文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。
当グループは「輪と和を通じて、より大きく社会に貢献する」を経営理念とし、「株主、社員、地域、歴史・文化、環境」重視を基本方針とする経営を推進しております。グループの中核をなす医薬品事業は「世界の人びとの健康に貢献できる独創的な医薬品を開発し提供する創薬研究開発型企業を目指す」を経営ビジョンとし、「患者さんのために」という観点から医薬品の研究開発、品質の高い医薬品製造、適正使用のための医薬情報活動、効率的な業務とトータルマーケティング体制の構築に向けて積極的に取り組んでおります。また、グループ各社は医薬品事業を補佐するとともに、その技術を活かし、国内外で事業活動を展開しております。
当社は創薬の研究開発活動を活発に展開するとともに、領域戦略に合致した製商品・開発テーマ導入等のアライアンスも積極的に行ってまいります。これら研究開発・アライアンス投資を継続的に展開することによって、一時的に業績という視点からは影響も懸念されますが、これらへの投資は将来における当社の収益構造を確立するために必要不可欠な投資であり、その過程においては、あらゆる観点から効率性を追求し収益性を改善することによって、最終的には売上高営業利益率及び自己資本利益率を向上させることを目標としております。
2年間にわたる新型コロナウイルス感染症の流行は、全世界に甚大な被害を及ぼし、社会活動に大きな影響を与えております。また、ウクライナ情勢の緊迫化に伴い、世界経済の見通しは、一層の不透明感を増しております。このような状況下で、製薬産業を取り巻く環境は、構造的変革の渦中にあり、製薬企業には、希少疾病や新興感染症、治療薬のない難治性疾患の治療や、生活の質(Quality of life)の向上におけるイノベーションが求められております。一方、新薬の研究開発は高度化、困難化し、大きな投資を必要としており、研究開発リスクはますます増大しております。世界経済の先行きが極めて不透明な中、我が国においては、人口の少子高齢化に対応した社会保障制度の再構築が進められ、医療においては国民皆保険制度を維持するため、毎年の薬価改定を始めとした薬価制度改革や、後発品使用促進策等の薬剤費抑制策が矢継ぎ早に実施されております。さらに、製薬企業のプロモーション活動は、2019年4月より適用された販売情報提供活動ガイドラインや、新型コロナウイルス感染症への対応など、新たな医薬品情報提供体制を迅速に構築する必要があります。
激変する経営環境において、当社が将来にわたって社会的使命を果たし、安定的に成長していくための第一義的課題は、医療ニーズに応じた特徴ある新薬を継続的に上市していくこと、新型コロナウイルス禍の中で安定して製商品を供給できる体制を維持すること、そして、適切な情報提供活動により必要な患者さんに適正に処方される販売体制を構築することにあります。当社は、創薬研究開発型企業としての持続的成長を成し遂げるため、2020年4月より中期5ヵ年経営計画「PEGASUS」をスタートさせ、以下の4つの課題に取り組んでおります。
① 国内売上の拡大
新製品群の育成、製商品導入による製品ラインナップの更なる拡充、臨床開発後期ステージの開発プロジェクトの推進と、希少疾病領域における情報提供・販売体制の構築による円滑な市場導入を進め、国内医療用医薬品事業の売上を拡大します。また、ヘルスケア食品事業においては、高品質な製品を提供することによって収益を拡大します。
② 海外収益基盤の強化
既存製品の海外収益を確保することに加え、リンザゴリクス(一般名、海外開発番号:OBE2109)によって新たな海外収益を獲得します。さらに、ライセンスアウトによる新たな海外収益基盤の構築を進めます。
③ 開発パイプラインの拡充
低分子にフォーカスした創薬研究を推進するとともに、領域戦略に合致したライセンスインにより、将来の安定成長を支える研究開発パイプラインを構築します。
④ 経営環境の変化に対応する経営基盤の強化
法令を遵守し、また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策を講じ、高品質な製商品の安定供給と生産性の向上に努めます。また、ステークホルダーとの良好な関係を維持するとともに、ガバナンス体制の更なる強化を図り、ESG/SDGs経営を推進します。
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