頼(発注)フローの違いに基づき、オンラインスタッフィングプラットフォーム領域とクラウドソーシング領域の2つの領域においてサービスを提供しております。オンラインスタッフィングプラットフォーム領域では、クライアントがフリーランスの持つスキルや実績、評価等を基に、特定のフリーランスを選択して依頼(発注)を行うことで、マッチングが成立します。一方で、クラウドソーシング領域においては、クライアントが不特定多数のフリーランスに対して仕事の募集を行います。その募集に対してフリーランスが提案を行い、クライアントは提案の中から成果物を採用することでマッチングが成立します。このように同じプラットフォーム事業においても、特定のフリーランスに依頼(発注)するのか、不特定のフリーランスに依頼(発注)するのかで、仕事の依頼(発注)フローが異なります。そのなかで当社グループは案件の幅が広く、また高単価案件が期待できるオンラインスタッフィングプラットフォーム領域に注力しており、流通総額の約9割以上がオンラインスタッフィングプラットフォーム領域から構成されております。
このような領域の違いがあるなかで、当社はオンラインスタッフィングプラットフォーム領域を中心として、オンラインで企業が直接利用するマーケットプレイス事業、当社グループが介在し案件を受託・管理するマネージドサービス事業、当社グループが介在しIT人材を紹介するテックエージェント事業の3事業(注4)を展開しております。
(注4)当社グループの管理会計基準の事業区分であり、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントと異なります。
(1)マーケットプレイス事業
オンラインで企業が直接利用するサービスで構成されており、主力サービスは「Lancers」です。
「Lancers」は方式によって、オンラインスタッフィングプラットフォーム領域、クラウドソーシング領域に分類されます。
<Lancers(プロジェクト方式)>
「Lancers」はオンライン上で、企業と個人が直接マッチングするサービスで、様々なクライアントニーズに対応しております。クライアントの依頼(発注)に対して、ランサーから見積り(納期や予算等)が提案され、クライアントは見積りや評価・実績から1名(1社)を決定して、案件を開始します。進捗確認・納品・支払いは、「Lancers」の「プロジェクト管理」から行うことができます。また、プロジェクト方式では報酬を「固定報酬」と「時間報酬」から選択できます。「固定報酬」とは依頼(発注)された仕事が最終的に完了した時点で、予め決めた額の報酬が支払われる形の契約です。長期にわたる仕事では、完成までの段階を区切って報酬を分割して受け取る提案を行うことも可能です。一方、「時間報酬」は、ランサーが実際に仕事をした時間に対価を支払う形の契約です。プロジェクト方式は、特定のランサーに仕事を依頼(発注)するモデルであるため、 オンラインスタッフィングプラットフォーム 領域に分類されます。当該サービスにおいては、クライアントの依頼金額(流通総額)に対する当社グループの取扱手数料が、売上高として計上されております。
<Lancers(コンペ・タスク方式)>
コンペ方式は、クライアントが複数の提案の中から意向に沿ったものを選ぶ方式です。プロジェクト方式との違いは、(1)コンペ方式は最終完成物に近い形でランサーからクライアントへ提案が行われること、(2)採用された場合の報酬額が予め決められていることの2点です。
タスク方式は、多数のランサーが同時に1つの依頼作業を行う仕事方式です。簡単なテキスト作成やデータ入力、アンケートへの回答等、1人当たりが行うべき仕事量は少なく、専門性も高くない仕事に向いています。単純作業のため、クライアントによる事前の審査はなく、ランサーは決められた条件の範囲で自由に仕事を開始できるようになっております。また、タスク方式の場合、自由に仕事を開始できますが、クライアントは成果物を随時確認して、1件ごとに承認の可否を判断し、承認した件数の分だけ報酬を支払います。コンペ・タスク方式は、不特定のランサーに仕事を依頼(発注)するモデルであるため、クラウドソーシング領域に分類されます。当該サービスにおいては、クライアントの依頼金額(流通総額)に対する当社グループの取扱手数料が、売上高として計上されております。
<Lancers(パッケージ方式)>
ビジネスカテゴリにおいて個人のスキルに基づいた商品をパッケージとして出品できる形式として、2021年11月にリリース(フルリニューアル)いたしました。スキルを350種類に細分化することで、ニーズに合わせた発注を促すとともに、マッチング精度の向上を目指します。(1)国内最大級のビジネスカテゴリ数(2)最低価格1万円(3)安心安全のサポートの3つを特徴とし、ビジネス利用を促進します。パッケージ方式は、特定のランサーに仕事を依頼(発注)するモデルであるため、オンラインスタッフィングプラットフォーム領域に分類されます。当該サービスにおいては、クライアントの依頼金額(流通総額)に対する当社グループの取扱手数料が、売上高として計上されております。
(2)マネージドサービス事業
当社グル―プが介在し案件を受託・管理する事業であり、主力サービスは「Lancers Assistant」、「Lancers Outsourcing」です。当社グループを介在し特定のランサーに仕事を依頼(発注)するモデルであるため、オンラインスタッフィングプラットフォーム領域に分類されます。
<Lancers Assistant>
クライアントによるBPOニーズもしくは定額での業務委託ニーズに対応して当社グループが厳選したフリーランスチームに一括で依頼(発注)していただけるサービスです。アシスタント業務、Web制作、資料制作、広報活動など様々な業務を依頼できる「アシスタントプラン」やWebサイトやECサイト運用、営業資料、チラシ、イラスト制作を代行する「クリエイティブプラン」があります。当該サービスにおいては、当社グループが直接契約主体となっているため、クライアントの依頼金額(流通総額)が、売上高として計上されております。
<Lancers Outsourcing>
依頼内容の要件定義ができない、適切なランサーの見つけ方が分からない等の理由で「Lancers」での直接依頼が困難なクライアントや大量・複雑な案件を一括で依頼(発注)したいクライアントに対して、当社グループが直接依頼(発注)を引き受ける法人向けのサービスです。単純なルーティン作業からクリエイティブ制作まで様々な領域の業務を当社グループが一括して受託し、当社グループが「Lancers」のサービスを用いて厳選したフリーランスに再委託しております。クライアントとランサーとの間に当社グループのディレクターが入り、要件定義から案件の体制構築、納品物のクオリティ管理まで行うため、品質を担保した制作物を作成しております。当該サービスにおいては、当社グループが直接契約主体となっているため、クライアントの依頼金額(流通総額)が、売上高として計上されております。
(3 )テックエージェント事業
当社グル―プが介在しIT人材を紹介する事業であり、主力サービスは「Lancers Agent」です。当社グループを介在し特定のランサーに仕事を依頼(発注)するモデルであるため、オンラインスタッフィングプラットフォーム領域に分類されます。
<Lancers Agent(Lancers Agent・PROsheet)>
「Lancers Agent」におけるLancers Agentは、クライアントのエンジニア、デザイナー、マーケター等の求人ニーズに対応して、フリーランス人材をエージェントを介して紹介するサービスです。クライアントとランサーとの間に当社グループのエージェントが介在し、クライアントからの業務委託内容や当該業務を再委託するランサーの要件やスキルレベルを明確にした上で、マッチングを成立させております。当該サービスにおいては、クライアントの依頼金額(流通総額)が、売上高として計上されております。
また、「Lancers Agent」におけるPROsheetは、クライアントの案件をランサーが直接受注するモデルのサービスです。そのため、クライアントと当社グループが契約した手数料(サービス利用料)が売上高として計上されております。
〈事業系統図〉
*:「Lancers Assistant」では作業者割り振りを行い、Lancers Outsourcingでは業務進行・検収を行います。
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