[用語集]
※1 臨床試薬とは、血液や尿など人に由来する試料を検体として、検体中のタンパクや酵素の含有濃度の測定及びウイルスなどの感染性病原体の有無の検出に用いる検査薬をいいます。
※2 Feテストとは、血清中の鉄成分を測定する検査薬であり、鉄欠乏性貧血の有無を検査します。
※3 臨床試薬は、1985年の薬事法改正で規制範囲が明確化され、体外診断用医薬品と呼ばれております。体外診断用医薬品は、製造販売業としての許可を受けた者が製造販売を行うことができ、また、販売する体外診断用医薬品についても品目ごとに承認、認証または届出を必要とします。
※4 免疫とは、外部から侵入してくる細菌やウイルスに対して体内が抵抗する働きのことで、この免疫反応が引き起こされると作られる抵抗物質が抗体です。免疫血清検査薬とは、この抗体、細菌及びウイルスの有無や量を調べる検査薬で、B型肝炎やC型肝炎の感染を診断したり、輸血の際、適合不適合の判定などに使用されます。また、インフルエンザなどのウイルスや細菌による感染を迅速診断するPOCT検査薬も免疫血清検査薬の分類になります。
※5 HBs抗原検出用キットとは、急性肝炎や肝硬変、肝臓がんへと進展する慢性肝炎を引き起こすB型肝炎ウイルス(HBV)への感染の有無を調べる検査薬です。
※6 免疫学的糞便中ヒトヘモグロビン・ヒトトランスフェリン検出用キットとは、便の中にある微量の血液を見つけるための検査薬です。免疫学的な検出法によっているため、食物の肉汁中の血液や鉄剤の影響を受けず、食事制限を要しません。また、ヒトヘモグロビンは腸内で失活しやすい成分ですが、失活の少ないヒトトランスフェリンを同時に検出することで消化管出血を見逃すことなく検出することが可能です。
※7 POCT(Point Of Care Testing)検査薬とは、「患者の身辺での検査」、病院での「ベットサイド検査」という定義がなされており、一般的には、開業医、専門医の診察室、病棟及び外来患者向け診療所などの患者に近い医療現場で使用されます。なお、POCT検査薬には専用の装置を用いるものもあります。
※8 一般消費者向けに一般用医薬品を販売している店舗を大別すると、薬剤師がいて、処方箋により調剤ができる調剤室を設置し、医療用医薬品の販売もできる「薬局」と、薬剤師または登録販売者がいて、一般用医薬品の販売のみ行っている「薬店」(店舗販売業ともいいます)に分けられます。
※9 妊娠検査薬とは、妊娠の有無を判定する目的で尿中内のhCG(ホルモン)を検出する検査薬です。
※10 イムノクロマト法とは、被検体が標識された抗体を溶解しながら「セルロース膜」上をゆっくりと流れる性質(毛細管現象)を応用した免疫測定法です。「検体中の抗原」は、検体滴下部にあらかじめ準備された金属コロイド等で「標識された抗体」(標識抗体)と「免疫複合体」を形成しながら「セルロース膜」上を移動し、「セルロース膜」上にあらかじめ用意された「固相抗体」に免疫複合体がトラップされ呈色し、それを目視により判定します。妊娠の診断やインフルエンザなどの感染症診断等で応用されています。
<原理>
※11 HCV抗体検出用キットとは、肝炎ウイルスの一つであるC型肝炎ウイルス(HCV)の検査薬です。HCVの感染初期は、自覚症状がなく肝機能も正常であることがほとんどですが、血液中にHCV抗体が作られます。このHCV抗体を測定することにより、C型肝炎への感染の有無を調べることができます。
※12 OTCとは、英語の「Over The Counter:オーバー・ザ・カウンター」の略で、カウンター越しに医薬品を販売するかたちに由来しています。病院などで主に医師が処方する医薬品を医療用医薬品というのに対し、薬局・薬店、ドラッグストアなどで販売される医薬品をOTC医薬品といい、法律上では一般用医薬品と表現されています。
※13 インフルエンザ抗原検出用キットとは、鼻やのど等の分泌液中のインフルエンザウイルスを検出する検査薬です。患者の鼻やのどの粘液を綿棒で採取した検体を用いて検査します。診療の場で検査ができ、10分程度で検査結果が分かるため、検査結果が陽性であった場合は、直ちに抗インフルエンザ薬が処方されます。
※14 ISO13485は、医療機器の品質保証のための国際標準規格です。
『Medical devices-Quality management systems-Requirements for regulatory purposes』(医療機器-品質マネジメントシステム-規制目的のための要求事項)と題されています。ISO13485は、ISO9001:2000(品質マネジメントシステムの国際規格)の一部の要求事項を省略し、医療機器に関する固有の要求事項を付加したものです。
※15 ノロウイルス抗原検出用キットとは、主に冬季を中心に発生し、感染性胃腸炎などを引き起こすノロウイルス抗原を検出する検査薬です。患者の糞便や直腸から採取した検体を用いて検査します。診療の場で検査ができ、10分程度で結果が分かります。発症早期にノロウイルス抗原を検出して適切な治療や感染防止対策をとることにより、二次感染や集団感染を引き起こすリスクを軽減することができます。
※16 ロタウイルス及びアデノウイルス抗原検出用キットとは、3歳以下の乳幼児の感染性胃腸炎の原因となるロタウイルス抗原及びアデノウイルス抗原を検出する検査薬です。診療の場で検査ができ、5分程度で結果が分かります。発症早期にロタウイルス抗原及びアデノウイルス抗原を検出して適切な治療や感染防止対策をとることにより、二次感染や集団感染を引き起こすリスクを軽減することができます。
※17 RSウイルス及びアデノウイルス抗原検出用キットとは、主に小児の呼吸器感染症の原因となるRSウイルス抗原及びアデノウイルス抗原を検出する検査薬です。患者の鼻やのどの粘液を綿棒で採取した検体を用いて、RSウイルス抗原及びアデノウイルス抗原を同時に検査することができます。診療の場で検査でき、15分程度で検査結果が分かるため、院内での水平感染の防止や適切な治療を行うことができます。
※18 排卵日(予測)検査薬とは、尿中の黄体化ホルモン(LH)を測定する検査薬です。排卵直前に尿中の黄体化ホルモンを測定することにより、排卵日がある程度予測できます。
※19 肺炎球菌尿中抗原検出用キットとは、肺炎を起こす病原体として最も多い肺炎球菌感染時に、尿中に排泄される肺炎球菌抗原を検出する検査薬です。肺炎の治療においては、有効な治療薬を選択するために、原因菌の鑑別が最も重要となります。市中肺炎診療ガイドラインでは、迅速な抗原検査が推奨されており、肺炎球菌の診断においては、尿中抗原を検出対象としたイムノクロマト法による迅速検査が有用とされています。診療の場で検査ができ、付属のスポイトで尿を滴下するだけの簡便な1ステップ操作により、反応時間10分で結果が分かります。迅速・簡易・高感度で特異性が高い検査薬として、有症者の治療方針の決定及びハイリスク患者の感染管理に用いることができます。
※20 ヒトメタニューモウイルス抗原検出用キットとは、小児を中心とした急性呼吸器感染症の原因となるヒトメタニューモウイルス抗原を検出する検査薬です。小児呼吸器感染症の5~10%はこのウイルスによるものとされており、一度の感染では十分な免疫が獲得できず、再感染を繰り返し、軽症化すると考えられています。免疫力の弱い乳幼児や高齢者、免疫不全状態の白血病や臓器移植患者などでは重症の下気道感染症をきたすことが報告されています。当検査キットは、診療の場で検査でき、10分で検査結果が分かります。迅速・簡易・高感度で特異性が高い検査薬として、有症者の検査及びハイリスク患者の感染管理に用いることができます。
※21 RSウイルス及びヒトメタニューモウイルス抗原同時検出用キットとは、主に小児の呼吸器感染症の原因となるRSウイルス抗原及びヒトメタニューモウイルス抗原を同時に検出する検査薬です。RSウイルスは2歳までの幼児期にほとんどが罹患し、生後数週間から数ヶ月の期間に最も重篤な症状を引き起こします。また、乳幼児だけでなく、高齢者や心臓や肺に疾患のある患者、免疫力が低下している人でも重症化し入院・死亡する例が報告されています。当検査キットは、診療の場で検査でき、10分で検査結果が分かります。迅速・簡易・高感度で特異性が高い検査薬として、有症者の検査及びハイリスク患者の感染管理に用いることができます。
※22 マイコプラズマ抗原検出用キットとは、マイコプラズマ肺炎の原因となるマイコプラズマ・ニューモニエ抗原を検出する検査薬です。患者ののどの粘液を綿棒で採取した検体を用いて検査します。診療の場で検査ができ、10~15分程度で結果が分かります。発症早期にマイコプラズマ・ニューモニエ抗原を検出することで、感染患者への適切な投薬等ができ、感染患者の家族間など濃厚な接触による感染拡大や集団感染を防止することができます。
※23 滲出液(しんしゅつえき)とは、細菌やウイルスの感染によって炎症を起こした際に、毛細血管の拡張により血管外の病巣に出てくる血液成分や組織液のことをいいます。
※24 尿中の肺炎球菌抗原及びレジオネラ抗原同時検出用キットとは、肺炎を起こす病原体として最も多い肺炎球菌感染時に尿中に排泄される肺炎球菌抗原及び、温泉や循環式浴槽などから環境感染菌として感染し劇症型の肺炎をきたすレジオネラ感染時に尿中に排泄されるレジオネラ抗原を、同時に検出する検査薬です。診療の場で検査ができ、付属のスポイトで患者の尿を滴下するだけの簡便な1ステップ操作により、10分程度で肺炎球菌及びレジオネラ抗原を同時に検出することができます。これにより、感染患者に対する迅速な治療方針の決定や適切な投薬を行うことができます。
※25 マイコプラズマ核酸検出キットとは、マイコプラズマ肺炎の原因となるマイコプラズマ・ニューモニエを形成している遺伝子を検出する検査薬です。マイコプラズマ抗原検出キットと同様、患者ののどの粘液を綿棒で採取した検体を用いて検査しますが、下部の呼吸器疾患であり感染部位は肺臓器であるため、のどなどにはわずかな量しか存在していません。当検査キットはマイコプラズマ・ニューモニエの遺伝子を数百万倍に増幅して検出しますので、マイコプラズマ・ニューモニエがわずかしか存在していない状態や初期の感染においても捕えることができます。診療の場で検査ができ、検体をカートリッジに滴下するだけの1ステップ操作で、専用の遺伝子POCT検査装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」を用いて測定を行い、30~50分程度で結果が分かります。マイコプラズマ抗原検査と比べて、さらに早期また確実にマイコプラズマの感染を診断することにより、患者への適切な投薬による治療が可能となります。
※26 ヘリコバクター・ピロリ抗原検出キットとは、胃・十二指腸潰瘍のみならず胃がんの原因となるヘリコバクター・ピロリ菌を検出する検査薬です。患者の糞便検体を用いて検査します。ピロリ菌の検査には、胃の内視鏡検査時に採取する胃の粘膜を検体として実施する培養法や染色法などの生検検査がありますが、被検者に負担がかかる検査です。また、非侵襲的な検査として尿中のピロリ菌に対する抗体の有無を調べる抗体検査もありますが、より確実な診断としては、検査薬の薬(尿素 13 c)を服用しその前後の呼気を集めて診断する尿素呼気検査と糞便中のピロリ菌抗原の有無を調べる抗原検査が実施されています。当検査キットは、便を懸濁した検体を滴下するだけの簡便な操作で、診療の場で検査ができ10分程度で結果が分かります。有症状者の検査および人間ドックや検診、さらに非侵襲的なピロリ菌の検査として近年普及している学童検診などにおいて用いることができます。
※27 クロストリジウム(クロストリディオイデス)・ディフィシル抗原検出キットとは、抗菌薬関連下痢症や偽膜性大腸炎発症の原因となるクロストリジウム・ディフィシル抗原及びクロストリジウム・ディフィシル菌が産生する毒素であるトキシンを同時に検出する検査薬です。下痢症を起こした患者の下痢便検体を用いて検査します。クロストリジウム・ディフィシル菌は、健常者の腸内にも常在する細菌ですが、抗菌薬治療により正常腸内細菌叢が乱されると異常な増殖を起こすと共にトキシン毒素を産生し、下痢症や大腸内の炎症を発生させます。また、クロストリジウム・ディフィシル菌は、病院内環境中に残存しやすく、入院患者へ感染することによる院内感染のアウトブレイクを発生させることから、早期検出が重要とされています。当検査キットは、診療の場でクロストリジウム・ディフィシルとトキシンが同時に検査でき、検体を滴下するだけの簡易な1ステップ操作により、15分程度で結果が分かります。迅速・簡易・高感度で特異性の高い検査が可能となり、より適切なクロストリジウム・ディフィシル菌による院内感染対策に用いることができます。
※28 新型コロナウイルス感染症遺伝子POCT検査キットとは、新型コロナウイルスに感染した患者の鼻咽頭の分泌液中や唾液中に存在する新型コロナウイルスを形成している遺伝子を検出する検査薬です。患者の鼻の粘膜を綿棒で採取した検体や唾液を検体として検査します。当検査キットは、遺伝子の抽出・増幅・検出の全ての工程を1つのカートリッジ内で行い、検体をカートリッジに滴下するだけの1ステップ操作で、専用の遺伝子POCT検査装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」を用いて測定を行い、1時間程度で新型コロナウイルスを高感度に検出することができます。基幹病院のみならず、開業医・診療所などより患者に近い診療現場において、より早期また確実に新型コロナウイルス感染症の遺伝子検査を、検査当日中に実施することができます。
※29 高感度新型コロナウイルス検出キットとは、高感度検出技術である銀増幅イムノクロマト法を測定原理とし、新型コロナウイルス抗原を高感度に検出することができる検査薬です。鼻咽頭ぬぐい検体又は鼻腔ぬぐい検体を抽出液にて調整し、テストカートリッジに滴下した後、専用機器にセットするだけで15分後に結果がプリントアウトされるため、簡便な操作性に加え、迅速かつ客観的な判定結果が得られます。
※30 新型コロナウイルス抗原及びインフルエンザウイルス抗原同時検出キットとは、1つのテストプレートにおいて新型コロナウイルス抗原とインフルエンザウイルス抗原を同時に検出するイムノクロマト法を原理とした迅速検査キットです。鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液を採取し、抽出液中に懸濁した試料をテストプレートに滴下するだけの簡便な測定操作を行ったのち、10分以内で検体中に含まれる両ウイルス抗原の有無を判定することができます。また、これらの測定操作を1回行うことで両感染症の検査が行えることから、医療従事者の飛沫感染のリスクや検査作業の負担を軽減することができます。医療現場の状況に応じて、専用の機器(「スマート QC リーダー」)を用いて客観的かつ精度の高い結果が得られるものや、目視判定のみで使用し、インフルエンザウイルスのA型、B型の判別ができるものがあります。
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