(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社3社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 経営成績及び財政状態の概要
当社グループでは、提携企業からの契約一時金、マイルストーンを研究開発事業収益に計上しております。HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の販売収入につきまして製品売上高に計上しております。4月に開設したアンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(以下ACRLといいます。旧:衛生検査所)において希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査を実施しており、手数料収入に計上しております。
この結果、当連結会計年度における事業収益は64百万円(前期比24百万円(+60.4%)の増収)、経常損失は135億88百万円(前年同期の経常損失は66億18百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は136億75百万円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は42億9百万円)となっております。
財政状態につきましては、当連結会計年度末の総資産は454億55百万円(前連結会計年度末比71億1百万円の増加)となりました。現預金は新株予約権の行使等により178億99百万円(前連結会計年度末比63億62百万円の増加)となりました。負債は68億21百万円(前連結会計年度末比11億46百万円の増加)となりました。純資産は386億34百万円(前連結会計年度末比59億55百万円の増加)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ62億98百万円増加し、178億35百万円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、113億80百万円(前年同期は29億61百万円の減少)となりました。のれん償却費を24億7百万円、投資有価証券評価損を1億79百万円計上し、また、仕入債務が1億98百万円、前受金が15億25百万円それぞれ増加しましたが、税金等調整前当期純損失137億35百万円に加え、為替差益を5億13百万円計上し、前渡金が6億53百万円増加、未収消費税等が1億39百万円増加、未払金が6億55百万円減少しております。その結果、前年同期と比べ、84億19百万円の支出増加となっております。
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1億54百万円(前年同期は69億63百万円の減少)となりました。Emendo社における拘束性預金への預け入れにより、拘束性預金の預け入れによる支出が60百万円発生しております。研究所の増床等により、有形固定資産の取得による支出80百万円、敷金及び保証金の差入による支出が17百万円発生しております。
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、173億78百万円(前年同期は114億3百万円の増加)となりました。新株予約権の発行による収入が98百万円発生しております。新株予約権の行使による株式の発行による収入が172億80百万円発生しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、ACRLにおいて新生児オプショナルスクリーニング検査が開始したことによるものであります。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、ACRLにおいて新生児オプショナルスクリーニング検査が開始したことによるものであります。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表及び注記事項等の作成上、必要な会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、創薬系ベンチャーとして、次世代のバイオ医薬品である遺伝子医薬(DNAプラスミド製剤、核酸医薬)や治療ワクチンなどの医薬品開発と製造販売の事業を推進しております。
当連結会計年度において、国内の慢性動脈閉塞症における潰瘍に対する条件及び期限付き製造販売承認を取得しているHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の販売を継続し、さらに同製品の適応拡大を目的として安静時疼痛に対する第Ⅲ相臨床試験を実施し、米国においては2020年2月より下肢潰瘍を有する慢性動脈閉塞症を対象とした後期第Ⅱ相臨床試験を開始いたしました。NF-κBデコイオリゴDNAにつきましては椎間板性腰痛症に対する後期第Ⅰ相臨床試験を実施し、安全性が確認され、患者の腰痛に対し著しい軽減とその効果の持続が認められ、有効性も確認できました。また高血圧DNAワクチンについては第Ⅰ相/前期第Ⅱ相臨床試験を海外で進めておりますが、投与後の経過観察期間を経て、初期の試験結果の評価を行い、安全性に問題がないこと、アンジオテンシンⅡに対する抗体産生を認めました。
また、2020年3月より新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンの開発を開始し、第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を国内で進めております。また、カナダのVasomune社と共同開発しているAV-001を2020年12月より新型コロナウイルス感染症治療薬として健康成人を対象として米国において第Ⅰ相臨床試験を実施し、安全性と忍容性を認め、良好な結果を確認しました。引き続き、第Ⅱ相臨床試験を開始しております。
これらの既存プロジェクトに加え、ゲノム創薬を推進するため、新規ゲノム編集技術と開発パイプラインを有するEmendo社を子会社化し、戦略的提携先との共同開発や他社への資本参加等による開発品パイプライン拡充により、“遺伝子医薬のグローバルリーダー”を目指してまいります。
2020年12月に子会社化したEmendo社の業績は当連結会計年度より連結損益計算書に含めております。
当連結会計年度の事業収益は64百万円(前年同期比24百万円(+60.4%)の増収)となりました。当社グループでは、HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の販売収入につきまして、製品売上高に計上しております。4月に開設したACRLにおいて希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査を実施しており、手数料収入に計上しております。当連結会計年度において、製品売上高34百万円(前年同期比5百万円(△13.3%)の減収)、手数料収入29百万円(前年同期比29百万円の増収)を計上いたしました。
当連結会計年度における事業費用は、156億96百万円(前年同期比100億56百万円(+178.3%)の増加)となりました。
売上原価は、56百万円(前年同期比33百万円(+146.4%)の増加)となりました。当連結会計年度より、ACRLにおける希少遺伝性疾患検査オプショナルスクリーニングの売上原価を計上しております。
研究開発費は107億83百万円(前年同期比69億87百万円(+184.1%)の増加)となりました。当連結会計年度において、主に新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンの原材料を臨床試験及び非臨床試験へ使用したことにより、研究用材料費が17億91百万円増加しております。新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンの臨床試験及び非臨床試験の進展により、外注費が32億27百万円増加しております。新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンの研究用試薬・消耗品、ACRL開設に伴う測定機器・試薬等の購入及びEmendo社における研究所設備等の計上により、消耗品費が2億71百万円増加しております。主にEmendo社を連結子会社化したことにより、給料手当が5億56百万円増加しております。当社グループのような研究開発型バイオベンチャー企業は先行投資が続きますが、提携戦略などにより財務リスクの低減を図りながら、今後も研究開発投資を行っていく予定です。研究開発の詳細については、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 5 研究開発活動」をご参照ください。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は48億55百万円(前年同期比30億35百万円(+166.8%)の増加)となりました。今期よりEmendo社買収に伴うのれん償却費24億7百万円が発生したことに加え、主にEmendo社に関連する弁護士等専門家及びコンサルタントへの報酬が増加したことにより、支払手数料が1億19百万円増加したこと等によります。
この結果、当連結会計年度の営業損失は156億32百万円(前年同期の営業損失は55億99百万円)となり、前年同期より100億32百万円損失が拡大しております。
当連結会計年度の経常損失は、135億88百万円(前年同期の経常損失は66億18百万円)となりました。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)より採択された「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」に関して、すでに入金が行われ前受金に計上しておりましたが、令和2年度末検査結果通知を受けたことから、13億99百万円を前受金から補助金収入に振替えております。また、Vasomune社が米国及びカナダにおいて獲得した助成金について、1億円を当社開発費負担分に応じて受領し、補助金収入に計上しております。外貨預金及びEmendo社への貸付金の評価替に伴い、為替差益が5億99百万円発生しております
新株予約権の発行及び行使に伴う株式交付費が96百万円発生し、前年同期に比べ21百万円減少しております。前年同期において、Emendo社を持分法適用会社としたことに伴い持分法による投資損失9億9百万円を計上しておりましたが、当期においてEmendo社を持分法適用範囲から除外したことに伴い発生しておりません。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、136億75百万円(前年同期の親会社株主に帰属する当期純損失は42億9百万円)となりました。ストック・オプションの権利行使期間終了による権利失効に伴い、新株予約権戻入益が32百万円発生しております。Barcode Diagnostics Ltd.(以下Barcode社といいます。)株式等を減損したことにより、投資有価証券評価損が1億79百万円発生しております。
当連結会計年度末の総資産は454億55百万円(前連結会計年度末比71億1百万円の増加)となりました。新株予約権の発行及び行使に伴う174億74百万円の入金はありましたが、当期事業費用への充当により、現金及び預金は63億62百万円増加し、178億99百万円となりました。新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンの製造費用等を前払いしたことにより前渡金が6億53百万円増加しております。流動資産は72億59百万円増加し、214億26百万円となっております。
固定資産においては、のれんの償却による24億7百万円の減少の一方、円安に伴う為替換算等23億69百万円の増加により、のれんが38百万円減少して226億75百万円となりました。Barcode社株式等の評価損により、投資有価証券が1億96百万円減少しております。固定資産は1億58百万円減少し、240億29百万円となっております。
当連結会計年度末の負債は68億21百万円(前連結会計年度末比11億46百万円の増加)となりました。前年度の費用の支払により、未払金が5億94百万円減少しております。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)より採択された「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」及び厚生労働省より採択された「ワクチン生産体制等緊急整備事業」に関する助成金が入金され、前受金が15億25百万円増加しております。
純資産は386億34百万円(前連結会計年度末比59億55百万円の増加)となりました。新株予約権の行使により、資本金及び資本剰余金をそれぞれ87億47百万円計上しております。親会社株主に帰属する当期純損失136億75百万円を利益剰余金に計上しております。2021年3月30日開催の第22期定時株主総会において、資本準備金及び利益準備金の額の減少並びに剰余金の処分について決議し、資本準備金を158億84百万円減少、繰越利益剰余金を158億84百万円増加させ、欠損の填補に充当いたしました。これらにより、当連結会計年度において資本金が87億47百万円増加、資本剰余金が70億75百万円減少、利益剰余金が22億8百万円増加しております。ストック・オプションの権利行使及び権利行使期間終了により、新株予約権が53百万円減少しております。のれんに係る為替換算により、為替換算調整勘定が21億50百万円増加しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における資金需要は、プロジェクト推進のための研究開発費需要と会社運営のための運転資金需要があります。これらの資金需要に対して、主に新株予約権によるエクイティファイナンスによって資金調達を行っております。
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