業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

a. 経営成績

日本の再生医療業界においては、2014年11月に施行された再生医療安全性確保法及び改正薬事法によって、再生医療の産業促進化が進むなか、2021年には過去最多となる5品目が再生医療等製品としての製造販売承認を取得しました。また、米国においては、2016年12月に可決された21st Century Cures Act(21世紀治療法)のもと、重篤な疾患の治療を目的とした再生医療製品の迅速承認を可能とするRMAT(Regenerative Medicine Advanced Therapy)指定制度が設けられ、2021年にはRMAT指定品目として初のBLA(Biologics License Application)承認取得を含むRMAT指定3品目がBLA承認を取得しました。このように、2021年は日本及び米国において再生医療の実用化が大きく進みました。

このような環境のもと当社グループは、アンメット・メディカルニーズが高い中枢神経系疾患を主な対象とし、当社グループ独自の再生細胞薬SB623の事業化を目指して、研究開発を進めました。

SB623慢性期外傷性脳損傷プログラムについては、日本を含む国際共同フェーズ2臨床試験(被験者61名)にて、2018年11月に「SB623の投与群は、コントロール群と比較して、統計学的に有意な運動機能の改善を認め主要評価項目を達成。」という良好な結果を得て、2019年4月には、国内で厚生労働省より再生医療等製品として先駆け審査指定制度(注)の対象品目の指定を受けました。当社は、当該指定以降、先駆け審査指定制度の枠組みにおいて、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との協議を進め、2022年1月に先駆け総合評価相談を終了し、2022年3月に当社初となる国内での再生医療等製品製造販売承認申請(以下、「承認申請」)を完了しました。

慢性期外傷性脳損傷プログラムの良好な結果を受けて開始した慢性期脳出血プログラムについては、国内における臨床試験の開始に向けた取り組みを進めています。

SB623慢性期脳梗塞プログラムについては、主要評価項目未達となった米国でのフェーズ2b臨床試験(被験者163名)の追加解析結果を踏まえて、国内における臨床試験の開始に向けた取り組みを進めています。

このような状況のなか、当連結会計年度は、SB623慢性期外傷性脳損傷プログラムの承認申請に向けた製造関連の費用が主なものとなり、研究開発費4,955百万円を計上した結果、営業損失は6,620百万円(前連結会計年度は営業損失5,801百万円)、また、為替相場の変動による為替差益が発生したため、営業外収益として為替差益1,961百万円を計上したことにより、経常損失は4,579百万円(前連結会計年度は経常損失6,530百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は4,677百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失3,385百万円)となりました。

なお、当社グループは他家幹細胞を用いた再生細胞事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績記載を省略しています。

 

(注)先駆け審査指定制度は、2014年6月に厚生労働省における「世界に先駆けて革新的医薬品等の実用化を促進するための省内プロジェクトチーム」において発表された「先駆けパッケージ戦略」に基づき、創設された制度であり、世界に先駆けて日本で開発され、早期の治験段階で著明な有効性が見込まれる革新的な医薬品について、優先審査し、早期の承認を目指すものです。優先審査における承認申請から承認までの総審査期間の目標は、6カ月とされています。

 

 

b. 財政状態

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産の残高は、5,351百万円(前連結会計年度末は13,131百万円)となり、前連結会計年度末に比べて7,780百万円減少いたしました。これは、現金及び預金が7,923百万円減少したことが主な要因であります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末の固定資産の残高は、159百万円(前連結会計年度末は211百万円)となり、前連結会計年度末に比べて52百万円減少いたしました。これは、有形固定資産が83百万円減少したことが主な要因であります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債の残高は、1,463百万円(前連結会計年度末は2,468百万円)となり、前連結会計年度末に比べて1,005百万円減少いたしました。これは、短期借入金が500百万円、1年内返済予定の長期借入金が462百万円減少したことが主な要因であります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末の固定負債の残高は、2,012百万円(前連結会計年度末は2,525百万円)となり、前連結会計年度末に比べて512百万円減少いたしました。これは、長期借入金が512百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、2,035百万円(前連結会計年度末は8,349百万円)となり前連結会計年度末に比べて6,314百万円減少いたしました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失4,677百万円の計上、為替換算調整勘定が1,752百万円減少したことが主な要因であります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、4,557百万円(前連結会計年度末は12,480百万円)となり、前連結会計年度末に比べて7,923百万円減少いたしました。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動に使用した資金は6,546百万円(前連結会計年度は5,215百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失4,560百万円、法人税等の支払額187百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動に使用した資金は66百万円(前連結会計年度は4,180百万円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出41百万円、無形固定資産の取得による支出14百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動に使用した資金は1,495百万円(前連結会計年度は56百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の減少額500百万円、長期借入金の返済による支出975百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b. 受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c. 販売実績

該当事項はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、今般発生している新型コロナウィルス感染症の流行が、会計方針及び見積り並びに経営成績等に与えた影響は軽微でありました。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表において、損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産の残高は、5,351百万円(前連結会計年度末は13,131百万円)となり、前連結会計年度末に比べて7,780百万円減少いたしました。これは、現金及び預金が7,923百万円減少したことが主な要因であります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末の固定資産の残高は、159百万円(前連結会計年度末は211百万円)となり、前連結会計年度末に比べて52百万円減少いたしました。これは、有形固定資産が83百万円減少したことが主な要因であります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債の残高は、1,463百万円(前連結会計年度末は2,468百万円)となり、前連結会計年度末に比べて1,005百万円減少いたしました。これは、短期借入金が500百万円、1年内返済予定の長期借入金が462百万円減少したことが主な要因であります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末の固定負債の残高は、2,012百万円(前連結会計年度末は2,525百万円)となり、前連結会計年度末に比べて512百万円減少いたしました。これは、長期借入金が512百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、2,035百万円(前連結会計年度末は8,349百万円)となり前連結会計年度末に比べて6,314百万円減少いたしました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失4,677百万円の計上、為替換算調整勘定が1,752百万円減少したことが主な要因であります。

 

b. 経営成績の分析

(営業損益)

当連結会計年度における営業損失は、研究開発費4,955百万円、その他の販売費及び一般管理費1,665百万円の計上により、6,620百万円(前連結会計年度は営業損失5,801百万円)となりました。

 

(経常損益)

当連結会計年度における経常損失は、営業外収益として為替相場の変動による為替差益1,961百万円の計上により、4,579百万円(前連結会計年度は経常損失6,530百万円)となりました。

 

 

 

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は4,677百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失3,385百万円)となりました。

 

c. キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

d. 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」をご参照ください。

 

e. 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社は、再生細胞薬SB623の製品化の実現に向けて、先行して研究開発に資金を充当しています。当連結会計年度は、SB623慢性期外傷性脳損傷プログラムの承認申請に向けた製造関連の費用が主なものとなり、研究開発費4,955百万円を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローは、6,546百万円の支出となりました。また、主に銀行借入の返済により、財務活動によるキャッシュ・フローは、1,495百万円の支出となりました。これらが資金の主な動きとなり、その結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、4,557百万円となりました。

 

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