研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループは、「配合設計技術」、「プロセス制御技術(混合・溶解・分散)」、「成形加工技術」を基盤技術とし、これまで長年にわたり印刷インキおよびプラスチック用着色剤とその関連製品の生産に携わってまいりました。

 これらの基盤技術に新規技術の調査・探求、研究成果を融合させて改良を加え、暮らしに役立つより良い製品の創出に努力を重ねております。近年、情報通信伝達技術の目覚ましい発達により、新たなサービスの利用が可能となってきており、更に踏み込んだ製品の評価・解析技術力の向上と知的財産権の保全強化に注力した研究開発活動を継続しております。

 生産・技術部門では、原材料から製品に至る過程での化学物質管理を一層強固にするため、設計・生産段階への化学物質に関する最新情報を一元管理するデーターベースによる審査・承認の仕組みの整備も積み重ね、安全・安心を提供する「ものづくり」に力を注いでおります。

 次世代事業の製品創出にはSDGs活動が必須となる中で、日本および国際社会の一員として各企業、研究機関等との連携・共同研究による技術開発に努め、環境負荷低減を意識した新製品開発を進めてまいります。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は1,051百万円であります。

セグメント別の研究開発活動概要は次のとおりであります。

 

(インキ事業)

 オフセットインキにつきましては、当社の主力製品であるヒートセットオフ輪プロセスインキ「ガイア」、枚葉プロセスインキ「ニューセルボ」に加え、新聞用高濃度インキ「ニューズメジャー」、高感度UVインキ「ジップキュアUVOL」の製品性能向上に引き続き注力いたしました。具体的には印刷用紙が低級紙にシフトする業界の流れに対応し、オフ輪インキの低級紙対応を進めました。また、油性枚葉印刷がLED-UV印刷にシフトしていることに合わせて高感度紫外線硬化型インキの性能向上等を推し進め、「ジップキュアUVOL」の販売は堅調に推移いたしました。更に業界の流れや環境に配慮した製品として水なし印刷用製品の開発・改良にも注力してまいりました。印刷市場の変化縮小による販売競争の激化に対応するべく、需要家である印刷会社からのニーズを確実に製品に反映した結果、顧客内シェアを確保できました。また、これら既存製品群および既存製品群の改良に加え、新製品開発の成果として、今期、高バイオマスオフ輪インキ「ガイア VLC」を製品化いたしました。今後、需要家からの高まる環境ニーズに適した製品として提案・拡販を進めてまいります。

 新聞インキにつきましては、新聞発行部数が減少する中で、積極的な開発・改良設計に取り組み、高濃度新聞輪転用プロセスインキ「ニューズメジャークロマ」、高漆黒新聞墨インキ「ニューズメジャークロマブラック」の性能向上を図りました。

 その他、オフセット用印刷用補助剤につきましては、印刷機の不要な停止を極力減らす製品づくりや環境負荷低減対応を第一優先に考えた無処理版対応製品の拡充により、使い易さだけでなく安全で環境に貢献した製品の提供に努めてまいりました。今後も、環境に配慮した高収益メーカーとなるべく、地球と人にやさしい設計による製品の提供により、需要家の要望に応えてまいります。

 グラビアインキにつきましては、食品包材向けフィルム用インキ、成型品用インキの開発・改良を進め、環境調和製品や機能性、意匠性を有する製品の開発に取り組んでまいりました。環境調和製品につきましては、バイオマス由来材料を使用したインキの品種拡大を進め、バイオマスマーク登録を行ってまいりました。更に米ぬか由来材料を使用したインキの開発にも取り組み、ライスインキの拡販を進めました。

 機能性製品につきましては、遮光性インキ、バリアインキ、マットインキ、ヒートシール剤、蒸着用コーティング剤等の開発を行ってまいりました。

 

 意匠性製品につきましては、電子レンジ用途での金インキや銀インキの採用が広がり、拡販ができました。またフィルム用・紙用見本帳を活用することで食品包装や衛生材用途においてパール調インキや高輝度金・銀インキ等の採用事例を増やすことができました。更に輝度を上げた銀インキを開発し、パスター加工代替を狙った新たな製品提案を行い、徐々に販売を増加させております。

 今後も様々な包装材料分野への展開を進めるとともに、これら機能性、意匠性を有する高付加価値製品を充実させてまいります。

 インクジェットインクにつきましては、受託製品の獲得と自社製品の開発に取り組んでまいりました。受託製品では、できるだけ多くの新規獲得を目指しております。

 自社製品につきましては、建材塗料代替となる外壁用・内壁用UVインクジェットインク、マーキング用や加飾用等の機能性UVインクも順調に推移しております。今後も機能性UV硬化インクを中心とした開発に取り組み、様々な分野、用途において採用を目指してまいります。

 当連結会計年度におけるインキ事業の研究開発費は293百万円であります。

 

(化成品事業)

 マスターバッチにつきましては、主力のポリオレフィン用カラー・添加剤マスターバッチに加え、周辺分野としてのPET・PBT用、生分解性樹脂用マスターバッチ製品の拡充を進めてまいりました。更に外部環境変化に対応し、新規開発テーマの推進を掲げ事業領域の拡大により目標利益獲得を目指しました。コロナ禍の影響、脱プラスチックの動きにより縮小分野もありますが、引き続き未参入、低シェア分野の開拓に向け戦略製品の開発を進めてまいります。また、容器リサイクルの推進に寄与する赤外線分別が可能なBLACKマスターバッチを上市いたしました。今後も環境負荷を低減する製品開発への取り組みを継続し拡販に繋げてまいります。

 機能性製品につきましては、セルロース、CNT等の分散検討にも引き続き取り組み、分散・配合技術を駆使した生産技術を確立し新たな製品開発を目指してまいります。

 液体タイプのマスターバッチにつきましては、専用の供給機を独自で開発いたしました。より顧客のニーズに沿ったシステムを提案する事で未参入分野への拡販を継続して行ってまいります。更に、新たな生産プロセスとなる、自動化、省人力化に寄与できる生産技術の導入も進めてまいります。

 樹脂コンパウンドにつきましては、受注による増産対応すべく、各工場への技術支援を行ってまいりました。土岐第2工場のクリーン環境下における新製品立ち上げも継続して取り組んでおります。差別化製品の確立に向けた量産試作を継続して行い、食品、医療、電子、エネルギー、光学フィルム関連材料を中心に、ユーザーとの共同開発テーマを積極的に進めてまいります。タイ工場につきましては、日本国内への製品輸入も行い生産拠点の多様化への対応、新規銘柄の開発、品質管理支援を行ってまいりました。東南アジア市場でのニーズに応える製品開発を目指し引き続き取り組んでまいります。

 今後も生産・販売・技術が一体となり、マーケット情報を共有してニーズに沿った製品開発を進めてまいります。

 当連結会計年度における化成品事業の研究開発費は460百万円であります。

 

(加工品事業)

 ネトロンにつきましては、水処理用資材の需要増加に対応する為に生産設備を2系列増設し子会社のトーイン加工株式会社へ設置いたしました。得意先に工場認定および製品認定をいただき、量産を開始しております。また、新規水処理資材の開発も順調に進み、来期早々には上市できる見込みであります。この様に生産設備強化と新規製品開発により、今後もトップメーカーとしての確固たる基盤を築き、すべての人に衛生的な水を提供する活動に貢献してまいります。

 土木資材につきましては、主力製品のジオセルの国内生産化に向けて、生産設備,検査装置の仕様を決定し発注を完了しております。来期下期からの生産開始を目指して引き続き活動してまいります。設備導入後は、国内でジオセルの試作,評価を行える様になり製品開発期間の短縮化が期待でき、得られた知見をもとに既存の委託加工先への指導を強化し、強靭なインフラ整備、防災、減災に役立つ製品を開発してまいります。

 農業資材につきましては、夏季の遮熱対策と冬季の保温対策に役立つ製品開発に取組んでまいりました。今期は、農業ハウス用遮熱織物の構成部材に自社製一軸延伸フィルムを用いることにより、低収縮,高強度で光線透過率が高い製品を開発することができました。来期から試験展張を実施して性能評価を行い、2023年度からの販売を目指し、食料の安定確保に繋がる持続可能な農業資材の提供を推進してまいります。

 当連結会計年度における加工品事業の研究開発費は117百万円であります。

 

(その他)

 当社の研究開発は、新事業創出を目的に活動を行ってまいりました。当社のコア技術である分散技術の高度化により今後成長が期待される「エネルギー分野」、「センサー分野」、「バイオ・ヘルスケア分野」に対して機能性材料の設計へとその活動範囲を徐々に広げてまいりました。

 「エネルギー分野」につきましては、燃料電池用導電性インキの開発を行っており、商品化に向けて邁進してまいります。「センサー分野」については、環境測定やヘルスケアのモニタリング等のデバイスに用いる材料の設計を行ってまいりました。「バイオ・ヘルスケア分野」につきましては、ナノ粒子の有効性を活かし、医療用X線診断装置や一般X線分析装置等に搭載している検出器内の部材を視野に入れ、マーケット参入に向けた活動を行ってまいります。

 一方、既存製品の生産プロセスにつきましても「省力化」、「自動化」、「安全性」を考慮したモデルラインを構築し、新規生産プロセス、新規混練機開発検討を行い、合理化された将来の生産ラインを検討しており、今後も新規プロセス検討にも注力してまいります。

 また当社事業に関わる合理化の検討および生産コスト削減に寄与できるよう努めてまいります。

 当連結会計年度におけるその他の研究開発費は180百万円であります。

 

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