課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 パーク24グループは、グループ理念に「時代に応える、 時代を先取る快適さを実現する。」を掲げております。日常に当たり前にある「快適さ」や、世の中になかった新しい「快適さ」を届けることで、そこに住み、そこに生きる人々や街、社会が、より豊かに、より魅力溢れるものになるよう挑戦を続けていくことで、お客様との相互理解を深め、人々に、時代に求められている「快適さ」を実現し、社会の持続的発展に貢献してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループが、時代に求められている「快適さ」を実現し、社会の持続的発展に貢献するためには、各事業規模の拡大とサービスの拡充及び進化が重要であることから、高い成長性と収益性の確保が経営課題であると認識しております。そのため、最も重視する経営指標に経常利益成長率を掲げ、2桁成長の継続を目指しております。
 2021年10月期は、期末にかけて回復傾向となったものの、全事業において引き続き新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響を受け、想定以上に各サービスの稼働が抑制されたことから当期純損失を計上し、株主資本は低水準となっております。そのため、財務の健全性を図ることが経営の重要課題と認識し、2025年10月期末に目指す財務指標として、株主資本比率30%超を目標としております。
 

(3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

短期的な経営環境につきまして、国内におきましては、ワクチン接種の普及等に伴う経済活動の再開が期待されるものの、依然として感染力の強い変異株の広がり等を原因とする感染再拡大リスクが懸念されています。また海外につきましても、一部の国で感染症の抑制による経済活動の改善が見られるものの、各国で回復ペースは異なり、先行きは不透明な状況が続いております。
 中長期的な経営環境につきましては、「所有から利用へ」「自動車のIoT化」「自動車燃料の変化」「自動運転」等、モビリティに関する新しい概念が誕生し、同時に技術革新が世界的に急速に進展することで大きく変化しております。

当社グループは、これからのモビリティ社会において、当社グループが有する人(会員)・クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場の4つのネットワークをさらに拡大し、これらをサービスの拡充によってシームレスにつなげることで、駐車場の慢性的不足や移動に関する不便さ等の社会課題を解決に導き、日本国内をはじめ世界においても、時代に求められている「快適さ」を実現し、社会の持続的発展に貢献してまいります。

国内外ともに駐車場事業においては、安定的に駐車場を開発することで駐車場ネットワークの拡大を推進すると同時に、より快適にご利用いただける駐車場サービスの開発に努めてまいります。特に国内の駐車場は慢性的に不足しており、需給ギャップの大きさから開発は十分にできる環境であると認識しており、安定的な成長を見込んでおります。また、今後の収益性向上に向けた取り組みとして、より簡単に入出庫や支払いが可能な次世代駐車場サービスの構築と、グループ間サービスの連携を進めてまいります。

モビリティ事業においては、カーシェアリングサービスとレンタカーサービスの融合を強力に推進することで、お客様が借りたい時間に、借りたい場所で、借りたいタイプのクルマを、借りたい期間だけ借りることができる極めて利便性の高い新しいモビリティサービス「タイムズカー」を構築してまいります。タイムズカーは、日常生活の中で手軽に利用できるモビリティサービスとして順調に成長しており、感染症禍においては、不特定多数との接触がなく、密を回避できる移動手段として認識されたことにより、その需要が高まっております。こうした背景から、会員数・利用件数ともに順調に伸長しており、今後も引き続き大きく伸長すると見込んでおります。そのため、モビリティ車両の増加及び貸出拠点数の増加を積極的に進めることでモビリティネットワークの拡大を推進してまいります。

 

お客様の目的地となる街においては、キャッシュレス決済サービス「タイムズペイ」の加盟店数を増やすことで加盟店とお客様、両者の快適さを実現すると同時に、街(目的地)のネットワーク拡大を図ってまいります。

サービスを利用する会員においては、クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場、それぞれのサービスがシームレスにつながることで、より便利にご利用いただけるよう、アプリの開発等によるソフト面の強化に注力してまいります。さらに、サービスの利便性を高めることで、法人・個人ともに会員規模の拡大を図ってまいります。

海外においては、6か国(豪州、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、英国、台湾)で駐車場事業を展開しており、各国ともに国内同様、駐車場ネットワークの拡大と駐車場サービスの開発に努めております。海外事業の中核となる豪州、英国においては、国内の駐車場事業戦略である「小型・分散・ドミナント化」をベースに各国の駐車場需要環境に最適化した短期契約駐車場の開発を促進することで、大型かつ長期契約駐車場に偏った事業ポートフォリオの転換を図り、事業リスクを低減させるとともに収益性の向上に努めてまいります。

これらの取り組みにより、2026年10月期までの目標として国内駐車場100万台、モビリティ車両10万台、タイムズ会員数1,000万人を掲げております。

当社グループは、世界各地で駐車場を含めたモビリティサービスを提供する企業として、収益性においてはもちろんサービス面においても世界No.1の企業となるべく持続的成長を図るとともに、企業の社会的責任を果たすことで企業価値の向上に努め、全てのステークホルダーの信頼と期待に応えてまいります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

 「(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略」で言及のとおり、感染症は当社グループの業績に大きな影響があると想定しておりますが、感染症による影響が顕在化した初期段階から、グループを挙げて迅速に様々な対応策に取り組んでおります。
A.  お客様の安全確保
 お客様が当社グループサービスを安心して安全にご利用いただけるよう、シェアリングサービスであるモビリティ車両の清掃や除菌グッズの設置等を強化し、駐車場の料金精算は多様なキャッシュレス決済が可能な精算機の設置を推進してまいります。

B.  社員の安全確保
 感染症の罹患状況に合わせて各事業所内滞在率を定めるとともに、在宅勤務を推奨しております。そのため、在宅勤務がストレスなく行えるICT環境の整備を引き続き進めてまいります。やむをえず出勤する社員には、時差出勤や社有車・自社モビリティサービスを利用した出勤を推奨し、営業活動は感染リスクを最大限考慮して実施するなど、感染しない・させないための対策を徹底しております。

C.  事業構造の改革
 駐車場事業国内においては、現在の需要環境に合わせて既存物件の料金体系や車室数を調整する等の運用施策を行うことで、需給バランスを合致させ、個別物件の収益を最大化させると同時に、不採算物件の対策や管理・メンテナンスの見直し、販売管理費も含めたコスト抑制を徹底的に行います。さらに、開発については確実に収益化する物件のみに絞って厳選開発を行います。これらにより、事業体質を筋肉質化することで、感染症収束後に勢いのある事業成長を実現するための準備をいたします。
 駐車場事業海外においては、赤字幅縮小に向けて、賃料交渉や管理・メンテナンスの効率化等を強力に推進することでコスト抑制を行うと同時に、国内の駐車場事業戦略である「小型・分散・ドミナント化」をベースに各国の駐車場需要環境に最適化した短期契約駐車場の開発を促進することで、大型かつ長期契約駐車場に偏った事業ポートフォリオの転換を図り、事業リスクを低減させるとともに収益性の向上に努めてまいります。

モビリティ事業においては、カーシェアとレンタカーを融合したモビリティサービス「タイムズカー」の構築を強力に推進することで、車両1台当たりの収益力を高めると同時に、保有車両数を大幅に拡大することで、収益の最大化とサービス品質の向上を図ってまいります。

 

D.  財務の健全性強化
 中長期的には感染症の収束を見据えて成長軌道に戻すため、成長投資のための長期性資金を確保すると同時に、財務の健全性を維持・向上させることを目的に、劣後特約付シンジケートローンによる資金調達を2020年12月30日に実行いたしました。

 

また、上記に加えて、当社グループの中長期的な会社の経営戦略に基づく対処すべき課題は以下のとおりです。 
 

① 4つのネットワークの拡大

 当社グループは、4つのネットワーク、人(会員)・クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場、それぞれの規模を拡大することで、お客様に、より快適に当社グループのサービスをご利用いただく環境を構築してまいります。そのため、それぞれのネットワークにおける開発力やサービス提案力等営業力の強化に加え、事業データ分析やデータマーケティング等においてICTの活用も推進してまいります。
② 4つのネットワークのシームレス化
 当社グループは、4つのネットワークをシームレスにつなげることで、お客様に当社グループのサービスを回遊してご利用いただく快適な環境を提供してまいります。そのため、マーケティングをベースにしたサービスの設計やICTを活用した高付加価値サービスの開発等を推進してまいります。
③ 安定したサービスの提供
 当社グループは、駐車場サービス及びモビリティサービスは社会インフラとしての側面も持ち合わせていると認識しております。そのため、各サービスが安定的に供給できるよう、グループで一元管理できる運用体制の構築に加え、品質を維持するための厳格なルールを制定して事業を推進しております。
 さらに、当社グループは、システムを通じてお客様へのサービス提供を行っております。そのため、システムにおいては十分な設備投資並びに人材の育成・採用等を行うことで安定稼働に努めてまいります。 
④ グローバルな事業展開
 当社グループは、2006年にアジア、2017年にM&Aによってオセアニアと欧州に駐車場事業を拡大いたしました。2017年にグループ化したSECURE PARKING PTY LTDとNATIONAL CAR PARKS LIMITEDにおいては、グループ理念の浸透を推進し、持続的成長に向けた意識の共有を図ってまいります。さらに、事業基盤の整備と強化並びに事業拡大による収益性の改善と向上が喫緊の課題と認識しております。そのため、駐車場の管理及び運営体制の改善、新しいサービスの展開による新規マーケットへの参入等を強力に推進することで課題の解決に注力してまいります。
⑤ コーポレート・ガバナンスの強化
 当社グループの持続的成長による企業価値の向上を実現するためには、経営基盤強化としてコーポレート・ガバナンスの強化が重要と考えております。そのため、的確かつ迅速な意思決定及び業務執行体制並びに適正な監督・監視体制の構築を図っております。また、経営の健全性、公正性の観点から、コーポレート・ガバナンスの実効性を一層強化するため、当社グループ全体で、リスク管理、内部統制、コンプライアンスへの取組みを徹底することで自浄能力の向上に努め、全てのステークホルダーからの信頼の向上につなげてまいります。

⑥ 多様な人材育成と働きがいのある環境の創出
 当社グループは、従業員がお客様へ提供するサービスといった価値の多くを生み出しており、その持続的発展のためには、人材の育成と採用及び働きがいのある環境の創出が不可欠と考えております。商品やサービスが厳しく選別される時代において、従業員は企業の競争優位性を決定づける大切な経営資源であることから、人材ビジョンに「持てる個性を最大限発揮し、期待される役割りを十二分に果たすとともに自らの能力を持続的に高める人材」を掲げ、多様性を尊重した人材育成及び採用に努めております。

⑦ 健康経営の推進
 当社は社員が健康で生き生きと長く働くことの出来る職場環境を構築するために「健康経営宣言」を制定しております。社員が主体的に心身の健康づくりに積極的に取り組める環境を提供し、パフォーマンスの高い活性化された組織を作っていくことを目指しております。

 

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