当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策による緊急事態宣言の発出や各自治体によるまん延防止等重点措置の実施が繰り返し行われたことや世界情勢の悪化等による半導体供給不足やエネルギー価格上昇等の影響があり、引き続き予断を許さない状況となっております。
こうした状況のもと、当社グループの業績につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも当社グループ独自の技術を活用した抗体関連製品群が販売を伸ばし、前年の業績を上回ることが出来ました。その結果、連結売上高は647,576千円(前年同期比7.4%増)となりました。営業損益につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を踏まえ、国内外の出張を抑制したこと等により営業諸経費が減少したことや遺伝子組換えカイコ開発事業における研究開発の選択と集中等により販売費及び一般管理費が減少いたしました。その結果、営業損失は122,219千円(前年同期は240,984千円の営業損失)となりました。また営業外損益につきましては、持分法による投資損失152,733千円を計上した一方、保険解約返戻金23,083千円を計上したこと等により、経常損失は243,472千円(前年同期は310,511千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は258,767千円(前年同期は318,827千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。なお、当期より報告セグメントの区分を変更しております。
※遺伝子組換えカイコ開発事業は、研究開発のコスト管理を行っている事業のため、売上高はありません。
<抗体関連事業>
当事業の売上高は、以下のとおりです。
・診断試薬サービスにおいては、新型コロナウイルス感染症の影響があるものの、企業や大学等における研究開発活動が活発となってきたこと、また、eマーケティング(SNS等)を活用した販促活動を進めてきた結果、主力のEIA測定キットや抗体は、国内外からの受注が順調に推移し、販売が増加しております。また、動物用体外診断用医薬品の牛海綿状脳症測定キット(BSEキット)の販売が前年に比べ減少した一方、IBL-International向けアミロイドβ診断薬の原料販売が増加いたしました。その結果、当サービスにおける売上高は前年を上回ることが出来ました。
・検査サービスにおいては、計画していた自由診療への展開が新型コロナウイルス感染症の影響により停滞いたしましたが、検査センターの新規立ち上げにより、自社キットを用いた検査受託サービスのニーズをとらえ、売上高増加となりました。また、2021年11月1日付で株式会社スカイライト・バイオテック(SLB社)を吸収合併し、「LipoSEARCH」を始めとするSLB社が行ってきたサービスを一元管理できるようになり、当社代理店ネットワークを活用し、当該SLB社サービスの販売活動を拡充しております。その結果、当サービスの売上高は、前年に比べ増加いたしました。
・TGカイコサービスにおいては、培養足場材として用いる研究用試薬の販売が増加したことにより、売上高は前年に比べ増加いたしました。
以上により、当事業の売上高は、前年に比べ増加いたしました。営業損益につきましては、体外診断用医薬品及び体外診断用医薬品原料の開発に注力しているため、開発費は増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策により、国内外の出張諸経費が抑制されたことや、SLB社との吸収合併により人的、物的資源の効率化等で経費が減少いたしました。その結果、営業損失は前期に比べ大幅に改善することができました。
<遺伝子組換えカイコ開発事業>
当事業は、遺伝子組換えカイコの繭から生産する抗体やタンパク質の生産コストの低減を事業化の課題とし、当該課題の基礎研究に集中しております。研究開発費については、GMP準拠による医薬品原料の生産を中止し、基礎研究に集中することにより前年に比べ大幅に減少しております。
<化粧品関連事業>
当事業の売上高は、「ネオシルク ® -ヒト型コラーゲンⅠ」配合化粧品「フレヴァン」シリーズにつきまして、国内通信販売の売上は前年同期と比較し減少いたしましたが、欧州市場への販売が計上されました。また、中国市場へのBtoB販売につきましては、コロナ禍における規制やロックダウン等の問題により直接現地代理人との情報交換ができず、目途がついておりません。その結果、当事業の売上高は、前年に比べ微減となりましたが、営業損失は、経費抑制に努め、若干の改善となりました。
② 財政状態
・ 流動資産
当連結会計年度における流動資産の残高は、前連結会計年度と比較して0.4%増の1,129,786千円となりました。この主な要因は、現金及び預金が95,836千円減少した一方、関係会社等への貸付により流動資産の「その他」が110,109千円増加したこと等によるものであります。
・ 固定資産
当連結会計年度における固定資産の残高は、前連結会計年度と比較して19.3%減の575,552千円となりました。この主な要因は、持分法による投資損失等の計上により投資有価証券が114,262千円減少したこと等によるものであります。
・ 流動負債
当連結会計年度における流動負債の残高は、前連結会計年度と比較して57.3%増の228,083千円となりました。この主な要因は新規借入により短期借入金が105,000千円増加したこと等によるものであります。
・ 固定負債
当連結会計年度における固定負の残高は、前連結会計年度と比較して70.8%増の108,907千円となりました。この主な要因は、新規借入等により長期借入金が45,990千円増加したこと等によるものであります。
・ 純資産
当連結会計年度における純資産の残高は、前連結会計年度と比較して16.0%減の1,368,348千円となりました。この主な要因は、「親会社株主に帰属する当期純損失」258,767千円の計上等により減少となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度に比べ102,837千円減少し449,184千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により支出した資金は93,204千円(前年は194,145千円の支出)となりました。
この主な要因は、資金支出項目ではない持分法による投資損失152,733千円といった資金増加要因があった一方、税金等調整前当期純損失250,142千円を計上したことによるもの等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は155,629千円(前年は17,233千円の支出)となりました。
この主な要因は、関係会社貸付による支出140,000千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は143,998千円(前年は216,000千円の支出)となりました。
この主な要因は、長期借入金の返済による支出21,002千円があったものの、短期借入金の純増減額105,000千円及び長期借入による収入が60,000千円等によるものであります。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
当社グループは、主として見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の分析
当社グループは抗体関連事業、遺伝子組換えカイコ開発事業及び化粧品関連事業により構成されており、当連結会計年度の当社グループの業績の分析につきましては、次のとおりであります。
抗体関連事業は、当社の創業以来の基幹事業であり、製薬企業や医療関係の大学研究所等に対し、研究用試薬や体外診断用医薬品等の製造販売や抗体関連の受託サービス、医薬品原料のシーズ開発、TGカイコサービスさらに検査サービスを行っており、その技術力については顧客からの信頼をいただいております。しかしながら、当社の事業基盤である研究用試薬や受託サービスを展開している国内市場は、その規模に比して競合他社が多数存在し、将来的な収益の伸張に限界があり、また、研究者のテーマにより需要が不安定な要素があります。さらに、体外診断用医薬品や医薬品原料シーズの開発は、資金と時間がかかることが想定されます。そのような状況のなか、コロナ感染症の影響を受けつつも抗体関連製品群が販売を伸ばし、主力のEIA測定キットや抗体の販売は、前年比で大きく増加となっております。一方、動物用体外診断用医薬品の牛海綿状脳症測定キット(BSEキット)の販売が減少いたしました。TGカイコサービスにつきましては培養足場材として用いる研究用試薬の販売が増加したことから前期比では大幅な増加となっております。また、検査サービスにつきましては主力のLipoSEARCHをはじめとするサービスが同サービスを展開していた子会社であった㈱スカイライト・バイオテックを吸収合併しサービスのラインナップの一元管理化の効果があり前期比で増加となっております。
遺伝子組換えカイコ開発事業につきましては、販売は行っておらず、カイコの繭から生産される抗体やたんぱく質の生産コストを低減することを課題としており、当該課題克服をテーマに基礎研究を行っております。従前はGMP準拠による医薬品原料の生産を目標としておりましたが、基礎研究に主眼を置いた取り組みとしたことで、研究開発費が減少しております。
化粧品関連事業につきましては、国内において、市場は大きいものの競合他社が多数存在し、当事業の製品「フレヴァン」シリーズの優位性をアピールするためには広告宣伝費が膨大にかかるため、日本製品の安全性を前面にアピールできる海外販売に集中しております。国内市場の通信販売は前年同期と比較し減少しましたが、欧州への売上が計上されました。一方、中国への販売につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大等の影響により現地代理人との情報交換ができておりません。その結果、当事業の販売は前期比で減少となっております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源、資金の流動性に係る情報
当連結会計年度においては、売上高が前期と比較し増加、遺伝子組換えカイコ開発事業における研究項目の選択と集中や抗HIV抗体等に係る研究開発費や大きな固定資産の購入もなかったことから販売費及び一般管理費の支出は大きなものではありませんでした。一方、関連会社への運転資金の供与のため貸付金の支出が140,000千円ありました。
資本の財源については、自己資金で賄うことを基本としておりますが、状況に応じて金融機関からの借入や新株発行による増資(新株予約権の行使によるものも含む)等によるものも考慮に入れております。
資金の流動性については、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローが93,204千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが155,629千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが143,998千円の獲得でありますが、現金及び現金同等物の期末残高は449,184千円であり、各キャッシュ・フローの規模等を勘案し、十分な手元流動性を確保しているものと考えております。
翌連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、運転資金での支出が主なものであり、重要な設備投資は予定しておりませんので、先に述べましたとおり、現金及び現金同等物で十分賄える見込みであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、持分法適用会社である株式会社CUREDの主要な事業である抗HIV抗体の実用化に向けた研究開発は、概ね計画通りに進行しております。
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