課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、日本及びアジア諸国の医療に貢献するため、海外又は国内の製薬企業又はバイオベンチャー企業から有望な新薬候補品を導入し、日本及びアジア諸国における臨床開発を中心とした開発活動を通じ、製品を医薬品市場に供給することを経営基本方針としています。

 

(2)目標とする経営指標

現在の当社グループが目標とする経営指標は、開発品の価値向上にあります。将来収益の源泉となる開発品価値は、臨床開発を推進することにより増大します。当社グループはこれを目標とするため、①成功確率を重視した新規開発品の導入、②短期的な上市を可能とするための効率的な臨床開発を実践しています。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

① 当社グループの事業領域

現在、日本及び中国では悪性腫瘍(一般に悪性新生物又はがんという。以下同じ)が死因の第一位を占めており、その他のアジア諸国でも死因の上位を占める傾向にあります。当社グループは、悪性腫瘍治療を目的とする医薬品の開発及び販売を主たる事業領域としています。また、悪性腫瘍治療薬の投与や放射線治療によって生じる有害事象(副作用等)を軽減し、悪性腫瘍に対する治療及び患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上が期待できる医薬品及び医療機器の開発及び販売も事業領域としています。

 

② 製薬バリュー・チェーン(初期研究活動から事業化までの機能連鎖)での位置づけ

標準的な製薬バリュー・チェーンは、上流の基礎研究、製剤研究、非臨床開発の各機能、中流の臨床開発機能、下流の製造、マーケティング、販売、製造販売後調査(注)の各機能により構成されます。当社グループは上流機能を持たず、中流以降の各機能に特化した事業を推進しています。なお、現在は、製造機能の全部及び販売機能の一部を保有しておらず、販売機能は中国の主要都市(北京市、上海市、広州市)に対するもののみ保有していく方針です。

また、当社中国子会社では、主要都市(北京市、上海市、広州市)において、バリュー・チェーンの下流に位置する販売、マーケティング、販売後調査等、すなわち医薬品等の品質、有効性、安全性等の情報提供、収集及び伝達を自社で行い得る体制の運用を行っています。

(注)医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令において、医薬品の製造販売業者又は外国製造医薬品等特例承認取得者が、医薬品の品質、有効性及び安全性に関する情報の収集、検出、確認又は検証のために行う使用成績調査又は製造販売後臨床試験をいう。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 既存開発パイプラインの進捗

当社グループの将来の収益基盤は開発パイプラインの成功にかかっており、既存開発パイプラインの臨床試験を中心とした開発遂行、承認取得が企業価値向上には必要不可欠であると認識しております。

 

② 中国における営業活動及び営業組織の管理

 当社グループは、中国における収益確保の手段として、自販モデルと導出モデルを組み合わせています。導入元との密な情報交換のもと、中国全土において当社マーケティング部門が製品のブランドイメージの構築を行い、薬事部門とともに市販製品に関する規制当局対応などを実施します。自販モデルの対象となる都市(北京市、上海市、広州市)では、当社中国子会社の営業組織による中国の規制及び商習慣に合致した営業活動を行います。さらに、構築したマーケティング戦略を導出地域における販売パートナーと共有化して売上促進を図り、安定した販売規模を確保していく所存です。これら中国子会社の営業活動は、親会社各部門との綿密な情報共有によって管理されます。

 

③ 新規開発パイプラインの拡充

 当社グループにおいて、開発パイプラインの充実は企業価値向上に直結し、将来の収益に大きく影響します。当社グループのビジネスモデルは、臨床試験等の計画及び実施等による開発行為によって付加価値を高めた製品の導出又は販売であり、当社グループの強みである臨床開発機能を最大限活かすために、臨床試験開始前の開発早期ステージから承認直前の後期ステージにある開発候補品までをバランスよく導入することを目指してまいります。また、当社グループは、経営資源をがん治療薬及びがん支持療法薬又は医療機器、その周辺領域に集約し、治療全般に貢献し得る新薬や新医療機器の開発候補品を積極的に探索してまいります。

 

④ 強固な販売パートナーシップの構築

 当社グループの収益確保のビジネスモデルは、当社グループにより開発が完了された製品の導出又は販売です。各地域で確立された販売網を持つ強力かつ信頼できるパートナー企業への販売権導出を通じてのパートナーシップが極めて重要になります。当社グループは、これらの収益化の構築及び強化のため、各事業領域において一定の実績を有するパートナー企業との連携を積極的に推進してまいります。

 

⑤ 組織の強化

 当社グループでは、いずれの部門も、専門領域の知識及び経験並びにマネジメントを有するスタッフを採用し、配置することに努めていますが、開発パイプライン拡充による開発活動量の増加及び中国におけるマーケティング・営業活動量の増加に対応するためには、適切な人員増加と効率的な組織編制が重要になってまいります。また、当社グループが継続的に株主の期待に応えられる企業であるためには、年齢、性別を問わずバランスの良い人材配置と蓄積された知識・経験の次世代への伝達が不可欠であると考えられます。当社グループでは、組織の規模を追うことなく、少数の専門スタッフによる組織構築を念頭に、中長期の視点による必要人員の確保、育成及び組織強化に積極的に取り組んでまいります。また、当社グループのビジネスモデルの実践に際しては、当社グループのスタッフと外部専門家及び外部委託機関との連携が不可欠です。今後も、専門性の高い外部専門家及び外部委託機関と対等の協力関係を築くことを重視し、当社グループ人材を中心とする最適なチームを構築してまいります。

 

⑥ 内部統制の強化

 当社グループは、当社グループのビジネスモデルの実現及び継続のため、事業及び企業規模に応じて、業務執行の妥当性、効率性、企業倫理、法令遵守に留意するとともに、継続的にステークホルダーの期待に応えられる企業となるべく、リスク管理及びコンプライアンス管理等の内部統制の徹底を図ってまいります。

 

⑦ 資金調達の実施

 上記のとおり、企業価値の向上を図るためには開発パイプラインの強化が必要ですが、一方で臨床試験遂行のための開発費支出や新規開発品ライセンス導入費等の支払いが先行するため、当座これらへの一定の資金需要が存在しております。当社グループは、これまでの製薬企業への開発権導出や新株発行を通じて資金を調達してまいりました。今後は製品販売による資金確保も図ってまいりますが、事業基盤強化のための資金調達の可能性は今後も継続して検討し、事業活動の継続に支障が生じないように努めてまいります。

 

⑧ 新型コロナウイルス感染症の当社事業活動への影響及び感染防止への対応

日本事業   ・全従業員を対象として、一部在宅勤務制を採用し運営しております。

中国事業   ・当社グループや販売パートナーの営業担当者の医療現場アクセス等のマーケティング諸活動が大きな制約を受け、製品処方及び出荷数量に影響が生じております。

製品供給   ・製品製造は欧米にて製造委託を通じて行っておりますが、現時点においてその供給は凡そ滞りなく遂行されております。

臨床開発   ・臨床試験遂行上、被験者安全性確保や医療機関負担軽減のため、被験者や臨床試験運営従事者の医療機関への訪問が一部制限されており、代替的にオンライン等を活用しております。

事業提携   ・海外渡航制限等を受け、権利導出入に要する提携候補先との交渉協議実施に制約が生じており、代替的にオンラインや現地代理人等を活用しております。

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