1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、遡及処理後の数値で比較分析を行っております。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の解除等により経済活動が正常化に向かう中、新たな変異株の流行や半導体不足、原材料価格の高騰等の影響が顕在化し、厳しい状況で推移いたしました。先行きにつきましても、緊迫するウクライナ情勢がもたらす世界的なサプライチェーンの混乱や原材料価格の更なる上昇が強く懸念されるなど、先行きの不透明感は非常に高まっております。
当社グループの経営成績については、売上高は、国内塗料事業を中心に需要が回復し669億4千8百万円(前連結会計年度比 6.0%増)となりました。利益面では、原材料価格の高騰による影響を強く受けましたが、売上高の増加により、営業利益は31億8千3百万円(同 3億5千4百万円増)、経常利益は34億6千5百万円(同 1億9千6百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億3千1百万円(同 6千3百万円増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
[国内塗料事業]
構造物分野では、機能性新製品の拡販や新市場への展開への取組みが奏功し、売上高は前期を上回りました。工業分野では、売上高は前期を上回ったものの、下半期より世界的な半導体不足の影響を受け、需要は低調に推移いたしました。利益面では、原材料価格の高騰による影響が強まっておりますが、売上高の増加により前期を上回りました。
この結果、売上高は496億2千2百万円(前連結会計年度比 5.1%増)、営業利益は19億9千万円(同 3億5千8百万円増)となりました。
[海外塗料事業]
東南アジア市場においては、自動車部品分野の販売が増加し、売上高は前期を上回りました。中国市場においては、新型コロナウイルス感染症の影響による全般的な需要の落ち込みから緩やかに回復し、売上高は前期を上回りました。北中米市場においては、上半期における自動車部品分野の販売の増加により、売上高は前期を上回りました。当セグメント全体としましては、売上高は前期を上回ったものの、下半期より世界的に半導体不足の影響が強まり、工業用塗料分野の売上が伸び悩みました。利益面では、原材料価格の高騰の影響により、前期をわずかに上回る水準にとどまりました。
この結果、売上高は69億3千9百万円(前連結会計年度比 26.5%増)、営業利益は2億3千6百万円(同 1千5百万円増)となりました。
[照明機器事業]
業務用LED照明分野では首都圏における需要が低調に推移しておりますが、UV照明分野における紫外線除菌新製品の新規顧客の獲得や照明工事の受注増加により、売上高は前期を上回りました。利益面では、売上高の増加に伴い、前期を上回りました。
この結果、売上高は76億5千6百万円(前連結会計年度比 5.8%増)、営業利益は5億7千7百万円(同 9千7百万円増)となりました。
[蛍光色材事業]
顔料分野では、海外市場において新型コロナウイルス感染症の影響による需要の落ち込みから緩やかに回復し、売上高は前期を上回りました。利益面では、国内市場における高付加価値品の需要減少に加え、原材料価格の高騰による影響を受け、前期を下回りました。
この結果、売上高は12億2千3百万円(前連結会計年度比 9.5%増)、営業利益は4千6百万円(同 8百万円減)となりました。
[その他事業]
売上高は15億7百万円(前連結会計年度比 27.7%減)、営業利益は1億1千4百万円(同 1億4千2百万円減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末より2億5千7百万円減少し、64億7千9百万円となりました。
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により得られた資金は、33億6千4百万円(前連結会計年度は36億4千1百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益及び減価償却費をベースに、仕入債務の増加による収入と、売上債権の増加、退職給付に係る資産の増加、法人税等の支払等の支出を主因とするものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、9億6千6百万円(前連結会計年度は23億2千5百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得等の支出を主因とするものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により使用した資金は、28億4千1百万円(前連結会計年度は4億9千9百万円の収入)となりました。これは配当金の支払、短期借入金の返済、長期借入金の返済、リース債務の返済等の支出を主因とするものであります。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、営業活動から得られたキャッシュ・フローの収入を財源に運転資金、製造設備や研究開発設備の購入、配当金の支払い及び借入金の返済等に利用しております。
事業活動の持続的成長に欠かせない資金の流動性や安定的確保において、短期運転資金については、自己資金及び取引金融機関からの短期借入を基本とし、また設備投資など長期運転資金の調達については、長期借入を基本としております。当連結会計年度においては、重要な資金調達はありません。その結果、短期借入金残高は24億5千万円(前連結会計年度は35億円)、長期借入金残高は18億円(前連結会計年度は24億円)となっております。
当連結会計年度における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は67億4千8百万円となっております。また、現金及び預金残高は67億7千7百万円となっております。国内子会社については、各社の余剰資金を効率的に活用するため、CMS(キャッシュマネジメントサービス)を導入し、資金及び財務効率性を目的とした一元管理を行っております。なお、在外子会社については、現地での設備投資や運転資金等の資金需要のために必要な現預金を保有しており、余剰資金が発生した場合には、将来的な資金需要を考慮しながら配当金を通じて、当社が余剰資金を回収しております。
新型コロナウイルス感染症の影響やウクライナ情勢の不安定等、足元の業績が不透明な中で、当社としては手元資金の流動性の確保に向け金融機関と日々連携しており、当面の資金繰りについては、十分に担保されております。今後、運転資金等の需要が増加した場合には、コミットメントライン契約の活用の検討や、主力銀行等からの追加の短期資金調達を実施いたします。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
国内塗料(百万円) |
49,837 |
108.3 |
海外塗料(百万円) |
6,522 |
137.6 |
照明機器(百万円) |
4,049 |
105.7 |
蛍光色材(百万円) |
1,090 |
113.5 |
合 計(百万円) |
61,499 |
110.7 |
(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.前記セグメント区分以外の「その他」は、塗装工事事業、物流事業等であり、提供するサービスの性格上、生産実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。
② 受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)は、一部特需関係等を除き主として見込生産によっておりますので、受注並びに受注残等について特に記載すべき事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
国内塗料(百万円) |
49,622 |
105.1 |
海外塗料(百万円) |
6,939 |
126.5 |
照明機器(百万円) |
7,656 |
105.8 |
蛍光色材(百万円) |
1,223 |
109.5 |
報告セグメント計(百万円) |
65,441 |
107.1 |
その他(百万円) |
1,507 |
72.3 |
合 計(百万円) |
66,948 |
106.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相 手 先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
三菱商事ケミカル株式会社 |
11,806 |
18.7 |
12,726 |
19.0 |
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。当社グループの連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断は、合理的と考えられる要因を考慮した上で行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、前連結会計年度に比べ、新型コロナウイルス感染症による世界的な景気悪化から需要が回復した影響により増収増益となりました。
売上高と営業利益のセグメントごとの経営成績の詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4)当連結会計年度における財政状態の分析
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前連結会計年度 (2021年3月31日) |
当連結会計年度 (2022年3月31日) |
増減額 |
|
資産 (百万円) |
|
85,765 |
87,705 |
1,940 |
負債 (百万円) |
|
34,900 |
35,713 |
813 |
純資産(百万円) |
|
50,865 |
51,991 |
1,126 |
自己資本比率(%) |
|
56.0 |
55.9 |
0.1ポイント減 |
当連結会計年度末における総資産は、877億5百万円となり、前連結会計年度末と比較して19億4千万円の増加となりました。流動資産は、347億7千3百万円で前連結会計年度末と比較して16億9千9百万円の増加となりましたが、これは現金及び預金の減少2億5百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加6億7千2百万円、棚卸資産の増加12億9千8百万円が主因であります。固定資産は、529億3千2百万円で前連結会計年度末と比較して2億4千万円の増加となりましたが、これは有形固定資産の減少2億8千5百万円、投資その他の資産の増加5億7千6百万円が主因であります。
負債は、357億1千3百万円となり、前連結会計年度末と比較して8億1千3百万円の増加となりました。流動負債は、257億9千万円で前連結会計年度末と比較して13億6千8百万円の増加となりましたが、これは支払手形及び買掛金の増加17億5千7百万円、短期借入金の減少10億5千万円、未払法人税等の増加1億4千7百万円、その他の増加5億2千1百万円が主因であります。固定負債は、99億2千3百万円で前連結会計年度末と比較して5億5千4百万円の減少となりましたが、これは長期借入金の減少6億円、リース債務の減少2億3千7百万円、繰延税金負債の増加2億9千9百万円が主因であります。
純資産は、519億9千1百万円となり、前連結会計年度末と比較して11億2千6百万円の増加となりましたが、これは利益剰余金の増加13億1千6百万円、為替換算調整勘定の増加4億4百万円、退職給付に係る調整累計額の減少8億8千9百万円、非支配株主持分の増加1億7千7百万円が主因であります。
(5)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは経営理念のもと、持続的成長力を持つ企業たるべく事業展開を図っております。そのために、売上高営業利益率10%を中長期的な目標として位置付け、各期において外部・内部環境等を考慮して計画値を設定し、その基準を達成できるように努めてまいります。
当連結会計年度の達成・進捗状況は以下のとおりであります。
2021年5月12日公表の業績予想との比較では、売上高は計画比5億5千1百万円減(計画比0.8%減)となりました。これは半導体等の部材不足による自動車産業を中心とした工業製品の生産調整等の影響により、国内塗料事業及び海外塗料事業において工業分野の需要が低調に推移したことで売上が下回りました。営業利益は計画比8億1千6百万円減(同 20.4%減)となりました。これは各セグメントにおいて、売上高の下振れに加え、原油価格の高止まりや一部原材料の逼迫の影響で原材料価格の高騰により、営業利益を押し下げる要因となりました。この結果、売上高営業利益率は計画比1.1ポイント減の4.8%となっております。
2021年11月9日には業績予想の修正を行っており、修正業績予想との比較では、売上高は計画比2億4千8百万円増(修正計画比0.4%増)、営業利益は計画比1千6百万円減(同 0.5%減)の結果となり、売上高、営業利益ともに概ね修正予想水準での着地となりました。この結果、売上高営業利益率は修正計画比0.0ポイント減の4.8%となりました。
ウクライナ情勢が2022年3月期の業績に与えた影響については、第4四半期連結会計期間より原材料価格が大きく上昇してきており、2023年3月期の業績への影響については、引き続き原材料価格が高い水準で推移していくと予想しております。
2021年5月12日業績予想発表時 |
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指 標 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
(計 画) |
(実 績) |
(計画比) |
(計画比)(%) |
|
売上高(百万円) |
67,500 |
66,948 |
△551 |
△0.8 |
営業利益(百万円) |
4,000 |
3,183 |
△816 |
△20.4 |
売上高営業利益率(%) |
5.9 |
4.8 |
1.1ポイント減 |
- |
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2021年11月9日業績予想発表時(修正) |
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指 標 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
(計 画) |
(実 績) |
(計画比) |
(計画比)(%) |
|
売上高(百万円) |
66,700 |
66,948 |
248 |
0.4 |
営業利益(百万円) |
3,200 |
3,183 |
△16 |
△0.5 |
売上高営業利益率(%) |
4.8 |
4.8 |
0.0ポイント減 |
- |
前連結会計年度実績比較 |
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指 標 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
(実 績) |
(実 績) |
(実績比) |
(実績比)(%) |
|
売上高(百万円) |
63,160 |
66,948 |
3,788 |
6.0 |
営業利益(百万円) |
2,828 |
3,183 |
354 |
12.5 |
売上高営業利益率(%) |
4.5 |
4.8 |
0.3ポイント増 |
- |
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