文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「新しい価値の創造を通じて地球環境や資源を護り、広く社会の繁栄と豊かな暮らしの実現に貢献できる企業を目指します。」という経営理念のもと、持続的成長力をもつ企業たるべく事業展開を図っております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、お客様に満足していただける製品、技術、サービスの提供を通じて、提供価値の強化、価格競争力の強化、販売体制の強化、労働生産性の向上、海外事業の強化の5つの基本施策を推し進めて、中長期的には売上高営業利益率10%以上を目指します。
(3)経営環境
当社を取り巻く事業環境としましては、主要市場である国内塗料市場においては、一般用分野は引き続き堅調な需要環境が見込まれますが、工業用分野は半導体不足による影響が尚も残り、需要の本格的な回復には至らないと見込まれます。また、ウクライナ情勢の長期化に伴い原材料価格の上昇による影響が一層強まることが予想され、これに対する製品価格への転嫁が最重要課題となります。海外塗料事業においては、東南アジア及び北中米地域では、ウクライナ情勢による影響を注視する必要がありますが、自動車生産台数は徐々に回復すると見込んでおります。中国では上海市のロックダウンによる影響が懸念されますが、当社グループとしましては上海工場から浙江工場への事業移管が本年上期には完了する見込みであることから、営業開発活動への注力により事業の再建に努めてまいります。照明機器事業においては、首都圏における再開発工事の停滞が懸念されますが、全般的な需要は回復傾向にあると見込んでおります。蛍光色材事業においては、店舗広告、文房具及び衣料などの蛍光顔料需要は前期並みの推移が予測されます。
各セグメントにおいて原材料価格の上昇に対する価格転嫁を推進してまいります。
(4)経営戦略
中期経営計画の3年目となる2022年4月以降の展望としましては、後記の経営戦略を推進し、当社独自の強みを更に洗練させることで、持続的成長力を持つ企業たるべく努めてまいります。
1.技術センターの活用により顧客ニーズに沿った製品・技術開発を推進し、顧客への提供価値を強化する。
2.工場ラインの生産性向上や製品及び原料の統廃合により製造経費及び原材料費を削減し、市場における価格競争力を強化する。
3.販売代理店とのパートナーシップ強化や販売ネットワークの拡充により、販売体制を一層強化する。
4.従業員の働き方改革を通じて、付加価値創出への貢献という観点から業務プロセスの見直しを図る。
5.海外市場における工業用塗料のシェア拡大と特色ある汎用塗料の拡販を図るとともに、中国市場においては新工場を柱とした事業基盤を確立する。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前記の経営環境及び経営戦略を踏まえ、当社は以下を優先的に対処すべき課題として取り組んでまいります。
① 社会のニーズにマッチした製品開発による売上増加
当社の主力分野である構造物分野では、労働人口が減少する中、膨大な社会資本ストックをいかに経済的にメンテナンスするかが近年の重要なテーマとなり、多様な現場環境に適した塗装仕様や工法の確立及びメンテナンスの省人化・省工程化といった社会環境に配慮した提案が求められます。工業用分野では、CO2削減を目的として自動車業界を中心に軽量化素材の適用が進められており、様々な素材に対し、水性塗料、粉体塗料、インクジェットプリントなどのコーティング技術を複合的に組み合わせた塗装工法の提案が必要となります。このような中で、当社は2020年度に設立した技術センターを活用し、社会課題に対応した塗料製品、塗装技術の開発や顧客への提案を推進することで、社会に貢献しつつ、新たな需要を取り込み、製品の拡販に努めてまいります。
② 売上原価及び販売管理費の削減
当社の重要な経営指標である売上高営業利益率を向上させるうえで、売上原価及び販売管理費を削減し、損益分岐点を下げることが重要な課題であります。売上原価の大部分を占める原材料コストに関しては、製品及び原材料の統廃合や配合の共通化、仕入方法の見直し等を通じて、コストの低減を図っております。生産体制に関しては、生産設備の最適な配置や新しい設備の導入を進めることにより生産効率を改善し、製造コストを抑える努力を継続しております。また、グループ全体としての最適な生産体制に向けた検討を進め、塗料製造拠点の統合とそれに伴う生産集約を実施しております。販売管理費に関しては、毎月の経費管理の強化、徹底を通じて経費削減に努めております。
③ 中国における営業開発力の強化及び東南アジア・北中米地域における顧客対応力の強化
中国では政府による環境規制強化に対応すべく、浙江省に工場を新設し、これまで既存の上海工場からの事業移管を進めてまいりました。この過程で工場建設費用の増大及び事業移管の過渡期における費用増加により、近年は収益力が大幅に低下しておりましたが、本年上期には事業移管を完了する見込みであることから、営業開発活動への注力を強化し、事業の再建に努めてまいります。
東南アジア・北中米地域においては、自動車部品向けビジネスが中心となりますが、近年では顧客ニーズの多様化や、CO2削減をはじめとする環境対応の優先度が高まっていることから、当社としては国内外の連携推進や現地における研究開発体制の充実化を通じて、顧客対応力を強化してまいります。更に、自動車部品向け以外の他の工業用市場の販売拡大や特色ある一般用塗料の販路開拓、各国の環境規制や規格に対応した塗料の開発を推進し、事業リスクの分散を図ってまいります。
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