当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当期におけるわが国経済は、期前半は新型コロナウイルスの感染拡大は一進一退が続きました。こうした状況を受け、緊急事態宣言等が発せられた結果、各種制限により経済活動が停滞したことに加え、半導体不足や原燃料の高騰が進むなど景気の足踏み状態が見られましたが、ワクチン接種やウィズコロナが浸透し、景気は徐々に回復してきています。しかしながら、2022年の年が明けてから、再び感染力の強い変異型コロナウイルスの発現により、感染の収束が見通せない上、地政学リスクが急速に高まるなど、経済活動の正常化にはまだまだ時間を要するものと思われます。
化学工業におきましては、期を通じて堅調な半導体関連を中心に景気の持ち直しが見られるものの、原燃料価格の高騰や地政学リスクの高まりにより、引き続き予断を許さない状況にあり、当社を取り巻く外部環境の変化を注視し、対応していくことが重要であると認識しております。
こうした状況下、当社は外部環境の変化に迅速かつ的確に対応し、製品を安定的に供給することが社会的使命であるとの認識のもと、重要課題を克服・解決しながら、持続可能な社会の実現に取り組んでおります。
当期の業績状況としましては、売上高は3期連続で過去最高を記録し、前期比11.4%増の12,361百万円となり、売上高の増加並びに経費の節減等による売上原価低減により輸送費の増加を吸収でき、営業利益は前期比89.0%増の413百万円、経常利益は前期比125.2%増の397百万円と前期に比べ大幅に増加しました。しかしながら、当期純利益は前期計上した受取保険金等との差異により、前期比14.0%減の248百万円となりました。
なお、当事業年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。この結果、当期の売上高には84百万円、売上原価には55百万円、営業利益、経常利益及び税引前当期純利益には28百万円の減少分がそれぞれ含まれております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 (会計方針の変更)」をご覧ください。
製品区分別の経営成績は、次のとおりであります。
(アミノ酸関係)
医薬品、サプリメント、工業用途の輸出販売が好調であったことから、売上高は4,411百万円と、前期と比べ573百万円(14.9%)の増収となりました。
(化成品関係)
タイヤコード接着剤用原料、特殊触媒、農薬中間体の販売が増加したことにより、売上高は3,143百万円と、前期と比べ354百万円(12.7%)の増収となりました。
(医薬品関係)
国内向け一部の原薬で売上げが減少したものの、輸出用の原薬及び原薬中間体の販売が増え、売上高は4,806百万円と、前期と比べ341百万円(7.6%)の増収となりました。
輸出売上に関しましては全売上に対して46.2%を占め、5,709百万円と前年同期と比べ1,405百万円(32.7%)の増収となりました。
当期の資産合計は、21,172百万円と前事業年度末と比べ174百万円(0.8%)の増加となりました。これは主に、現金及び預金、原材料の増加と、売掛金、機械及び装置、投資有価証券の減少によるものであります。
当期の負債合計は、10,168百万円と前事業年度末と比べ116百万円(1.2%)の増加となりました。これは主に、電子記録債務、買掛金の増加と、長期借入金の減少によるものであります。
当期の純資産は、11,004百万円と前事業年度末と比べ57百万円(0.5%)の増加となりました。これは主に、繰越利益剰余金の増加と、その他有価証券評価差額金の減少によるものであります。
当期のROA(総資産営業利益率)は2.0%と、前年同期と比べ1.0%上昇しました。これは主に上記の理由による売上高の増加に伴い、営業利益が前期比増益となったことによるものであります。
(参考) ROAの推移
(注) ROA=総資産営業利益率(総資産営業利益率=営業利益/総資産額)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,856百万円となり、前事業年度末に比べ599百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は1,787百万円(前期は352百万円の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益289百万円の計上、減価償却費897百万円、仕入債務545百万円及び棚卸資産310百万円の増加と、売上債権184百万円の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は442百万円(前期は648百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出380百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少した資金は772百万円(前期は106百万円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の減少額300百万円と、長期借入金の返済による支出379百万円によるものであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※ 有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③ 生産、受注及び販売の実績
(注) 金額は販売価格によっております。
当社は受注による生産は僅かであり、主として見込み生産によっておりますので、受注及び受注残について、特に記載すべき事項はありません。
(注)1.最近2事業年度の主要な輸出、輸出販売高及び割合は、次のとおりであります。
( )は総販売実績に対する輸出高の割合であります。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであ
ります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当期の業績状況としましては、売上高は3期連続で過去最高を記録し、前期比11.4%増の12,361百万円となり、売上高の増加並びに経費の節減等による売上原価低減により輸送費の増加を吸収でき、営業利益は前期比89.0%増の413百万円、経常利益は前期比125.2%増の397百万円と前期に比べ大幅に増加しました。しかしながら、当期純利益は前期計上した受取保険金等との差異により、前期比14.0%減の248百万円となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、売上高に占める大口取引先上位10社の売上高比率は、当事業年度において66.2%(前事業年度62.2%)となっており、これらの企業との取引条件の急激な変更や契約解除等は当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
製品区分別の売上高につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
当社は安定的な経営基盤を維持するため、現行製品の用途開発、生産技術の強化向上等によりこれらの企業との引き続き良好な関係を維持するとともに、新規取引先の確保や新製品の研究開発、現有設備を使った新規事業への参入を積極的に行っております。
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、以下のとおりであります。
・営業活動により増加した資金は 1,787百万円 (前期は 352百万円 の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益289百万円の計上、減価償却費897百万円、仕入債務545百万円及び棚卸資産310百万円の増加と、売上債権184百万円の減少によるものであります。
・投資活動により減少した資金は 442百万円 (前期は 648百万円 の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出380百万円によるものであります。
・財務活動により減少した資金は 772百万円 (前期は 106百万円 の増加)となりました。これは主に、短期借入金の減少額300百万円と、長期借入金の返済による支出379百万円によるものであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、効率的な資金調達を行うため、取引銀行4行と貸出コミットメントライン契約を締結しております。(貸出コミットメントライン契約の総額1,500百万円、当事業年度末の未実行残高は700百万円。)また、当事業年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,856百万円となり、前事業年度末に比べ599百万円増加いたしました。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成に当たって重要な見積りや仮定を行う必要があります。会計方針を適用するにあたり、より重要な判断を要し財政状態及び経営成績に影響を与える項目は下記のとおりであります。
・繰延税金資産の回収可能性
当社は、繰延税金資産の回収可能性があると考えられる金額まで減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を検討するに当たっては、将来の課税所得見込み及び税務計画を検討しておりますが、繰延税金資産の取崩しが必要となる可能性があります。
お知らせ