当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、本項目における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年3月29日)現在において、当社が判断したものです。
(1) 経営成績
当事業年度の医薬品業界を取り巻く事業環境は、新薬開発の難度の高まりや研究開発費の高騰、国際競争の激化等により事業リスクが増大する中で、特に国内市場においては、薬価制度の抜本改革(毎年薬価改定等)、後発品使用促進等、医療費抑制の要請の強まりにより、大変厳しいものとなりました。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、患者様の医療機関への受診抑制傾向が見られることや、医薬情報担当者(MR)の医療機関への訪問自粛等、事業活動に影響を受けました。
このような状況の下、当社では、「中期経営計画2021」※期間中の営業利益(新規事業投資(新規導入品の獲得及びM&A等を含む投資)に係る費用を除く営業利益)の黒字継続と、黒字幅の拡大を目標とし、「中期経営計画2021」の重要課題であるa.事業構造改革、b.成長戦略、c.ステークホルダーからの信頼維持に取り組んでまいりました。
※「中期経営計画2021」の総括につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
当事業年度の経営成績につきましては、以下のとおりです。
売上高は、薬価改定のほか、2020年7月に実施した佐倉工場譲渡に伴う受託製造の終了による減少があったものの、アレルゲン領域における販売数量の伸長に加え、「コレクチム軟膏(外用JAK阻害剤)」の販売を2020年6月に開始したこと等により、46,987百万円と前事業年度に比べ5,287百万円(12.7%)増加しました。
各フランチャイズ領域における主要な製品・商品の販売状況につきましては、以下のとおりです。
・腎・透析領域におきましては、「リオナ錠(高リン血症治療剤、鉄欠乏性貧血治療剤)」が6,863百万円と前事業年度に比べ355百万円(5.5%)増加し、「レミッチ(透析患者における経口そう痒症改善剤)」は薬価改定に加えて後発品の影響もあり5,058百万円と前事業年度に比べ1,306百万円(20.5%)減少しました。
・皮膚疾患領域におきましては、「アンテベート(外用副腎皮質ホルモン剤)」が薬価改定の影響により4,825百万円と前事業年度に比べ415百万円(7.9%)減少し、「コレクチム軟膏」は4,025百万円と前事業年度に比べ2,733百万円(211.7%)増加しました。
・アレルゲン領域におきましては、アレルゲン免疫療法のさらなる普及により「シダキュア スギ花粉舌下錠(アレルゲン免疫療法薬)」は 8,325百万円 と前事業年度に比べ 2,186百万円 (35.6%)増加 し、「ミティキュア ダニ舌下錠(アレルゲン免疫療法薬)」は 7,386百万円 と前事業年度に比べ 2,610百万円 (54.6%)増加 しました。
費用面におきましては、売上原価は22,649百万円と前事業年度に比べ2,687百万円(13.5%)増加し、販売費及び一般管理費は売上連動経費、新製品の発売等に伴う販売費用の増加に加え、パソコン更新等の一過性費用の発生等により19,682百万円と前事業年度に比べ2,682百万円(15.8%)増加しました。
(営業利益、経常利益、当期純利益)
以上の結果、営業利益は4,656百万円と前事業年度に比べ81百万円(1.7%)、経常利益は4,847百万円と前事業年度に比べ124百万円(2.5%)、当期純利益は3,374百万円と前事業年度に比べ120百万円(3.5%)それぞれ減少しました。
新型コロナウイルス感染症の影響により、患者様の医療機関への受診抑制傾向が見られることや、医薬情報担当者(MR)の医療機関への訪問自粛等の結果、「コレクチム軟膏」、「エナロイ錠(腎性貧血治療薬)」及び鉄欠乏性貧血の効能追加承認を取得した「リオナ錠」の立ち上がりに遅れが生じましたが、ITを活用した適正使用情報提供活動の拡充等により対応しております。なお、当事業年度の業績への影響は軽微です。
(2) 生産、受注及び販売の実績
生産実績は次のとおりです。
(注) 金額は正味販売価格換算によっており、消費税等は含まれておりません。
商品の仕入実績は次のとおりです。
(注) 金額は実際仕入価格によっており、消費税等は含まれておりません。
該当事項はありません。
販売実績は次のとおりです。
(注) 1.金額には消費税等は含まれておりません。
2.医薬品事業の販売実績には不動産賃貸収入213百万円が含まれております。
3.主な相手先別販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。
(3) 財政状態
当事業年度末の総資産は、130,810百万円と前事業年度末に比べ4,784百万円(3.8%)増加しました。流動資産につきましては、キャッシュ・マネージメント・システム預託金が4,496百万円減少しましたが、売掛金が3,060百万円、商品及び製品が1,256百万円、原材料及び貯蔵品が354百万円増加したこと等により97,292百万円と前事業年度末に比べ550百万円(0.6%)増加しました。固定資産につきましては、長期前払費用が2,155百万円、投資有価証券が1,498百万円、リース資産が389百万円増加したこと等により33,518百万円と前事業年度末に比べ4,234百万円(14.5%)増加しました。
負債につきましては、13,795百万円と前事業年度末に比べ2,859百万円(26.2%)増加しました。これは、未払法人税等が1,495百万円、買掛金が649百万円、流動負債のその他に含まれる未払消費税等が330百万円増加したこと等によるものです。
純資産につきましては、117,015百万円と前事業年度末に比べ1,924百万円(1.7%)増加しました。これは、剰余金の配当が1,348百万円、当期純利益が3,374百万円となったこと等によるものです。
当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、58,374百万円と前事業年度末に比べ3,201百万円(5.2%)減少しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益が4,767百万円、減価償却費が413百万円となりましたが、売上債権の増加額が3,052百万円、長期前払費用の増加額が2,155百万円、たな卸資産の増加額が1,610百万円となったこと等により156百万円の支出となりました。(前事業年度は3,443百万円の支出)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却及び償還による収入が18,420百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入が5,360百万円となりましたが、有価証券の取得による支出が14,900百万円、投資有価証券の取得による支出が9,376百万円となったこと等により1,498百万円の支出となりました。(前事業年度は7,625百万円の収入)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払額が1,348百万円となったことにより1,546百万円の支出となりました。(前事業年度は1,425百万円の支出)
当社の主な資金需要につきましては、製品製造に使用される原材料の調達、商品の仕入れ、営業活動で使用される財・サービス等の運転資金のほか、設備投資、持続的成長の実現に向けた新規導入品の獲得、JTとの共同開発等の戦略的投資であり、これらの必要資金は自己資金で賄っております。また、資金の流動性につきましては、運転資金、一定の戦略的投資に備えられる現預金等の流動性資産を確保しております。
なお、有価証券報告書提出日(2022年3月29日)現在における重要な資本的支出の予定はありません。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因を考慮して見積りを行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。詳細については、「第5 経理の状況 1財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)、(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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