課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

 (1)会社の経営の基本方針

1907年の「朝日万金膏」発売以来、「サロンパス」に代表される経皮鎮痛消炎剤は、「貼る」ことで痛みやコリを治療する医薬品として、多くのお客さまにご愛用いただいています。

当社グループは、世界に誇るTDDS(経皮薬物送達システム)に基づく貼付剤の創薬・育薬と製剤技術の向上に努め、製造・販売を通じて、「世界の人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)向上を目指す」ことを経営理念とし、健やかな社会の形成に貢献してまいります。

当社グループが大事にしていく文化は、「手当て」の文化です。大切な人に手を添え、「がんばれ」、「元気になって」と、心を込めて癒やす。「手当て」に込められているのは、相手への思いやりです。それが「貼る」の原点であり、創業以来大切にしてきた、いたわりの治療文化です。相手を思いやり、やすらぎと驚きと感動を与えられる「手当て」の文化を広く世界の人々に伝えるべく、「「手当て」の文化を、世界へ。」を企業使命と定め、事業を積極的に展開してまいります。

 


 無形の貯蓄:久光製薬の「創業の精神」と位置づけ、企業価値は企業の考え方とそれに基づく行動に対する信頼であり、高い倫理観を持って歩みを続けていけば大きな支持と信頼を得ることができるという考え

 

 (2)目標とする経営指標

新型コロナウイルス感染症の拡大に端を発した急激な外部環境の変化や競争の激化を受け、社会の在り方やお客様のニーズが大きく変容しました。そこで当社は、進行中であった第6期中期経営方針を見直し、新しく認識した課題の克服と、2022年2月期(2021年度)を起点とした5ヵ年最終年度(2025年度)の目標を確実に達成すべく、2021年9月17日に「第7期中期経営方針 ~HX2025(Hisamitsu Transformation 2025)~」を発表しました。

第7期中期経営方針において、最終年度である2025年度に連結売上高のCAGR(年平均成長率)5%以上、ROE(自己資本利益率)8%以上、海外売上高比率50%以上を目標としています。新型コロナウイルス感染症の拡大による経済への影響や活動の停滞により減少した売上高を回復させると同時に、収益性を高めていくことで変革を遂げる5年間と位置付けて活動していきます。

 

 

 (3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

新型コロナウイルス感染症の収束時期等を予測することは依然として困難な状況にあります。国内需要の減少は段階的に回復するものと想定していますが、訪日外国人の大幅な減少、医療費抑制策の影響、企業間競争の激化など引き続き厳しい事業環境が続くと想定しており、当社グループでは次のように取り組んでいきます。

医療関係者への学術情報活動を一段と強化するとともに、医療関係者や患者さんのニーズに合致した新しい全身性及び局所性の貼付剤開発を目指します。また、営業、生産及び研究開発の機能を強化するとともに、収益の一層の向上を目指し、更なる成長に努めます。

国内の一般用医薬品事業につきましては、市場の低迷が長期化し企業間競争が激化する中で、当社は、既存商品の売上伸長を図るとともに、お客様のニーズにお応えできるよう商品の改良及び新商品の開発を行います。

当社は、鳥栖工場で製造する一般用医薬品において、規格に適合しない原料(着色料)を使用し製造及び製造販売したことにより、2021年8月に佐賀県から医薬品医療機器等法違反に基づく行政処分を受けました。当社では今回の行政処分を重く受け止め、お客さまをはじめとするすべてのステークホルダーの皆さまに心からお詫び申し上げますとともに、経営陣及び従業員一人ひとりが再発防止に誠心誠意努め、社会からの信頼回復に向けて全力で取り組んでまいります。

海外の事業展開につきましては、知的財産、製造技術及び品質管理技術を含めた当社ブランドの確立を図るとともに、海外生産工場の一層の充実と海外における臨床試験の強化を図ります。

特に、米国の医療用医薬品事業においては、ノーベン社を拠点とし、双方の得意な技術を融合させることで、研究開発の機能を高めるとともに製造を強化してまいります。

当社は、引き続き製薬企業としての使命と責任を自覚し、営業基盤の強化及び生産体制の拡充を図るとともに、研究開発につきましては、貼付剤に留まらない様々な新商品及びサービスの開発や、環境に配慮した商品開発及び商品改良に取り組みます。

当社グループは、医薬品などの創製・育薬・製造・販売を通じて「世界の人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)向上を目指す」を経営理念と定めています。また、当社は非連続的な変化に適応し、多様化するお客様のニーズに応えるべく企業使命を「「手当て」の文化を、世界へ。」と発展的に変更し、当社が培ってきた貼付剤技術をベースに事業活動を積極的に展開してまいります。2021年9月には、社会課題の解決及び当社が持続的な成長を遂げていくためのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。マテリアリティへの取り組みを通じて、ESG(環境・社会・ガバナンス)及びSDGs(持続可能な開発目標)を推進することで、企業としての社会的責任を果たすとともに、持続可能な社会の構築に貢献してまいります。

 

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