課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、人々の健康を支え、いい人生を提供すること、イノベーションを通して人々の健康を支え、幸せでいい人生を送っていただけるための土台となることを使命として、健康を支えるインフラを提供すること、さまざまなサービスを絶えず展開し、人々の健康を支えるインフラを提供することを目指します。

 国内の健康寿命や平均寿命が年々伸びを見せるとともに人々の健康でありたいとの想いが高まるなかで、医療・健康に関連する事業領域は広がりを見せております。当社グループは、臨床検査事業及び調剤薬局事業で培ったノウハウとICTを活用し、顧客ニーズに対応した医療・健康サポートサービスを提供してまいります。

 また、ステークホルダーの信頼に応えるため、財務基盤の安定化に努めるとともに、事業の収益力の向上を図り、グループ全体での企業価値の向上を目指してまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略及び事業上・財務上の課題

 当社グループは、直近の経営環境を受けて、事業上・財務上の優先的な課題に対処すべく、令和4年3月期から令和6年3月期までの中期経営計画を策定しております。

①背景

 当社は平成31年3月期から令和3年3月期の3ヵ年を対象とする中期経営計画を策定いたしましたが、平成31年2月の総合研究所の火災に伴い取り下げております。その後、総合研究所火災の影響による一部顧客の流出による売上高の減少、検査機器の再投資による経費の増加、更には新型コロナ感染症(以下、「COVID-19」)の感染拡大に伴う医療機関への受診抑制による臨床検査受託検体数の減少、調剤薬局事業における処方箋枚数の減少などの影響を受けました。このような状況に対して、タブレット端末の活用、臨床検査の依頼・報告のICT化等により検査-営業-集配にわたる事業構造を抜本的に見直し、固定費の削減を進めてまいりました。一方、COVID-19にかかる検査への社会的ニーズに応えるべく、COVID-19に関連した検査の実施能力を増強させてまいりました。また、体外診断用医薬品「MSI検査キット(FALCO)」、クラウド型電子カルテ「HAYATE/NEO」、診療所支援ビジネスといった、新たなビジネスも立ち上げております。

 今後も当社を取り巻く外部環境は目まぐるしく変化されることが予想されます。その一つが、COVID-19の影響です。変異株の発生、感染拡大等により、短期間での感染収束は困難と見られますが、ワクチン接種の進展、治療薬の開発等により、中期的には感染は抑制されていくものと想定され、COVID-19関連検査による売上高は中期的には剥落していくものと考えられます。

 一方で、少子高齢化の進展に伴い医療保険財政は厳しさを増し、COVID-19対策により国家財政は一層厳しさを増しております。このため、今後診療報酬、薬価の改定は従来以上に厳しいものとなることが想定されます。更に、遺伝子に基づく医療、医療分野におけるICTの更なる活用など、医療の効率化への社会的ニーズが増大すると考えられます。特に、遠隔診療、オンライン資格確認、医療ビッグデータの活用など、医療・健康分野におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)が着実に進展していくものと想定されます。

 このように大きな経営環境の変化を見通し、更なる成長を図るため、このたび新たな中期経営計画を策定しました。

②基本方針

ⅰ)COVID-19抑制への貢献

 COVID-19に関して、引き続き当社グループの人的資源、検査能力を最大限活用し、COVID-19関連検査を通じて我が国における感染拡大の抑制に貢献してまいります。

 

ⅱ)臨床検査事業、調剤薬局事業の競争力の強化

 臨床検査事業、調剤薬局事業においては、今後、市場が成熟化し、診療報酬や薬価が引き下げられる環境下、競争が更に激化していくと想定されます。大都市圏を中心としたエリアドミナント展開の強化、ICTを活用した顧客との繋がりの強化、効率的かつ柔軟な対応が可能な事業構造への変革、更には新たな事業とのシナジー効果により、競争力の強化を図ってまいります。

 

ⅲ)新たな収益の柱の確立

 遺伝子に基づく医療、ICTによる医療の効率化をビジネスチャンスと捉え、以下の事業を臨床検査事業、調剤薬局事業に次ぐ新たな収益の柱として確立することを目指します。

・体外診断用医薬品「MSI検査キット(FALCO)」の適応拡大による事業拡大

・クラウド型電子カルテ「HAYATE/NEO」の販売強化

・ICTを使った診療所支援ビジネスの積極拡大

③連結数値目標

(単位:百万円)

 

35期

37期

 

令和4年3月期

令和6年3月期

 

(実績)

(目標)

売上高

50,007

45,000

営業利益

5,496

3,000

経常利益

5,809

3,150

親会社株主に帰属する当期純利益

3,533

1,900

ROE

16%

9%

新事業売上比率

3%

10%

※「新事業」は、体外診断用医薬品「MSI検査キット(FALCO)」、クラウド型電子カルテ「HAYATE/NEO」、診療所支援ビジネスの合計を指します。

 

④令和12年に向けたありたい姿

 当社グループでは、グループ内の医療専門人材の知識を結集し、ICTを活用することにより、臨床検査、調剤薬局の枠を超えて医療機関の困りごとを解決することを通じ、我が国の健康・医療に貢献してまいります。さらに、医療機関から、なくてはならない困りごとの解決パートナーとして、認知されるグループを目指してまいります。

 

(3)経営上の目標を達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、バランスシート重視の経営を行っており、資産効率性の状況を判断するための指標として、株主資本利益率(ROE)を主な経営指標としております。株主資本利益率(ROE)につきましては、中長期的には9%以上を目標としております。

 

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